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第69章―1 大日本連邦帝国への移行

 新章の始まりになります

 1605年春現在、日本本国及び植民地(自治領)からなる正式な国家としての名称だが、

「大日本連邦帝国」

ということになっている。

 何故にこのような名称になったのか。

 それは、様々な産みの苦しみの末になったとしか、端的には言いようが無い話だった。


「皇軍来訪」以降、日本は「皇軍知識」を活用してこの世界の探査を行い、更にはその探査の結果を活かして、南北米大陸や豪州大陸を中心とする大規模な植民地開発を行った。

 だが、余りにも急激な日本の植民地の拡大は、それこそ外国人年季奉公人問題を始めとする様々な問題を日本本国と植民地の間に引き起こすことになり、1574年には北米独立戦争が勃発して、更に1580年には北米植民地が完全に日本本国から分離独立して、北米共和国を建国する事態にまでなったのだ。


 その一方、この北米独立戦争に際して日本本国に忠誠を誓った日系植民地群は、北米独立戦争終結後は、それなり以上に日本本国政府に気を遣われることになり、それなりの優遇策が講じられたのだが。

 それはそれで、日本本国に住んでいる有権者の多くから、日系植民地は優遇され過ぎで本国が軽んじられている等の想いをさせることになったのだ。


 一例を挙げると、日系植民地において生産される様々な産物、特に農産品については、同じ日本国内だからということで、本国及び植民地間では無関税での取り引きが行われた。

 そして、このことは日本の農民にとって逆境を引き起こした。

 何しろ日系植民地の方が、(あくまでも傾向の話である、実際には単純に全てそうなるとまでは言いきれない)日本本国よりも広大な農地を活かして、更に外国人の年季奉公人を活用することで、安価な農産物を日本本国に大量に売り込む事態が引き起こされたのだ。

 そうなると、日本本国の農民は徐々に貧困化するようになり、植民地産の農産物に対して関税を掛ける等の対策を日本本国の農民は訴えるようになる。


 他に工業製品にしても、日系植民地の開発が進むにつれて、各地において地元の需要を満たそうと、工業が徐々に発展していくことになっていき、そういった植民地の工業製品が結果的に本国の工業製品を脅かす事態が徐々に増えていき、これまた、日本の工業を圧迫することにもなっていくのだ。


 これはある意味では、仕方のない歴史的な流れではあるが。

 実際に実害を受ける日本本国の国民からすれば、仕方のないでは済まない話だった。


 更に厄介なのは、そういった事情があるとはいえ、日本本国の国民の多くにしてみれば、日系植民地を分離独立させるというのは、それこそ世界を制しているといえる日本の国威を落とすように感じられてしまい、実利的には日系植民地の独立を認めるべきかもしれないが、感情的には日系植民地の独立には反対だ、という意見の持ち主が日本本国内の有権者の間では多数になる事態が起きたことだった。


 そして、この問題について、日本本国の政党を構成する国会議員の間でも意見が割れたのが、更にこの問題の政治的決断を困難にした。

 それこそ1600年前後の日本の二大政党と言える労農党と保守党、それぞれの政党内部でも、これが我が政党の意見であると公然とは言えない程に、政党所属の国会議員の間で意見が割れたのだ。


 この国会議員の各自の意見分裂が、この問題の解決について結果的に最大の困難を引き起こした。

 本来からすれば、政党内の意見を取りまとめて政策の素案を立案して、それを我が党の公約として掲げて、国政選挙で国民に対してその信を問うて、その結果から国民の声に基づいて政策が行われるべきである。

 だが、この問題は政党内の意見取りまとめ段階で苦労する事態になったのだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とりあえず、独立戦争だの叛乱だの腕立て沙汰にならなくて良かった。 織田・島津・木下と三代続いた「大宰相」に比べ、二条昭実首相は小粒に見えていたが、意外とやりますね。
[一言]  遂に語られだす日本の新たな政体( ̄∀ ̄)国の舵取りに対する本論(植民地の自立を認める)は本土も植民地も概ね同意されど細かな相違に於いて各論乱立の状況下で北米独立戦争のような乱を呼ばずに軟着…
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