表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
172/375

ハロウィンの姉 1

ハロウィン特別版

 ハロウィンの夕方、俺は百合姉から届いたメールを見て唸っていた。その文面には、

「仮装をして待ってるから、お菓子を買って来て頂戴ね?」

とのことである。近くのコンビニで10個入りのクッキーを買い、俺は帰ることにした。


 日も短くなってきたため、帰るころには暗くなっていた。家のドアを開けると、中は真っ暗である。明かりの一つすらついていない。

 少々怖い気がしたが、俺は玄関からあがった。すると、少し先がぼんやりと明るくなる。キャンドルを持った、魔法使い姿の美香姉だ。黒いフード付きのコートを羽織っていて、それでいて小柄なのがなんとも愛らしい。

「トリックオアトリート」

「……なるほど」

 百合姉がお菓子を持って来いと言った理由が分かった。俺は美香姉にクッキーをあげようとするが、バニラかチョコのどちらを渡すかです少し考える。美香姉は二つのクッキーをじーっと見つめ、俺の方を見てきた。はいはい。

「二つともあげるか」

「……ありがとう」

 美香姉の顔がほんのりと赤く染まったような気がした。美香姉が案内した部屋に入る。


 台所に入ると、そこにはメイド服姿の愛理姉がいた。いや、頭にはきつねさんのお耳がついているではないか。お尻の辺りにはかわいらしい尻尾も。その視線に気づいたのか、愛理姉はこっちを見ながらむーっとしている。

「……と、トリックオアトリート」

「ほい」

 袋の中からクッキーを二枚とり、愛理姉の手に渡した。が、愛理姉は俺の目を見て何かをお願いし始める。も、もう一枚欲しいのか愛理姉。

「……ほい」

「あ、ありがとうございます、ご主人様」

 きつ耳愛理姉が可愛すぎる。これは不覚だった。しかもメイド服。このまま愛理姉と戯れていたいのだが、理子姉たちが待っているに違いない。寂しそうな愛理姉を置いて、俺は次の部屋に向かった。


 理子姉の部屋に入ると、そこには天女のような格好をした理子姉がいた。部屋も少し装飾がしてあり、いつもの音楽に溢れている部屋ではなく、とても神々しい部屋へと様変わりしている。

「将君、トリックオアトリート」

「お、おう」

 クッキーを二枚渡すと、理子姉は俺の頭をなでてくれた。そしてそのまま理子姉に抱き着かれてしまい、何も出来なくなってしまう。理子姉の姿がそうなのかもしれないが、俺は何か大きな物に抱かれているような気分になった。

 ずっとこうしていたい気持ちもあるが、百合姉が待っている。理子姉の顔を見ると、仕方なさそうに微笑んでくれた。余計に離れたくなくなってしまうが、俺は理子姉から離れると部屋を出た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ