第三十三章<お義母様とデート2>
そうして着いた泉のほとりに敷いた敷物の上に、私とお義母様は腰を下ろした。
楽しげに鼻歌を歌いながら、魔法瓶から付属のカップにミルクティーを注ぎ、流れるような動作でそれを私に差し出してくるお義母様は、今日も今日とて美しい。
カップに注がれたミルクティーを受け取り、一口啜ってから、私は口を開いた。
「それで…ここに来た目的を、そろそろ教えていただけませんか?」
――そう。私は、お義母様が私をここに連れてきた目的は、ただ単に親睦を深めるだけではないと推測している。単なる親睦会ならば、わざわざここへ来なくとも、広大な城の敷地内で済ませられる。
しかし、お義母様は、国外であるこの場所を選んだ。
これは、絶対に何かある。
案の定、お義母様は笑みを深め、言葉を紡ぐ。
「流石ね。気づいてくれて安心したわ」
お義母様は言葉を切り、湯気の立つミルクティーにふっと息を吹きかけ、口を付けた。
そして、蠱惑的な笑みを浮かべ、続きを語りだした。
「じゃあ、本題から行くわね。リリアーネちゃんは、アレンのことをどう思ってる?
「んぐっ!?――っゲホッゲホ」
危うく、ミルクティーを吹き出しかけた。辛うじて堪えたが、ひどくむせてしまう。
慌てたお義母様が背中をさすってくれたこともあり、少しは落ち着いた。
「な、何を唐突に言い出すんですか…?」
「いきなりじゃダメだった?」
こてん、と、首を絶妙な角度に傾け、可愛らしく微笑みながらそう返すお義母様。
やだもう、怖い。
その仕草は、首だけでなく、国をも傾けかねないと心から思う。
今に始まったことではないが、この義母を敵に回す人物は、大馬鹿者以外の何者でもない。
しかし、こんな仕草を向けられ、耐えられる人間はいるのだろうか。否、いないだろう。
例外と言えば国王陛下とアレン様だろうが、恐らくあの二人も時と場合によりけり、といったところだろう。
結局、私にはこの話題をはぐらかす術はないってことになるんだけどね!?
ついでに言えば、ここには従者を一人として連れてきていない。
最初は動揺しすぎて気が付かなかったが、これも彼女の作戦の一つだったのだろう。
どうしたって無駄な気がするので、私は素直に投げかけられた問いに応えることにした。
「アレン様のことは…好きか嫌いかの二択で言えば、好きですよ」
…自分で言っておきながら、やっぱりダメージが半端ない。これ以上はぐらかすのは辛いから、直球を選んだのだが、予想以上に羞恥が大きい。
おまけに、お義母様が、更に笑みを深めるものだから、私の頬は、じわじわと赤く染まっていく。
いたたまれず、視線を下げた。
そんな私に、お義母様はこんな言葉をかける。
「ふふ、良かった」
「…何が良いんですか」
ちょっとした、仕返しを兼ねた嫌味のつもりだったのだが、お義母様は真剣な口調でこれに答えた。
「アレン…あの子ね、私と陛下以外の人から、好きだって言われたことが無いのよ」
あけましておめでとうございます!
新年早々更新が遅れまして、真に申し訳ございませんm(_ _;)m
今年も宜しくお願い申し上げます。




