第六十七章<結婚式1>
私とアレンさ……アレンが婚約を結んでから半年。
私たちはひと月後、結婚することになった。
婚約期間は一般的なそれより短かったけれど、私は十八で彼も二十一と適齢期かつ、お互い公務も問題なく行えるので、婚約を続ける理由がなかったというのがその表向きの理由だ。
――実際のところ、心が通じ合ってからというもの、アレンが、口を開けば早く結婚したいと言うようになったというのが主な要因なのだけど。
両思いになってからの彼は、これまでの比でなく甘い。
今までも抱擁といった接触はあったけれど、最近では日に一度は愛していると囁かれ、キスを落とされ、ぎゅうぎゅうと抱きしめられていたりする。
恥ずかしいから人前ではやめてくれと言えば、二人きりの時にそれはそれは濃厚な口づけをされたものなので、もう諦めることにした。
……それが全く嫌ではなく、むしろ嬉しいと感じている自分がいるのだが、そんなことを言えばどうなるかはなんとなく想像がつくので、沈黙を貫いている。
まあ、向こうは心が読めるのだし、無意味なのだろうけども。
――結婚が早まった理由に、そんな毎日を送っているせいで、婚前交渉が恐れられているためというものもあるんだろうなあ。
遠い目をしながらぼうっとそんなことを考えていたが、いつまでも現実逃避しているわけにはいかないので、私は意識を目の前の布地の山に集中させる。
そう、見渡す限り純白で埋め尽くされた空間に。
真っ白な生地がこれでもかと並べられた光景は、異様という他ない。光が反射して目が痛いし。
フィオの皇太子妃となる日の衣装である以上、かなり時間をかけて生地を選び、デザインを決め、装飾を吟味する必要があるのは理解していた。……理解していたつもりだった。
しかし、私は甘かった。
正直、こんなに大変だとは思ってもみなかった。
せいぜい十数点程度の布を持ってこられると思っていたのに、なんだこの量は。
そしてそれを楽しそうに吟味しているお義母様と侍女たちは本当になんなのだ。
「リリちゃん、このパールホワイトとスノーホワイトだと、どっちが良いかしら?どちらも似合うだろうけど、アレンの髪が薄茶だし、より白いスノーホワイトの方が色がくっきりして見えるかもねえ」
「え、えっと」
「ああ、でもシルバーホワイトでも綺麗だろうし……」
結局、二時間程かけて色が決まった。非常に疲れた。
当然アレン様も同席していたけれど、途中で死んだような目になってたし。
この後デザインの話もする予定だったのだが、主役の二人が疲労困憊ということで、また後日相談することになった。
……間に合うのか、これ?
お、おおおおおおお久しぶりです(土下座)




