第二十三章<夜会3>
私の毒舌に呆然としていたお馬鹿さんは一拍後、懲りずに戯言を紡ぎだした。
「あ、貴女っ…なんて無礼なの!?わたくしは伯爵令嬢なのよ!身の程知らずね。やっぱり、あの田舎王国のお人だわ!どうせアレン様のことだって、わたくしたちには想像もつかないようないやらしい手で手に入れたのでしょうね!ああ、御気の毒なアレン様。わたくしが今すぐ、両陛下に抗議を…」
「必要ない。」
もはや、呆れて二の句を継ぐことすらどうでもよくなる(それでもやるが)ような言葉を、立て板に濁流の勢いでまくし立てた彼女を、威圧感の凄い一言で一蹴したのは、ほかでもないアレン様だった。
「あの…ここは私が返そうと思っていたのですが…」
コソコソと話しかけると、同じように小さな声で、信じられない言葉が帰ってきた。
「さすがに許容範囲外だ。可愛い婚約者をここまで貶められれば、私も怒る。」
可愛い婚約者。可愛い婚約者。可愛い婚約者。
理解不能。聞き間違い。熱でもあるのか。
↑は、その瞬間の私の思考だ。
鋼の理性で耐え抜いたが、もう少し私の理性が脆ければ、顔をゆでダコにして失神していたに違いない。断言する。実際、意識が宇宙の彼方へと吹っ飛びかけた。
恋愛経験0の私からすれば、本当に本当に解らない、理解できない言葉だった。
確かに、この前に可愛いって言って下さっていたけど…公衆の面前で堂々ということではないでしょう!?どこのバカップルよ!?私ら政略結婚ですよね!?
と、このように半ば別方向へ意識が飛びかけている私を他所に、静かに怒るアレン様はお馬鹿さんを追い詰めていく。
「そもそも、先程彼女が言っていたように、リリアーネはもう私の婚約者だ。立場としてはお前よりもずっと上なのだから、身の程知らずはお前だろう?」
ビクリ。
お馬鹿さんは、涙目になり、体を震わせる。私より短い文章だとはいえ、まさかアレン様が反論してくるとは思わなかったのだろう。私だって想定していなかったのだから。
しかも、威圧感がどんどんエスカレートしているし、まとう雰囲気も剣吞さが秒単位で増している。
それに、ちょっと信じられないが、彼女のおめでたい頭では彼の味方をしているつもりだったようだし、ショックはそこそこの大きさのようだ。
「それに、彼女に求婚したのは私からだ。他人にとやかく言われる筋合いはない。それともなんだ?私が彼女に騙されているとでも?それならば、私はそこまで技量を疑われていたのか?」
…これはざまあを通り越して、本気でヤバい。
お馬鹿さんはもうぼろぼろと大粒の涙をこぼしているし、アレン様をこれ以上放っておくと、彼の暴走による被害が拡大し、いらぬ場所まで飛び火するに違いない。
そう思って。彼に手を伸ばした。(物理的に)
ほぼ、無意識に。
気が付けば、私はアレン様の手を掴んでいた。
立て板に濁流は、私の創作でございます。
テストでこんなん書いたら×付けられること間違いなしです!
ご注意くださ~い(*´∀`)…すみません、立て板に濁流が私の創作だということ以外、冗談です。




