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縛られる姉 2

 今日一日大分働いたため、体中に疲れがどっしりと残ってしまった。夕食まではまだ少しだけ時間があるからせめて体を横にしよう、と俺の部屋に向かい、ドアを開けた。

「……え?」

「あっ」

 理子姉が俺のベッドの上で、手と足をロープで縛られている状態で転がっていた。見た感じ結び目は固く、足も同じように縛られているため彼女は動けない。さらに、理子姉は白い半そでにホットパンツというきわどい、季節を間違えたのではないかという格好をしていた。俺の部屋のエアコンが働いていたため風邪はひかないだろうが。

 口をあんぐりとあけていると、後ろから足音が聞こえてきた。自分がやった訳ではないが、この状況は誰かに見られるとまずい。急いで部屋のドアを閉め、理子姉を布団で覆い隠した。その後自分も布団の中に入り、あくまでも理子姉と一緒に寝ているのだ、と言い訳ができるようにする。

 足音が遠ざかり、少し安心したのもつかの間。理子姉がこちらを見て目を潤ませていた。布団をとると、彼女は緊張しているのか、汗のにおいがこちらへ漂ってくる。

「……将君、ほどいてよぉ」

「わ、わかってる」

 理子姉の手のロープをほどこうと、結び目をどうにかしようとした。だが、このロープの結び方は曲者も曲者。ほどこうとしたらほどこうとするほど余計にきつくなる。理子姉が痛みにもだえるのを聞きながらも、ほどくことはできない。足も同様だ。

「あぅぅ、将君、縛らないでぇ」

 理子姉がびくんと震えるたびに結び目がきつくなる。これでは無理だ。

「理子姉、少し黙ってて」

「ひっ」

 何かに怯えたかのような表情をして理子姉が静かになった。今のうちにとほどこうとしたが、これほどきつくなってしまってはもう無理だ。刃物は使いたくない。

 そうなると理子姉は、俺がきついことを言ったのとほどけないのとで落ち込み、俺の方にすり寄って来た。脳裏にはあのアニメのシーンが浮かぶ。

「駄目だ、理子姉。ほどけないよ」

「ほどこうとして、きつくしてるんでしょ?」

「な、俺はそんなこと」

「わかってるよ。お姉ちゃんが縛られてるのを見て、ちょっと興奮してるんだ」

 理子姉は理解したかのような顔で俺の目を見た。図星だった。ロープをほどこうとはしているが、本気でほどこうとはしていなかったことに今更ながら気づいた。ずっと、縛られている状態の理子姉が見たかったのだ。そして、やはり興奮もしていた。

「……少し黙っててくれ」

「なんで?」

「聞けないなら無理矢理黙らせるまでだ」

 理子姉の口を強引にキスでふさいだ。


 部屋には理子姉の甘い息が響いた。格好が恰好なだけに、後ろ手に縛られていると彼女の胸が前面に押し出され、そのおかげで下着が薄らと透けて見える。白だった。

「将君、だめだよ……」

「理子姉だって喜んでるくせに」

「いやぁ……」

 彼女は涙を流していた。確かに無理矢理こんなことをされては傷つくだろう。だが、俺には理子姉が別の理由で泣いているように見えた。まるでこうなることを望んでいたかのように。念願かなって泣いているのかもしれない。

 実際、理子姉の肩を撫でると彼女は全身から力を抜く。目が合えばもう、理子姉は俺のそばから離れようとはしなかった。それどころか、彼女の方から距離を縮めてくる。拘束された理子姉の魅力に俺は見事に捕まってしまい、彼女同様離れられない。

 突然、意地悪な考えが浮かんだ。

「理子姉、何をしてほしい?」

「何をって?」

「ほら、今の理子姉は動けないじゃん。俺が代わりにやるから、って」

 理子姉は一瞬だけ目をそらした。彼女にだってやってほしいことはあるのだろうが、自制しているのが見て取れる。俺も、これからやろうとしていることが悪い事とは分かっていた。分かっていたが、実行してしまった。

 彼女の口が開き、ぼそっと言葉が漏れる。

「……って」

「何?」

「……さ、……って」

「聞こえないな」

 突き放すように言うと、理子姉は涙目になりながらやけになって叫んだ。

「触って!」

「どこを?」

「その……」

 もごもごとする理子姉。最後の堀を今、俺は無理矢理埋めようとしていた。彼女の顔は真っ赤に染まっていて、俺がそっと頬を撫でるとふしゅーっと蒸気を上げてしまいそうになっている。目が合った時、理子姉は諦めたように言った。

「……胸を、触ってください」


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