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チュートリアルの姉(美香姉)

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 VRゲームが話題をさらってからしばらく経ち、以前より比較的手に入れやすい世の中となった。時流のせいか我が家にもVRゲームを行うためのゴーグルが届き、それに乗じてファンタジーRPGのゲームもやってきたのである。

 それらが届いて早速ゲームにのめり込んだのが美香姉だった。もともとそういうものに興味のあった彼女は寝る間も惜しんでゲーム漬けの生活を送ることとなり、そのせいでうちにVRゴーグルがもう一個増えることになってしまったのだった。


「一緒にやろ」


 ある日、そんなことを言われたのが始まりである。

 美香姉がプレイしている「StarGate Online」にログインした俺は、映し出される画面に従ってキャラクタークリエイトを済ませる。とは言っても、美香姉が自分の姿に似せて作っているのに倣ってこちらもなるべく自分の姿に似せてみた。


「これでいいのか……?」


 職業選択も終わらせた俺はようやくゲームの世界にやってくる。

 視界がぱっと開け、青々とした空と煉瓦造りの街が目の前いっぱいに広がった。ヨーロッパのような街並みと大きな門構え、広場の真ん中にある噴水、周囲に点在する鍛冶屋や薬屋などの店……どれもこれもが現実にはないもので、息をのむばかり。


 辺りをせわしなく見回していると、俺の隣の辺りに青い光が集まるのが見えた。少し待つとその光は人型を象り、杖を持った背の低い女の子が現れる。


「えっと……?」

「将」


 最初は誰だか分からなかったが声を聞いて気が付いた。

 薄緑の服にマントを羽織っていた彼女は美香姉の声で俺に声をかけてくる。


「やっと来た」

「あ……ごめん、待たせた?」

「ううん」


 頭の上に「mika」と出ているのを見て彼女が美香姉であることを確認。フードを脱いだ彼女の顔は現実世界で見るものとほとんど大差ないものだったが、普段とは違う服装であるためかしばらく見惚れてしまった。


「将」


 そんなことを考えていると頭の中を読まれたのか美香姉に怒られてしまう。

 あらかじめ聞いていた話だと、ゲームの世界へ本格的に入る前にチュートリアルのクエストをいくつか終わらせる必要があるらしい。右も左もわからない自分をベテランの美香姉が道案内してくれることになっていた。

 最初からこんなことで呆けていては申し訳ない。反省しないと。


「早く終わらせよ」

「うん。美香姉、よろしく」

「……変なことすると、BANされるから」


 美香姉はそう言って睨みつけてくる。何かしてしまいそうだから何も返せない……

 とにもかくにも、俺のVRデビューは彼女の補助もあってうまくいったのであった。

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