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アドバイザーな姉 1

 クリスマスイブ。カップルがたくさん増える魔法のような日の事、俺はその日に千秋さんとデートをする予定を入れていた。理由は単純なもので、千秋さんとデートをしたことがなかったからである。うちの姉さんたちからえー、とかそういう事を言われたが、約束をした以上はやはりきちんとやらなければいけない。

 千秋さんとデートをするのはさっきも言ったとおり初めてである。彼女の事を良く知っている姉さんたちに話を聞いた。

「百合姉ー、千秋さんって何か好きな飲み物ってあるの?」

「デートの事ね。千秋は確か……酒は結構飲むわ。酒豪だから長期戦は覚悟ね。でもいつも居酒屋でビールだから、高級な店には慣れてないかもしれないわ」

「酒豪だったのか……確かにちょっと飲んでいるところしか見たことないからな」

 理子姉に聞いてみると、やはりお店の常連。結構いろんなことを知っていた。

「理子姉、千秋さんの事で何か知ってることある?」

「千秋? うーん……実はああ見えて、千秋ってエスコートされるのに慣れてないんだよね。だから向こうから常にがっついてくるの。手なずけられるのに慣れてない肉食、てところかなぁ」

 二人とも、何か途中であったらメールをしてくれと笑顔で答えてくれた。俺が別の女の人とデートをしても怒らない姉さんたちが素敵です。年越しの時は一緒に過ごしましょう。

 理子姉に聞いた次はなぎささんだ。なぎささんなら何か知ってるかなと。

「……あー、もしもし。将です」

〈将さんですか? いきなりどうしたんです?〉

「千秋さんとクリスマスに出かけることになりまして、何か彼女について知ってることがあればと思ったんですが」

〈千秋……さんねぇ。彼女はあまり待たされるのは慣れてないみたいだね。結構心配性な所があるから、それをごまかすために怒ったりするらしいけど〉

「あ、ありがとうございます」

〈はーい〉

 いい情報を聞いた気がした。


 千秋さんに事前に何を食べたいか電話で聞いたところ、ぼんやりと「洋食」という答えが飛んできた。インターネットの力を借りて雰囲気のいい店を探し、イルミネーションも位置情報を全て頭に叩き込み、当日のスケジュールを立てる。自分のポケットマネーにも相談し、金を限界まで絞り出して何とかいい店を予約することに成功した。ついでにいい感じのホテルも安値で取れた。評判もなかなかだからこれは期待できそうだ。

 クリスマスイブが近い。


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