第十六章<事情聴取中の悲劇>
「うぅ…」
呻く私にかまわず、王妃様は畳み掛ける。
「うふふ。いいじゃな~い。夫婦仲は良いのが一番よ♪それに、今まで女性とお付き合いするどころかダンスを踊るときでさえ目を合わせようともしないような朴念仁が女性をかばって、おまけに傷つけた相手にお説教までするなんて。こんなに楽しいこと、久しぶりだわ。見逃すわけにはいかないからね♪ねぇ、ロイ?」
「うむ、その通りだ。」
ちょ、待て待て。夫婦どころか、まだ婚約届も出してないんですけどー!?あと、アレン様、ダンスですら目を合わせなかったってどゆこと?踊った子、可哀想。
この時点で、アレン様がソファーから立ち上がり、マントを翻して堂々と逃亡を図ろうとした。
一人だけ逃げる気か?この鬼畜皇太子!
咄嗟に、アレン様がソファーから離れる前に、彼のマントの裾を掴んだ。
驚き、振り向いたアレン様を、
「逃がしませんよ。」
と、やや殺気を込めた目でにらむと、彼は苦々しい顔をして、着席した。
その様子を見ていた王妃様は面白そうに笑い、王様は神妙な顔で、
「アレン、こういう状態の妻を置いて逃亡すると、後で恐ろしいことになるぞ。」
と、のたまった。この時点で、目がテンになった。それなのに、アレン様も、
「…肝に銘じておきます。」
と、真面目に答えている。
え?これ何の会話!?私別にあのまま逃げられてもそんな怖いことしようとしてないわよ?ただ今日一日必要最低限のことを除いて彼を無視し続けようかな~くらいしか思ってないし。
私がそんなことを考えていたその間にも、父子の会話は続く。
「…例えば、一日中無視され続けたりするんだ。しかも、必要最低限の会話は普通にするから余計怖いんだ。嗚呼、思い出したくもない…あれは恐ろしかった…」
「…わかりました父上。今後先程の様な態度を取ることがないよう、努めます。」
「ちょっと?聞き捨てならない台詞があったのは気のせいかしら?あと、折角のリリアーネちゃんのお話を邪魔しないで頂戴。」
「あ、ああ。すまなかった。では、リリアーネ殿。話の腰を折ってしまったな。続けてくれ。」
少々ぎこちない笑みで、私に話を振る王様、ロイ。だが、私はそんなことを気にしているわけではない。
「はい?何でそこまで私の黒い過去を聞きたがるんですか!?確かにアレン様が私をかばって下さったのは本当ですし、嬉しかったですけど、その前提として私、ルーク様に喧嘩売ってるんですよ!?王族に喧嘩売ったなんて思い出したくもない過去を話すなんて嫌です!」
ポカーン。
この場にいる全員、その言葉が一番似合う表情をしていた。
等の私は、次の瞬間、
「ごめんなさい!失言でした。忘れて下さい!」
と、一瞬で理性を取り戻し、謝罪していた。
あああああ!何馬鹿な事してるの私!何黒歴史暴かれそうになったからってもっと凄い黒歴史創ってるのよおお!
と、胸の内で絶叫しながら…
久しぶりの毒舌キター!(≧▽≦)(少々短めですが…)




