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第86章―7

 いきなり昼ドラ模様になりますが。

 作者の私の悪癖なので、どうかご寛恕を。

 さて、そんな会話がコンスタンティノープルにて、エウドキヤ女帝と上里勝利の間で交わされていた前後には、北米共和国の首都ワシントンにて、徳川秀忠と徳川家光が父子の会話を交わしていた。


「日本の中宮の入内の儀に、私も父上も不参加ですか」

 言外に不満の色を示して、家光は秀忠に言った。

「仕方あるまい。今回の入内の儀は身内のみの参列にしたい、と日本政府は言ってきたのだ。実際、武田家からも参列は、実の伯母になる和子のみになるらしい。そして、徳川家は今上(後水尾天皇)陛下や鷹司(上里)美子とは身内関係にはない」

 秀忠は息子を宥めるように言った。


「皇后陛下の千江は、私の実姉ですよ。その縁を持ち出して、身内だから入内の儀に参列する、と私や父上が言っても良い気がしますが」

「確かに千江と美子は仲が良く、千江は美子を姉のように慕ってはいるが」

 息子の更なる言葉に、父はそこまで言った後で、一旦、口をつぐんだ後、逆に息子を睨み据えながら言い放った。

「娘婿が更なる妻を迎えるのを歓迎するような態度を、表面上だからこそ取る訳にはいかん。唯でさえ、妻の小督が不機嫌なのに、それを更に悪化させる気か」

 その言葉を聞いた家光は、流石に俯かざるを得なかった。


 実際、秀忠の妻の小督は不機嫌極まりない日々を送っている。

「だから、言ったでしょう。あのときに、女狐(鷹司(上里)美子のこと)は自分達の不倫がバレそうになったから、慌てて娘の千江を皇后にするように動いたに決まっています。大方、性の手ほどきをした(暗に今上(後水尾天皇)陛下の最初の女性は、と言っている)のも、女狐に決まっています。そして、10年余り後に夫を殺して、自分が中宮に成ろうとは、本当に人の所業ではありません」

 そこまで、側仕えの女性に小督は言っているとか。


 小督と鷹司(上里)美子は、犬猿の仲だ。

 当時は皇太子殿下だった今上(後水尾天皇)陛下の将来の皇后に徳川千江を迎えよう、と鷹司(上里)美子が奔走した際に、小督は美子と当時の皇太子殿下との不倫を疑い、美子にしても脛に傷があったので、強くそれを否定せざるを得ず、それを発端に二人は犬猿の仲になったのだ。


 そして、それから10年余りが経ち、美子の夫の鷹司信尚が急死したことを発端にして、美子は当初は出家すると周囲から考えられていたのに。

 実は美子の政治的才能を怖れた日本の内外の面々、伊達政宗首相やエウドキヤ女帝らが、積極的に動いて、更に徳川秀忠らもエウドキヤ女帝に加担したことから、美子は中宮として今上(後水尾天皇)陛下の下に入内することになったのだ。


 中宮に成れば、美子は日本の政治に関与できなくなる、との周囲の思惑からで、更に言えば、入内前の数か月で憲法改正を成功に導くという剛腕を美子は振るっており、美子の政治的才能を怖れる面々は、やはり美子を中宮にして正解だった、と胸をなでおろす状況にある。


 だが、そのことが、小督を不機嫌極まりない日々を送らせることになっている。

 娘婿といえる今上(後水尾天皇)陛下が、別の正妻を迎えるのだ。

 更にそれを推進した一人が、自分が全く頭が上がらない義姉(小督の兄の浅井亮政の妻になる)のエウドキヤ女帝なのだ。

 そして、娘の千江まで、本音は別にあるのかもしれないが、書面上は美子お姉様が中宮に成るのが嬉しくてなりません、と小督に手紙を書いて寄こす有様なのだ。


 やはり、自分の勘は当たっていたのだ。

 更に言えば、自分の身内全員が、自分の敵に回って、娘婿が新たな正妻(中宮)として、女狐の美子を迎えるように動くとは。

 何とも許し難く、この入内を潰したいが、どうにも無理だ。

 そう小督は考えて不機嫌になっていた。

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― 新着の感想 ―
小督さん、ガンガン冤罪を製造中。思い込んだら命懸け。多分、小督さんのお陰で、後世、都市伝説の類(史実世界のムー並み)が大量生産されそうな気がする。(いや、小督さんの妄言を外に漏らすほど、徳川家の人達は…
 一度そう思い込んだら人はそれに囚われる典型のような精神状態の小督さん( ̄∀ ̄)めちゃくちゃ拗らせてるのは父の浅井長政さんから連綿とキリスト教的な一夫一妻を堅持している家庭環境な上にキリスト教の権威の…
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