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赤ワインの姉 2

 百合姉の部屋の扉をノックする。返事が来たため、中に入った。

「どうしたの? 将」

 丁度百合姉がワインをグラスに注ごうとしていた所であった。彼女はパソコンデスクの前の椅子に腰を掛けていた。む、ワインが既に開いている。

「ナイフ、いらなかった?」

「ああそれね。チーズを取る前に開けて、シンクに放り投げてたの」

 百合姉は足を組みながら、グラスに注がれたワインを揺らして答える。何とも大人である。彼女はこちらを見て口の端で微笑んだ。心の底まで見透かされそうな目をしていた。

「将もどう?」

「俺はいいです」

「そんな事言わないの。女の酒にはちゃんと付き合ってあげないと」

 百合姉は準備がいいのか、足元にあった袋の中からペットボトルのジンジャーエールを取り出し、手渡してきた。受け取るしかないだろう。特に用事があるわけでもないから、百合姉のワインに付き合ってあげようか。下心もないわけではないけど。そんな事を思いながら、近くにあった百合姉のベッドに座る。

「んん、結構アルコール強いわね」

 一口飲んだだけでも、百合姉はほんのりと顔を赤く染めた。大人の色気という物だろうか。髪をかき上げたその姿が、言葉に出来ようもない艶美さを感じさせる。視線を固定されてしまっていた。百合姉が、それに気づく。

「さっきからこっち見ないの」

 百合姉がグラスに少しワインを残したまま、それをデスクの上に置いた。そして、こちらを見て笑みを浮かべた後、ベッドに倒れてきた。

 動けない。百合姉の顔をちらりと見た時、彼女の顔は既に上気していた。決して酔い潰れた訳ではないだろう。ビール時のそれとは違った、独特のエロスが滲み出ていた。

「将も大人になってみない?」

「大人って……」

 百合姉は耳元に口を近づけて言った。

「二人でいけなーいことをしちゃうの」


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