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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第一章 はじまり
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 勿論、それは映像だけで何を話しているのかまでは分からない。

 殺害された人間がこうして笑っている姿をみて私は複雑な気分になってしまうが、みんなどう思って見ているのだろうか。


 更に画面は切り替わり、以前この島がテレビで紹介された時の映像がその時のまま流れ始めた。

 亡くなったばかりの静雄さんがインタビューに答えており、「この島のいい所はどこですか?」と聞かれ、「飯に困らんことです」とガチガチに緊張しながらも大真面目にそう答えたものだから、皆が一斉に笑った。


 飯に困らんことですって、そりゃあ野菜も沢山あるけど、もっと他に良い所があるだろうよ?とそう思い、つい私も大爆笑してしまった。

「心が温まるねえ」誰かがそんな事を言っている。


 殺人事件が起きたというのに心が温まる?自分達は死体を見ていないからそう思うのだろうか、それともこの人達は死体を見過ぎて慣れてしまっているのだろか……?いや、ここで誰かが騒げば一気に混乱してしまうから、あえてこんな風に振舞ってしまうのだろうか。私だってこの映像を見ながら笑ってしまったように。

みんなでいるから安心してしまうのだろう。



 次の映像に切り替わると、今度は銀さんが一人で暗闇の中を何か袋を持って歩いている姿が映し出された。


 そして、畑の前に立つと、周囲を確認した後に、袋を開くなり残飯?のような物を大量に野菜の上にばら撒き始めたのだ。


「ぎ、銀さんの仕業だったのか」

「許せん」

 一時期、この島では色々な畑がカラスの被害に遭う事件が頻発し、大騒ぎになった事があったのだが、まさか銀さんの仕業だったとは……。


「銀さんはどこ行った」

「銀さんを連れて来い」

「銀さんは海に出たまま戻って来ていない」

「戻ってきたらただじゃおかんぞ」

 数人が固い拳を作るなり立ち上がった。


 そして更に映像が切り替わり今度は、静雄さんの姿が映っていた。


 静雄さんはスーツを着ていて島を出て市長さんと高級な店で酒を交わしながら市長さんから分厚い封筒を受け取っていた。

 更に次の映像では島から出てカーショップに入り分厚い封筒を営業マンに渡し、次の映像では満足そうに高級セダンを乗り込み運転する姿が映りだされていた.


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