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第三十一章<夜会の後で2>

 穏やかな雰囲気の中で、二人でお茶を飲んでいれば。

唐突に、アレン様は爆弾を放り込んできた。

「ああ、そういえば、あの阿保―第二王子が捕まった。」

「んぐっっ!?」

思わず、お茶を噴き出しかけた。辛うじてそれは回避できたが、気管に入ってしまい、ゲホゲホと咳をする羽目になった。

相変わらず、この御人は結論からずばっと話し始めるので、毎度毎度、耳を疑うことになってしまう。

「わ、悪い」

そう言いながら、アレン様は私の背を軽くさすってくれる。

ある程度回復したため、手でもう大丈夫だと合図を送る。

そしてソファーに座り直した私は、こほん、と軽く咳払いをして、

「続けてください。」

と言って、続きを促した。

アレン様も軽くうなずき、口を開いた。

「まず、ルークの新たな婚約者である男爵令嬢は、なかなかのやり手だったようで、彼を見限り、昔関係を持ったことのある隣国の子爵のご子息と結託したようだ。」

「うわ、あの女、どこまでもクズじゃない」

しまった。

思わず素で反応してしまった。

気まずくて目をそらしたが、アレン様もそれを的確に感じ取り、何も言わずに続ける。

「リリアーネ嬢がいなくなったことでガタガタになっていたランスだったが、そこへ隣国が攻め込んだことで完全に崩壊した。数少ない有能な人材は亡命するか貴族籍を抜いており、残っていた無能ではとても対処できなかったようだからな。大きな被害が出ることもなく、あっという間だったそうだ。」

「あ、やっぱり?」

そう。私は、ランスでは政務の九割以上を担当していた。

あの頃は、平々凡々なルーク様が出来ない部分を担当するという名目でやらされていたけれど、今思うと、向こうの両陛下のやつも押し付けられていた。

少しずつ量が増やされていったから特に気にしていなかったし、大変ではあったけど、まあ何とかなる量だったから、何も考えずに淡々と終わらせていたけれど。

今思うと、一人がやっていい仕事量を大幅に上回ってたわよね!?

今更ながら、腹が立ってきた。

いや、もう既に滅びた国にどうこう言ったってしょうがないんだけど。

「それで、国王一家は捕らえられたのだが、その隣国にランスの全ての権限を任せてやることを条件に、第二王子だけはこちらへ引き渡す交渉をしてきた。」

「仕事速っっ!?」

もう、あの阿保王子が酷すぎたことを差し引いても、この人は優秀だ。優秀すぎる。

しかし。

「任せて大丈夫なんですか?あと何故、ルーク様だけをフィオへ?」

とりあえず、あの隣国もあまりまともとは言いずらかったはずだ。

それに。

私の中で、ルーク様とのことは、もう、終わったことなのだ。

今更、どうしろと。

「まあ、会ってみればわかると思うから。」

アレン様はそれだけ言うと、カップに残っていたお茶を飲み干し、私の頭を軽くポンポンと撫でる。

そして、

「疲れているのに、押しかけて悪かった。おやすみ」

とだけ言い残して、部屋から出て行った。

もちろん、私も条件反射で頭を下げた。

そして、自身のお茶を飲み干すと、そのまま寝台へともぐりこんだ。

色々と引っかかるところはあるんだけど…うん、今日はもう寝てしまおう。

そして私は、夜会での疲れを癒すべく…爆睡した。

アメリアのざまあは、今しばらくお待ちくださいませ<(_ _)>

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