悪魔世界の特別公演 8
無事一曲目が終わり、盛大な拍手が送られていた。
理子姉は一例をするとステージ裏まで下がり、俺の隣に座る。
「次は良いのか?」
「リリィさんたちの活躍する場所だからいいのよ」
少し百合姉の事が心配だから百合姉の方を見るが、百合姉は笑顔だった。
リリィさんがリーンさんに合図をすると、リーンさんは肩を回した後にシンセサイザーに手を付ける。そうして、シンセサイザーから音が流れた。
「……この曲は?」
「Sota.Fujimoriさんの『PARANOiA Respect』。本当に原曲の人を尊敬してるみたいね」
聞いたこともないような音がリーンさんのシンセサイザーから鳴り響いている。何かが内側から出てくるような、横に揺さぶってくるような音が。たった一人で演奏しているとは思えないような音の重圧を感じる。
インターバルで一旦静かになるが、その後にリーンさんの指がシンセサイザーを目に見えない速さで連打する。そして、今度は足も動いた。
同じキーを高速五連打。シンセサイザーが壊れるのではないかというぐらいの連打で、最後にサイレンが鳴って曲は終わった。
「……リーンさん、何者なんですかね」
「彼女の名前はリーン・フジモリ。さっきの原曲の人に憧れてシンセ始めたんだってー」
リーンさんが礼をすると、彼女に向かって悪魔たちの歓声が響いた。
次はリリィさんとハービィさんがギターを持ってステージの前に出た。百合姉もスティックを握り、準備をする。リーンさんもシンセサイザーの設定をいろいろ変えていた。美香姉のベースも準備がよろしいらしい。
「それじゃあ、始めるよ!」
「曲は96さんの『一網打尽』で」
百合姉のドラムから始まり、二人のギターサウンドが会場全体に響き渡った。
陰でリーンさんのシンセサイザーが音を助けている。おかげで、曲全体はとてもかっこよく仕上がっていた。
リリィさんはあるところまで弾くと、ハービィさんに場所を譲るかのように下がる。ハービィさんは少しうなずくと、もう少しだけ前に出てギターを鳴らす。かっけぇ。
百合姉のドラムが凄いことになっていた。美香姉はお休みが多いらしいけど。
次はリリィさんが前に出て、ハービィさんが後ろに下がった。リリィさんのギターサウンドも負けてはいない。楽しそうに弾いているように見える。やはりかっこいい。
そして、終盤になると二人が前に出た。最後の大サビの所は二人のギター、美香姉のベース、百合姉のドラム、リーンさんのサウンドが見事に絡み合い、何かの限界を超えたような音圧が会場全体を揺るがす。
曲が終わると、何もなかったかように静まり返り、そして拍手と歓声が起きた。
気になったら検索すべし。どちらも良曲。




