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差し入れの姉 2

「それで、私の所に来たわけ?」

「そうだよー、百合姉」

 理子姉はバニラシェイクを片手にそうつぶやいていた。俺の向かいに座っているなぎささんもバニラシェイクを飲んでいる。俺は冷たい麦茶を飲んでいた。

「サンドイッチ頼むよー、いつものでいいからー」

「……分かったわよ」

 百合姉がカウンターの奥に行った後、理子姉はふふふと笑ってこちらを見つめてきた。子供っぽい理子姉を、隣からなぎささんが、バニラシェイクをずずずとすすりながら見つめている。そして、彼女もこちらを見てきた。

「正直に答えてくださいね」

「は、はい」

「私と理子さん、どちらが好きです?」

「私も気になるなそれ」

 二人からじっと見つめられ、窮地に立たされてしまった。なぎささんも理子姉もどちらも十分に魅力的な人である。理子姉はスイッチが入ってバカ姉になることを除けば十分頼りになるし、辛いことがあったら甘えさせてくれる。なぎささんも、理子姉への配慮があって控えめだろうが、自分に尽くしてくれた。

 じっと考え込んでいると、百合姉がサンドイッチを持ってきた。彼女に助けを求めようと、去り際の百合姉に慌てて話しかける。

「あ、あのさ」

「何?」

 いかにも迷惑そうな冷たい目で、彼女はこちらを睨みつけてきた。は、はいすいません、と引き下がるしかなく、百合姉に話をそらそうとしたことで不機嫌になった二人の相手をしなくてはいけなくなった。これはひどい。

 痺れを切らしたのか、理子姉がなぎささんに言う。

「決められないなら、三人で一緒にお買い物に行こう!」

「いいですね。買い物で決着をつける、というのはどうでしょうか」

「そうしようそうしようっ」

 二人は俺を見て、もちろん行くよね、と視線で語り掛ける。もちろん拒否権はなかった。


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