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第75章―8

 更に言えば、世界の商業レベルのテレビ放送が行おうということになると、放送(通信)衛星も一つでは済まない。

 理論上、最低でも3個の静止衛星が必要不可欠と考えられていた。


 更に、万が一の故障といった事態も考えると、予備の衛星も確保しておく必要がある。


 何だかんだと考えていくと、世界の商業レベルのテレビ放送を行うのには、少なくとも6個の放送(通信)衛星を、静止衛星として打ち上げる必要があるという計算になる。


 だが、この(世界の)当時、静止衛星は未だに理論上のものに過ぎず、実際には打ち上げられてはいなかったという現実もある。


 製造現場が、放送(通信)衛星やロケットの製造について突貫作業を行うことになり、多くの科学者が、放送(通信)衛星の軌道計算に頭を痛めることになった。

 何しろ軌道計算にしても、打ち上げから軌道投入、更には、その後の軌道制御(地球の重力場が一様ではない事と、太陽輻射圧や月の引力の影響があるため、そのままでは静止衛星の位置は少しずつずれてゆく)についても、予め行う必要がある。

 多くの科学者が頭を痛めるのも当然だった。


(尚、この際に史実を含めたメタい話をするならば。


「皇軍知識」、要するに1941年当時の世界の科学技術に関する知識では、既に静止衛星というのは考えられて、それなりに知られていたが、衛星同士の通信によって、世界中、地球の裏側までの通信をカバーできるということまでは広く知られていたとは言い難い状況だった。


 それが、広く知られたのは、(後に著名な作家になる)アーサー・C・クラークが、1945年に発表した論文がきっかけと言って良い。


 この世界でも似たようなもので、1590年に北米共和国が始めた宇宙開発計画に、日本やローマ帝国が共同参加することで、世界中で宇宙開発計画に関する関心が広まった。

 更には、それを宇宙開発をテーマにした様々な小説等が作られる中で、衛星同士の通信によって地球の裏側までの通信をカバーできるというのが描かれて、それによって多くの人が、そういった知識を知るようになったのだ。


 そして、それを現実のものにしようと、科学者や技術者は頭を痛めることになったのだ)


 当時、実用化されていた最新鋭のトランジスタを用いた計算機までもが使用されることで、理論上の放送(通信)衛星の静止軌道を、1611年初めには何とか科学者は割り出すことが出来たが。


 そこに放送(通信)衛星を打ち上げて投入するというのは、又、別の問題である。

 実際にそれを行う際には、ロケット等の制御技術の問題も絡んでくるからだ。


 それこそ初めて人工衛星を宇宙に打ち上げてから、まだ5年程しか経っておらず、その間に様々な経験や技術等が積み重ねられていったとはいえ、静止軌道に人工衛星を投入するのは、まだまだ衛星を実際に軌道に投入する現場の技術者に言わせれば、もう少し経験や技術が必要という意見が強い状況だった。


 何しろ既述だが、最初の人工衛星は楕円軌道で軌道に投入されるような現実だった。

 そして、静止衛星を軌道に投入するということは、円軌道(静止軌道)に投入することになる。

 だから、色々と現場では更なる経験や技術等を磨かざるを得なかったのだ。


 だからこそ、放送(通信)衛星については、1611年後半に試験放送を行えるようにして、1612年から本格商業放送可能なようにという計画だった。

 有人宇宙飛行に伴うロケットの打ち上げや、その制御の経験、技術を糧にすることで、放送(通信)衛星の失敗のリスクを減らそうとも、現場レベルでは考えらえていたのだ。


 それなのに有人宇宙飛行が後回しになった。

 現場の多くの者が頭を痛めるのも当然だった。

 アーサー・C・クラークが、衛星同士の通信を発明したという主張がありますが、それ以前から衛星同士の通信は考えられており、アーサー・C・クラークの論文で広まったというのが、史実であると考えて、ここでは描写しています。

 間違っていたら、本当に済みません。


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[良い点] 第二世代コンピュータ、爆誕! [一言] 昔、学校で初めて受けたコンピュータの実技演習を思い出しました。マークシートに鉛筆で黒塗りして、パンチングマシーンで穿孔、それをコンピュータに読ませる…
[良い点]  ほんとにテンヤワンヤの大騒ぎが窺える放送衛星打ち上げへの越えるべき無数のプロット(・Д・)まさに茨の道を踏み越えるが如し♪史実の金満大国アメリカですらデータが蓄積され商業的後押しが強まる…
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