クリスマスの姉2015 2
なぎささんと希さんが来たのはそれからしばらくしてだった。なぎささんはなにやら白い物がたくさん入ったビニール袋を持っていた。千秋さんがその袋を見てほくそ笑む。なぎささんの後ろにはケーキの箱を持った希さんがいた。
「何かやるんですか?」
「私も聞いてませんね。千秋さんは何を考えているのか……」
「たくさんのクリームといちごをなにに使うんだろ……」
希さんがぼそぼそと呟きながらケーキの箱を台所に持っていく。部屋の飾りつけ担当の美香姉の様子を見ると、美香姉はどこからか持ってきた椅子の上に乗って天井付近に飾りを付けようとしていた。だが、身長が惜しくも届かない。美香姉が頑張って背伸びをするが、それでもあと少しだけ足りない。
手伝ってあげようと美香姉の隣に来ると、それを察した美香姉がこちらを見下ろした後に何やら合図した。それが「かがんで」ということだと理解した俺は少し背を低くする。美香姉は俺の方に乗り、俺が背を伸ばしてやや椅子に足をかけると、先程は届かなかった場所に美香姉がやっと手を付くことが出来た。しばらくして美香姉が終わったようなそぶりを見せ、彼女を下ろしてあげる。
「……ありがと」
「どういたしまして。美香姉も頑張ったよ」
美香姉の頭を撫でてあげると、少しふてくされたように違う方に目を向けてしまう。だがその顔はほんのり赤く染まっている訳で。まだまだ美香姉にも子供っぽい所があるんだな、と思っていると、それを察せられた美香姉に頭をぺしんと叩かれる。すいません。
「美香ちゃーん、そっちの飾りつけは終わった?」
丁度その時理子姉がやって来た。理子姉は部屋の様子を見るとおおっ、と声を上げる。
「頑張ったね。よしよし」
今度は理子姉に撫でられ、美香姉はむーと変な声を上げる。そのまま理子姉にぎゅっと抱かれると、本当に子どものように美香姉は理子姉に甘えるのであった。その様子を見て、俺の入る余地はあまりないと察知し、2人の邪魔をしない様に俺は部屋を出る。




