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第十一章<旅立ちの朝>

 ついに、朝が来てしまいました。昨晩は寝ようと思っても寝付けなかったから、睡眠薬を飲んでようやく眠れたわけだけど。それでも起きたのはいつもより2時間も早い。皆寝てるかな~と思っていたけど、そんな思考はすぐに消える。アンナが、すぐ横にいたからだ。

「お目覚めでございますか、お嬢様。」

「お…おはよう、アンナ。」

「はい、おはようございます。では、お仕度を始めさせていただきます。」

早っ!?まだ4時ですよ?

「数十年後には女性の頂点に君臨されるリリアーネ様の門出です。使用人一同、全力で取り組ませていただきますね。」

あ…ハイ。もうお任せ致します。ちょっともう逃げられそうにないし。

かくして私は、女性使用人一同にきっかり3時間磨かれ、飾り付けられていた。終わった後、アンナなどは

「昨晩アレン様とお嬢様がお会いするとわかっておりましたら、もっと本気でお仕度を致しましたのに。」

と言っていた。怖い。私は一応年頃の淑女なのだが、まだそんな女性達の美に対する執念が理解できていない。使用人たちにこの話をすると、信じられないといった顔で凝視されるので、最近は黙ってされるがままになっているが。

まあ、そんなこんなで仕度が整った。正直言って、ルーク様に毒舌かました時より疲れた。というか、アンナの魔法、凄すぎない?薔薇の髪型になってるんですけど。しかも、髪型作るのにかかった時間、20分ですよ?いくらなんでも早すぎない?髪にメッシュまで入ってるし、これを魔法使わないで作るってなったら数時間はかかるからね?今更ですが、アンナ、凄い。

服もまた気合の入ったもので、群青色の地に、金の糸で刺繡が施されたドレスだった。その上から純白のカーディガンを羽織る。

アクセサリーも何やら皆で5分ほど相談した後更に10分程付けたり外したりを繰り返してやっと決まった。大粒の黒真珠がはめ込まれたイアリングだ。

メイクはあくまで自然に、しかし徹底的に。鏡で見たところ、自分の顔面偏差値が格段に上昇アップしていることが分かった。

女の完全武装ドレスアップを終え、朝食を取った私は、玄関ホールにいた。アレン様をお迎えするためだ。そして珍しく、私はがちがちに緊張していた。というかこの状況、緊張しないほうが異常だと思う。ああ、もういっそ、早く来てくれないものか。待っているほうが苦痛になってきた。いや、来たら来たでまた緊張するんだろうけど。

そんな思考が、10分程頭でぐるぐる回っていたが、それもとうとう停止した。アレン様の馬車が見えたからだ。だが、不思議とバクバク鳴り響いていたはずの鼓動は正常で、緊張も消えていた。

何故?

答えはすぐに見つかった。緊張が消えた一拍後、自分の中を強めの魔力が通った感覚があったからだ。それ程の魔力を持つ者は、この空間ではただ一人。

アレン様が、魔法を使ってくれたのね。

「ふふ。」

思わず、笑いがこぼれた。

アレン様が、私が緊張しているって、わかってくれていた。そして、それを和らげてくれた。それが、驚くほど、嬉しくて。

ニヤついていると、いつの間にか、馬車は我が家の前についた。慌てて表情を元の穏やかな微笑に戻す。こんな風に表情を取り繕うのは割と得意だ。上級貴族の令嬢となれば、やっかみを受けることなんて、日常茶飯事だから。どれほどはらわたが煮えくり返っていようが、どれほど心に傷を負おうが、常に笑顔でいなければ。常に冷静でいなければ。そうでもしないと、仕掛けてきた貴族ヤツラの思った通りに事が運んでしまうから。そんな攻防戦に勝利するための武器だから。

扉が開き、アレン様が入ってきた。その表情は、いつもの無表情に見えるけど、若干口角が上がっている。

そのことに少し安堵していると、アレン様がいつの間にか目の前に来ていた。

「リリアーネ嬢、この度は縁談に同意していただいたこと、感謝する。」

拒否権なかったですし、同意したのは父様ですけどね~。

まあ、ここは素直に頷いておく。

「ルミナス公爵も、この縁談だけでなく、移住の件に関しても礼を言う。」

本人、というか皆メッチャ喜んでましたけどね~

まあ、黙っておくが。

「それでは、また一か月後に。」

アレン様は、父様への挨拶もそこそこに、私のほうに向きなおる。そして、私に手を差し出した。おそるおそる自分の手を重ねれば、その手がそっと握られた。

恋人つなぎとかじゃなくてよかった~

第一印象がそれというのも酷い話だが、思ってしまったことなのだからしょうがない。

アレン様と手をつないだまま馬車へ乗り込んだ。

そして、故郷という名の貴族の8割がクズな弱小王国からの旅が始まる。

最近、ブクマした小説と、お気に入りユーザ登録した方が多すぎて、読むのも忙しくて、なかなか更新できていませんでした。(言い訳)ごめんなさい。<(_ _)>

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