アドバイザーな姉 4(終)
予約を取っておいたホテルはそれなりに夜景がきれいな所だ。ディナーの店と同じで人気のあるところは高くなるため、穴場的な所を頑張って探した。その結果取れたこのホテルのベッドに今、千秋さんはへろへろになって倒れている。
俺が千秋さんの横に座っていると、彼女は窓の方を指さした。
「……雪」
「本当ですね」
今日はホワイトクリスマスだ。千秋さんは指さした手で俺の肩をつかむと、そのまま俺の方を見た。彼女の腕の力が弱い。シャンパンで酔っているからなのかもしれない。
「千秋さん、一緒に寝ますか」
「……頼む」
同じベッドに入り、俺は先制攻撃で千秋さんを後ろから抱いた。何か反撃が帰って来るかと予想していたらそうでなく、千秋さんは俺の腕の中でじっとしていた。そのまま俺の方に体の向きを変え、俺の動きに抗う事もなく寄り添ってきた。
「将……大好きだ、お前の事が大好きなんだ」
「俺も、千秋さんの事が大好きです」
「好きだ、好きだ、好きだ……好きだ……!」
千秋さんの目からは涙が流れていた。彼女を強く抱くと、力が抜けるように俺の方にもたれかかってくる。もう、あの強気な千秋さんはいない。
キスをすると、彼女の方からもしてきてくれた。酒の匂いは不思議と気にならない。間接照明で照らされたシックな感じの部屋の中で、千秋さんが俺の腕の中にいる。彼女の事が、とても愛しい。
「ぜんぶ、ぜんぶ将にあげる」
「……ありがとうございます」
俺は、一線を超えない範囲で千秋さんの全てを堪能した。




