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第74章―17

「保守合同」という以上、中国保守党としては、それなりの合併条件を保守党に求めるのです。

 それに対して、保守党にしてみれば、そんな合併条件を言うのなら、これまでの行きがかりもあり、「保守合同」には反対する、中国保守党は自発的に解党して、保守党に入党すれば良いという議員、派閥がいて、そんなことから「保守合同」は難航します。

 実際に秋が深まる中で、「保守合同」は完全に不可能と言って良い流れが起きることになった。

 その理由は、それこそ直接的には伊達政宗が率いる労農党、更には織田(三条)美子の暗躍があったからであり、それに加えて様々な周辺事情が絡まった末のことだった。


「これは、どうにもならんな。「保守合同」は諦めるしかない」

「まさか織田(三条)美子が、完全に「保守合同」に敵対するとは。皇太子殿下の結婚が無ければ、何とかなったと考えますが」

 尼子勝久首相と吉川広家外相は、共に歯噛みする想いをしていた。


 二人にしてみれば、織田(三条)美子は日本の政界の完全な黒幕だった。

 それこそ日本の今上陛下が誰になるかまで、織田(三条)美子の意向次第なのだ。

 世界最大、第一の大国である大日本帝国の今上陛下を決めるのが、本来の日本人の血が一滴も流れていない織田(三条)美子とは、二人にしてみれば、断じて許されないことだが。

 今の日本の皇太子に政宮殿下が成った裏には、織田(三条)美子の意向があったというのは、尼子首相と吉川外相を始めとする日本、いや世界中の多くの人にしてみれば著名な事実と言って良かった。


(織田(三条)美子にしてみれば、酷い冤罪にも程がある話だが。

 これまでにも散々に既述してきたことからすれば、尼子勝久首相や吉川広家外相ら多くの人が、織田(三条)美子が日本の皇太子選任についての真の黒幕だ、と誤解するのも当然だった)


「ともかく、とうとう上杉景勝までもが、「保守合同」には絶対反対です、と言ってきては。尼子派以外の保守党議員全てが、「保守合同」反対で一致結束したことになる。これでは、保守党の全体総会で「保守合同」を提起しても、反対多数で否決されるだろう」

「それこそ、中国保守党を全面解党して、個人での保守党加入ならば認めるとか、そこまでの屈辱的な「保守合同」を求められる可能性さえありますね」

「実際に北条派や今川派は、そう訴えている。「保守合同」がここまでこじれたのは、保守党に入ることを長年に亘って拒絶して来た中国保守党が全面的に悪い以上、中国保守党は党大会で全面解党決議をした上で、議員個人が土下座して保守党加入を哀願すべきだとな。島津派まで、それを暗に支持している」

「そんな屈辱を中国保守党の衆議院議員全員は甘受しろ、と保守党はいうのですか。そんなことを中国保守党総会で、私が訴えたら、即座に中国保守党総会の場で、私は党首追放になるでしょう」

 尼子首相と吉川外相の話は、そこまで進んだ。


「いや、私は絶対に言うつもりは無いが。保守党内の衆議院議員の多くがその通りだ、と叫びかねない状況にある、と私は考えている」

「そこまで言うのなら、中国保守党は連立から離脱して、労農党と手を組む、と流石の私も言いますよ」

「どうせ与党の旨味を散々にすすって来た中国保守党が、そんなことをする筈が無い。蝙蝠のように、第一党にすり寄って、与党に常にいたではないか、と北条派は公然と言っている。更に言えば、尼子派以外の保守党議員の多くも、同様に内心では考えているようだ」

 尼子首相と吉川外相の話は、更に深まった。


「分かりました。このままいけば、次の衆議院議員総選挙後に、中国保守党はほぼ確実に労農党に与するでしょう。更に言えば、私は党首辞任を余儀なくされるでしょう」

 吉川外相は、事実上の最後通告を尼子首相にせざるを得なかった。


「私とて断腸の思いだ。だが、「保守合同」がここまで至っては、私の力ではどうにもならない」

 尼子首相は悔恨に満ちた言葉を吉川外相に掛けざるを得なかった。


 尼子首相も吉川外相も無念極まりなかった。

「保守合同」は完全に潰れてしまった。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  これまで反対勢力視点で見てたからアレだけど保守合同を進めていた側から見るとなんとも無念な思いが読者にも伝わる場面(´Д` )何かひとつ政局がズレていたならば成就の目もあった事を思うと令和…
[良い点] 美子さん一世、横綱相撲で保守合同を粉砕。流石。 [気になる点] 超蛇足ですが、 美子さん一世曰く、「政治闘争小説」(「小説吉田学校」の平安王朝版?)の源氏物語。 著者の紫式部さん(藤原為時…
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