第十五章<優雅な?ティータイム>
脳内が「?」でフリーズしている私は、フィオの国王陛下、及び王妃様、に向かい合って、皇太子殿下と並んで城の応接間のソファーに座り、お茶とお菓子をいただいている。お茶はカモミールティー、お茶菓子は檸檬風味のクリームをサンドしたラングドシャだ。
豊かなハーブの香りと、すっきりとした酸味のクリーム。サクサクした軽いクッキー生地の相性が素晴らしく、緊張が少しほぐれた。
にしても、流石フィオね。一見地味でも、見る人が見ればわかるって仕掛けなのねぇ。
と、ここまでの流れからの結論を出した。
まず、廊下に生けてあった花だが、カスミソウだった。王家の象徴である薔薇を生けるときに引き立て役として生けられることが多い花だが、この場合、薔薇を生けずにカスミソウを主としたことは、みだりに王家の姿を見せることはないという牽制なのではないか。
さらには、生けてある花瓶は純白で、何の飾りもついていなかった。しかし、それには小さな凹凸があり、よくよく見ると、蔓草やその花が表現されている。
こんな技術、だれが持っているのか。魔法を使ったにしても気の遠くなるような長い時間がかかるであろう作品だ。
また、檸檬の時期はもう少し先なため、この時期に出回っている檸檬は通常のものよりも更に強い酸味を持つ。だが、クリームに混ぜ込んであることを差し引いても、この檸檬は十分熟していた。
つまり、温室で育てられたものということだ。
この世界の温室は、気温や湿度などを操る魔法で使う仕組みになっている。
といっても、全ての地域の温度や湿度を操れるわけではない。使う時間にも制限があるし、使える範囲にも限界がある。一か所の温度を一定にしておくようなことはできないわけではないが、その分範囲も狭くなるし、そこまで魔力を使うこともできない。常に魔力を消費しているようなものだからだ。多少の量なら回復量が上回るので平気だが、欲張ってその場所の魔法の精度を上げようとすると、使う魔力が回復量を超えて、良くてそれ以外の魔法の威力の低下、悪くて眩暈を起こしたり貧血になったり、命の境を彷徨った者もいたという。
そんなわけで、温室は、それを管理する者の魔力を格段に消費してしまうため、温室で取れた植物はかなりの高値で取引される。
それらから推測するに、この二人はただの見た目が若い&テンションが高い夫婦などではなく、フィオの国王夫妻として十分すぎる実力を備えた切れ者だ。
まあ、テンション高いのは生まれつきの性分なのだろうけど。というか、この三人の会話だけ聞いてたら、絶対アレン様のこと、他人か、一方的に嫌われている親戚としか思えないでしょ。
とか思っていると、王妃様が国を傾けかねない程の美しさと可愛らしさを合わせ持った笑顔と、キラキラとした瞳をして、
「ねえ、リリアーネちゃん。私が抱えてる間諜からね、アレンが、リリアーネちゃんの言葉に賛同して、向こうの阿保王子に説教したって聞いたけど本当~?」
と、聞いてきた。
えっ?本気ですか?
アレン様の方に助けを求める視線を向けたが、一瞬申し訳そうな顔を向けられた後、目をそらされた。
冷たいっっ!
後で問い詰めてやろう。
と、三日前と比べて大分関係が進歩したからできる思考回路のつながり方に半ば呆れつつ、どう受け答えをしたものかと頭を悩ませることにした私だった。
私自身はレモン風味のお菓子ってあんまり食べないんですけどね~(笑)




