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旅行する姉 4

 黒饅頭の量は姉さんたちの分よりは多い。俺と美香姉の分である。気が付けばもう2時になっていて、どうしようかなと思っていると美香姉がカバンの中を漁った。その中から出てきたのは、以前旅館でプレイして美香姉が完敗したぷよぷよである。

「これやるのか? 美香」

 こくりとうなずく美香姉。まだ美香、という呼び方に慣れてないのだろう。少し彼女の視線が動揺するが、頑張って旅館のテレビにゲーム機を接続する。実の姉、という関係も忘れる程美香姉は問答無用に可愛い。そのまま抱きしめたくなるが、それは夜までとっておこう、と自分に言い聞かせる。

 準備は出来たらしい。俺と美香姉はコントローラーを握った。


 美香姉もあれからかなりの量を練習したのか、俺と美香姉は互角の戦いであった。互いに五連鎖、六連鎖と相手を攻撃していき、徐々にお互いのぷよが高くなっていく。

 美香姉の身体が俺の方にもたれかかってきた。ちらと見ると、美香姉が俺の方を何かを懇願しているかのように見つめてくる。それに心奪われていると俺のぷよは上まで積み重なってしまい、負けてしまった。

 その視線は反則だ、と言う暇もなく、俺は美香姉に抱きしめられていた。二人きりの部屋に、俺と美香姉の少し興奮した吐息の音がする。

「……将は、私の事好き?」

「……ああ。大好きだ」

「家族として? ……それとも」

「一人の女としてだよ」

 美香姉が、世界で一番愛しい存在に思えた。俺は優しく美香姉とキスをすると、その場で一緒に横になる。背中を抱きしめて来る腕の感触が強くなり、それに負けじと俺も強く抱きしめた。ただそれだけなのに、俺は空にも上ったかのような感じを得る。これを言葉に表すのは難しい。言うなれば、まるで心が空を飛んでいるかのようだ。

 ぷよぷよがもし実在していたら、美香姉とどちらが柔らかいのだろうか。今の俺であれば、必ず美香姉、と答えるだろう。子猫よりも、ハムスターよりも、美香姉が可愛いと断言できるだろう。彼女の頭をそっとなでてやると、美香姉は全身から力を抜く。

「……私も、将のことが大好き」

「……ありがとう。美香」

「そんな目で言わないで、ばか」

 美香姉は俺と見つめ合いながら、小さな声でつぶやいた。


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