新婚っぽい姉 3(終)
夜。大分寝てしまった。女の人の声が聞こえてくる。なんだか愛理姉の声ではないらしい。しばらく経って覚醒し、こっそりと音のした方を見ると、そこには、あの百合姉が買った姉物のゲームの画面があった。ちょうど、うん、よくあるあのシーンである。
よく見ると、主人公の名前が「将」となっていた。おかしい、俺はこんなゲームを始めた覚えはなかったのに。薄目を開けて画面を見ていると、そのプレイヤーらしき人物の声がした。
「将君……こんなことしちゃだめでしょっ」
愛理姉の声であった。今は俺は寝ているふりをしているため、おそらく独り言に違いない。愛理姉がこのゲームを、俺の名前でやっていたのだ。うむ。なんというべきか。
「あぁぁ……だめぇ、将君……」
愛理姉の扇情的な声が聞こえてくる。そして何となくではあるが、今俺は愛理姉の両膝の間にいるのではないかと思い始めてきた。彼女は正座をしていて、その両膝の間に頭を置いているのではないか。
ちらと上の方を見てみた。愛理姉は気づいていない。それどころか、自分で自分の胸をちょんちょんと触っていたではないか。その光景を見て、思わずびくっと震えてしまう。
愛理姉が気づいた。目が合ってしまった。
「……あ」
愛理姉の顔が真っ赤に染まっていく。胸から急いで手を離したが、時すでにお寿司。
「愛理姉。何、やってたの……?」
それを聞いた愛理姉は、少し固まった後、転がっている俺に思い切り抱き着いた。
朝。理子姉が俺の部屋のドアを開けて挨拶をしたおかげで何とか起きた。
「おはよー! そしてただい……」
理子姉が固まる。愛理姉が、俺の上にまたがったままベッドに倒れていたのだ。
「……失礼しましたー」
そう言って部屋のドアを閉める理子姉。……ゲーム、ちゃんと電源落としたっけか?




