旅行する姉 2
少し経った後、美香姉と俺は同じ温泉に入っていた。混浴である。前に百合姉たちと来た時とは違い、美香姉と二人きりである。何だか照れくさい気持ちも少々。
美香姉も同じ気持ちなのか、俺の隣になかなか入ろうとしなかった。少し離れた所に入って、俺の方をちらと見てくる。その可愛い姿に俺の視線も持っていかれるわけで。
「……美香姉もこっち来たらいいのに」
「……じゃあ、行く」
左隣に美香姉がやってきた。タオルがまかれている身体の凹凸は他の姉さんより劣るかもしれないが、それでも美香姉が可愛いことには変わりない。だが、美香姉は自分の身体の事をとても気にしているようであった。その姿もかわいい。
俺の左腕を少し掴むと、美香姉は自信なさそうに言った。
「お姉ちゃんたちよりはなくて、ごめんね」
「……いや、美香姉はそれくらいがいいよ」
「どういうこと?」
少しムッとした感じの声で美香姉が返してきた。あ、怒らせかけたかもしれん。
「美香姉は今のままでも可愛いんだよ」
「……っ」
自分でも恥ずかしくなるような言葉だったが、美香姉は言葉を詰まらせてうつむいてしまった。その顔はこちらから見てもわかるほど赤くなっていて、俺の左腕をつかむ手に少しだけ力が入ってくる。
「……ばか」
「ごめん」
「謝らなくていいのに」
俺と美香姉の他に温泉には誰もいなかった。美香姉の背中に左腕を回し、そっと抱くと、美香姉は目をトロンをさせて俺の方にもたれかかってくる。途端に美香姉を離したくなくなり、俺は強く抱きしめてしまう。
美香姉と目が合った数秒後、俺は美香姉からキスをされていた。
「んっ……」
「……っ」
温泉でのぼせたよりも、美香姉とのキスでのぼせたのかもしれない。頭がぼうっとする中、俺と美香姉はほんの少しだけ残った理性でお互いを保っていた。美香姉は長いキスを終えると、俺の胸元に寄り添う。そろそろ美香姉も限界が来たのだろう。
「上がるか、美香姉」
「うん」
丁度昼時だ。外で何か食べるのも悪くないだろう。




