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第70章―4

 話中に出てくるモスクワ運河ですが、物語的にはモスクワ・ヴォルガ運河と書く方が正確かもしれません。

 しかし、史実ではモスクワ運河と呼称されていることや書きやすさ優先でモスクワ運河と表記しています。

 どうか大目に見て下さい。

 尚、実際問題としては、このモスクワを5つの海に最終的には繋ぐ河川と運河の建設の一部は、既に始まっていたのが現実だった。

 

 モスクワ自体がモスクワ川に面しており、モスクワ川は最終的にはヴォルガ川に流れ込むヴォルガ川水系を成す河川の一つである。

 だが、モスクワ川の水量は、モスクワの住民の増大によって16世紀末期の頃になるとモスクワの住民全てを養うのには充分な水量とは言えなくなっているのが現実だった。

 

 それが最悪の悲劇を引き起こしたと言えるのが、ローマ帝国軍によるモスクワ攻防戦であり、この時に籠城戦遂行の為に通常よりもモスクワ市民が増えていたという事情もあるが、モスクワ市民の多くが清潔な水を確保して飲料水にすることができず、そのために腸チフス等の伝染病の蔓延を引き起こし、更に衰弱した体に水不足が追い討ちを掛ける事態までが引き起こされてしまったのだ。


 こういった悲劇をモスクワで再び起こさないように、とローマ帝国政府がモスクワ占領後に速やかに何らかの対策を講じる必要があると考えたことから。

 羽柴秀吉の息子である羽柴秀頼(及びその周囲の技術者達)をモスクワに呼び寄せて、対策を検討させた末に、ローマ帝国は史実で言うところのモスクワ運河、ヴォルガ川上流の水をモスクワに流れ込ませる運河の建設を行うことになった。


 そして、まだローマ帝国に対する貴族達の叛乱が全く収まっていなかった1601年に運河建設に必要な測量がローマ帝国軍の警護の下で行われた末に、1602年からモスクワ運河は着工されたのだ。


 この運河工事だが、文字通りにこの時代の最先端の技術等が駆使されて行われることになった。

 何故なら、それを聞いた世界の人々、特に日系諸国以外の国々に住む人々からすれば驚倒するしかない程の大規模な運河工事だったからだ。

 だからこそ、世界の最先端の技術等が駆使されねば完工することはできなかった。


 さて、このモスクワ運河だが、総延長は128キロに及ぶ運河である。

(途中の低地部分に水を張って人口湖にしたり、既存の川の拡張を行ったりしたところ等もあるので、実際の運河の掘削距離は、それよりも短くはなっている)

 更に言えば、モスクワからヴォルガ川の源流近くまでをモスクワ運河でつないだ後、(最終的な話で、この段階では未着工)更にオネガ湖やネヴァ川等を経てバルト海沿岸までもつながれたことを考えれば、最終的な高低差は160メートル余りにも達する大工事でもあった。


 これだけの高低差があれば、それこそスエズ運河のように単に運河を掘削するだけでは済まず、パナマ運河のように閘門式の運河にせざるを得なかった。

 羽柴秀頼は、モスクワ運河については最終的に8か所に閘門を設けて、ある程度の大きさの外洋船が通行できるように建設を行った。


 とはいえ、1605年のこの時点では、モスクワ市民にしてみれば、それは将来の夢としか、言いようが無かった。

 1605年の現実としては、ヴォルガ川の源流近くから3年余りの尽力の末にモスクワまで、無事に運河が開通して、水が流れるようになったことの方が遥かに大事だった。


 そして、1605年の夏に行われたモスクワ運河の完成式典には、女帝エウドキヤを始めとするローマ帝国の要人の殆どが集って行われることになった。

 モスクワ運河が完成した証として、完成式典の際には最後まで閉められて水が入っていなかった部分の閘門をエウドキヤが開けることになり、そこには水が徐々に満たされた。

 更に水が満たされた後、河川用船舶の通航が始まった。


 それが目に入った瞬間、参列者が歓声を挙げて、更にはモスクワ市民の多くが歓声を挙げて、モスクワ中が湧きたった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とりあえず河川用船舶(喫水が浅い平底の船?)だが、将来は外航船。気宇壮大。 [一言] モスクワ市民、ローマ帝国に思うところはあるが、運河自体には好意的。やっぱり水は大事。
[良い点]  モスクワ復興の先駆けとして早々と着工した大運河建設はスラブの民にこの地がどう変わるのかを見せつつ彼らに広く仕事を与える形になる最高の融和策の一手ですな、ある意味この手法はスエズ運河建設で…
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