表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/72

第二十七章<夜会7>

 そして、軽やかで明るい、ワルツが流れ出した。

会場に響く音に合わせて、皆がステップを踏み始める。

もちろん、私もその一人だ。

しかし、今までの夜会とは違うことが一つ。

言うまでもなく、アレン様が私をリードしてくれることだ。

しかも、彼は一つ一つの動作が丁寧で、よどみがない。

そして、常に、自然かつ優しく動いてくれるため、私も踊りやすい。

一言で言えば、ダンスがとても上手いのだ。

いつも、ド下手な婚約者をリードしてやる側だったから、とても新鮮だった。

そして何より、

楽しい。

ダンスを踊るとき、こんなことを思ったのは、初めてだった。

高揚感、とでも言えば良いのだろうか。

十分すぎるほどに練習して、踊り慣れているはずのステップが、まるで初めて踏むかのような。

そんな、錯覚にも似た感情を味わって。

この時間ときが、いつまで続いたらいいのに、なんて。

柄にもないことを考えたりして。

気が付けば、音楽が鳴り止んでいた。

名残惜しい気持ちを抱えながらも、規則通り、腰を折って頭を下げる。

ちらりと顔を上げると、何か言いたげに眉をひそめて、私を見つめていたアレン様と。

視線が、交差した。

何となく、お互いに沈黙が流れる。

「…どうか、されましたか?」

一拍後、そう、尋ねたら。

「もう一曲、踊ってもらえない、だろうか?」

そんな、答えが返ってきた。

「いいんですか?」

自分でも、声が弾んだことがわかる。

楽しかったことは事実だが、正直、ここまで大げさに反応するとは、私も思わなかった。

アレン様も、目を丸くしている。

そして、照れたように、少しだけ微笑んだ。

途端に、私が反応するよりも早く、周りがざわついた。

なんでも、

「い、今の見たか…?」

「あ、ああ。俺の勘違いかと思ったが…」

「殿下が微笑まれるなんて…」

とまあこのような単語が飛び交っていた。

アレン様、そこまで笑わない方だったのですね。

しかし、そこで小さな疑問が生じた。

アレン様は、私の前では割と笑うのかしら?

よくよく考えてみれば、私は、アレン様と初めて会った日も、家に送ってもらう最中に馬車内で笑いかけられているのだ。

当初こそ驚いていたものの、フィオへの道中で慣れてしまい、ランスに届いていた噂は、大分盛られたものだと思っていたのですが。

貴族たちからの反応から、噂が正しかったことが判明した。

しかし、こうなると。

彼が私に向かって笑いかけてくる理由がさっぱりわからない。

思わずそのことについて考えこみかけてしまったが、折角アレン様ともう一曲踊れるのだから、と、やや強引に思考を切り替えた。

そして、軽快な曲調の二曲目に合わせて、踊りだす。

それを踊り終えた後、お義父さまとお義母さまから、改めてアレン様の婚約者として紹介していただいた。

意外にも、ある程度覚悟していた悪口は聞こえず、むしろ、

「やっと婚約者が固定した、めでたい!」

という感じの空気があって…

少々、いたたまれなかった。

その後も、アレン様と何曲か踊ることもでき、考えていたよりもずっと楽しい夜会になった。

その頃、ランスでは。


次回より、ざまあを予定しております!!!

やっとざまあが書けるーーー!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ