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第80章―25

 そういった明帝国内の主に反日、愛国主義、更には中華民族主義に対抗するために、主に日本が中心になって唱えられたのが七族協和主義だった。

 ここでいう七族だが、日本、漢、満洲(女真)、モンゴル、ウイグル、チベット、朝鮮の七つの民族を指すことになる。


(尚、国家として考えるならば、琉球は日本民族の国とされているし、事実上は、モンゴル帝国はモンゴル、ウイグル、チベットの三民族を包摂した国であるように、必ずしも国家と民族は一致しない。

 更に言えば、東アジアには、アイヌ民族等、七つの民族には属しない少数民族が、それなりにいるのが現実だし、その民族の分け方にしても、色々と議論があるところである。

 そういった点もあって、主にローマ帝国、更には諸外国の政府等からは、七族協和主義は余りにも空虚なスローガン(主張)だと冷笑されているのが現実だった)


 そして、七族協和主義について、少し説明すると、この七つの民族が対等な関係で協調することで、主に東アジアの平和が保たれて、豊かに暮らせるというスローガン(主張)になる。

 更に言えば、裏では東アジアを目指して、東方への侵出を図るローマ帝国を敵視して唱えられた主義なのも否定できない話だった。


 とはいえ、この七族協和主義が、明帝国内の中華民族主義者から極めて受けが悪いのも現実だった。


 そうしたことから、敵の敵は味方という短絡的発想から、明帝国内の中華民族主義者が、ローマ帝国や北米共和国とそれなりの関係を結ぼうと策し、又、ローマ帝国や北米共和国もそれを歓迎するのも当然と言えば当然のこととしか、言いようがない事態が起きたのだ。


 そういった事態が引き起こされるのを、日本政府等もある程度は予期していたが、背に腹は代えられないのも現実だった。

 明帝国内部の救荒措置は、日本が単独にやるのには余りにも重い措置であり、後金やモンゴルは極めて消極的な現実があった。


(尚、後金やモンゴルが明帝国内部への救荒に消極的だったのは、ローマ帝国の脅威を肌で感じていて、その対処に国力を投じねばならないという事情が大きく、日本もそれを知っていたので、後金やモンゴルを余り非難できなかった)


 琉球王国は、それなりに明帝国内部の救荒措置に積極的だったが、所詮は小国である。


 こうしたことから、それなり以上に目を配った上で、ローマ帝国や北米共和国が、明帝国内部の救荒措置に協力するのを、最終的に日本政府としては受け入れざるを得なかった。


 それこそ明帝国内部の救荒措置は、日本政府等にとっては喫緊の課題だったからだ。


 そして、様々な物資等がローマ帝国や北米共和国から提供されて、明帝国内部の救荒措置は進捗していくことになったが、その一方で、日本政府が気を使わねばならない事態が増えるのも止むを得なかった。

 これまでに明とのしがらみが殆どない両国からの救援物資提供は、明帝国の住民から素直に感謝される事態が起きたからだ。


 特にローマ帝国は、一応は日系諸国扱いされるが、日本人は圧倒的少数で、それ以外の国民が遥かに多いという現実がある。

 更に漢民族にしてみれば、北方民族であるモンゴル、ウイグル、満洲(女真)の侵攻に長年に亘って苦慮してきた現実があり、そこに「タタールの軛」を脱しようと叫ぶローマ帝国が現れたということは、一部の漢民族にしてみれば、自分達への強力な味方が現れたようなものだった。


 こうしたことから、ローマ帝国等の裏工作が、一部の漢民族の間で歓迎されることになり、又、それに対して日本を始めとする国々が、様々な対抗策を練ることになるのだが。

 それで、数年以上も続く暗闘が行われることに他ならない事態が引き起こされたのだ。

 これで、第80章を終えて、次から第81章になり、1615年前後の宇宙探査の現状を描きますが、最初に3話程、広橋正之とこの世界のシェークスピアの話を事実上挟みます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 七族共和。公平公正に見れば素晴らしい理想。文句を言う奴は偏狭な利己的民族主義者か、無責任な第三者。 [気になる点] 中華民族主義者、辞書の用例に載せたい程の偏狭な民族主義。感情的に反発する…
[良い点]  中華の地がブラックラグーンめいた修羅の地になる事が確定( ̄∀ ̄)大陸の民には悪いが悪徳と任侠の混沌とした世界とかホント作劇世界としてはワクワクが止まらない♪ [気になる点]  今後の流れ…
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