悪魔世界の特別公演 5
「面倒くさいじゃねぇか」
「そうだねぇ。まぁ、人間界だと普通の人間でいられるけど、魔界でそれはねぇ」
自分の体の白い液を残さず舐め終わった百合姉は、背中の翼を畳んで俺の方を見た。
目の色は変わってはいないが、落ち着いたようだ。
「一応、魔界でサキュバスは暴れん坊さんなんだ。男の子を捕まえてあんなことやこんなことをしたりするんだよぉ」
あんなことやこんなこと。自分もされてみたいと思ったりしたが、すぐさまそれはまずいとブレーキをかける。それを読み取ったのか、リリィさんが笑った。
「お姉ちゃんとあんなこととか出来るんだよ?」
「断っておきます」
「うん。それでこそ姉弟だね。さて、対処法は……」
姉弟、という言葉を久しぶりに聞いた。確かに、姉弟でそれはまずいわな。
リリィさんは少し考えた後俺に言う。
「お姉ちゃんを満足させてあげるしか」
「それ駄目じゃないですか」
「確かにねぇ」
リリィさんはまた考え出す。答えはいったい出てくるのだろうか。
「とりあえず抑制薬は出しておくね。今日一日は持つはずだから、今日のうちに渡しておくね」
リリィさんはそう言うと、俺と百合姉を置いて遠くへ行ってしまった。
百合姉は俺の顔を見ると、その場で目をトロンとさせる。
「将……私、どうしてた?」
「な、何もしてなかったよ」
「……将が、何だかおいしそうに見えるの」
百合姉が俺の事をじっと見つめているが、襲っては来ない。満足したのだろう。
なんだかまだ足りなさそうだが、襲っては来ないらしい。
「……ごめんね。もう寝るわ」
百合姉はそう言うと、ふらっと立ち上がりながら自分のベッドで横になった。




