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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
運命の赤い糸
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それにしたって……。おかしいなあと思いながらもコンソメスープを啜ってみるも、これも味がしない。


 それどころか、マッシュポテトも味がしない。どうして、そういえば伊予かんもさっき食べた時味がしなったし。


「ねえ蓮、本当にこの料理味がある?蓮は優しいから私に遠慮して本当の事が言えないって言うだけとかじゃなくて?」

「え、違うよ?本当に美味しいよ?可憐、鼻水が凄いよ?今ティッシュ取るから」


  そう言って蓮はティッシュを取りに行ってくれたのだけど、その時テレビ画面の中から「医杉蓮」という声が聞こえた。


「え?今このテレビの人、医杉蓮って言わなかった?」そう言ってテレビ画面を見つめていると、そこには蓮の姿が大きく映っている。


「え? なんで? なんで? なんで蓮がテレビに映っているの?」私は驚いて蓮に聞く。


 だけど、何故かそこには蓮の姿がない。まるで透明人間にでもなってしまったかの様にして。

 「蓮、どこ? 冗談はよしてよ、かくれんぼしているっていうの? 蓮~れん~?」


その時だった「お母さん、お母さん」と玄関の方から声がした。

「誰?蓮?」私は蓮を早く探したくて慌ててドアをあけると、そこに立っていたのはすごく見覚えのある人だった……。

「お母さん、お母さん」

 その声に目をこすって起き上がると、私の隣には私を呼ぶ、頭が剥げたおっさんの姿があった。

「蓮は?」慌てて私は聞いた。

「お母さん何寝ぼけてんだ?」と言ってその頭が剥げた男は笑った。見覚えのある顔、そうだ、この人こそ私の旦那だ。


「随分うなされてたぞ?悪い夢でもみたんじゃないのか?」

「 ! 」

 なんだ、あれは夢だったのか、と愕然としてしまう。そうだ、と思い出し慌てて左手小指をみる。

 もちろん赤い糸なんてついていなかった。

 そして、息子二人が寝室にやってきて「お母さん、ゲーム一緒にしよう?」と言って来た。そこで私はハッとした。そうか、あれは息子が言ういつもの言葉を夢で見ていたんだわ。それに通りで何を食べても味がしないし、展開が早いと思ったのよ。


 それにしても、良い夢だったな。

 ますます俳優の医杉蓮の事が好きになってしまった。部屋に飾っている医杉蓮のポスターを見ながら私は微笑んだ。


     ―――完―――



 最後まで読んで下さった方、本当にありがとうございます。理想の島は、田舎の島という事で、高年齢という設定になりましたが、方便の使い方が難しく色々悩みながら書きました。

 理想の島を追い求めていく殺人鬼。捕まるまでの世界は幸せの様で、身を隠さなければならなかったりして、決して良いものではなかったのではないでしょうか。

 ここまで読んでくださった皆様に沢山の幸せが山の様に降り積もりますように。

 大和 香織子

 


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