表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
161/375

悪魔世界の特別公演 3

 ドラムは百合姉、ベースは美香姉。ただ、他のエレキやシンセサイザーはリリィさんにあてがあるようだ。その人の所へ、俺と愛理姉はお願いをしに行っている。

「えーっと……ここでいいんだよね、将君」

「らしい」

 俺がドアをノックすると、中から女性の声がした。

 少し待っていると、少し背の高い悪魔が中からドアを開ける。

 その奥に、シンセサイザーを前に何か考え事をしている悪魔もいた。

「おや、いらっしゃい。リリィから話は聞いてるよ」

 彼女は真っ青な髪を腰まで伸ばしていたが、皮膚の色は人間と同じだ。背中から生えているギザギザの翼が特徴的である。

 俺と愛理姉は中に入り、ライブのことについて少しお話をした。すると、青髪の悪魔は言う。

「つまり、エレキを担当してほしいってことだな」

「はい」

「エレキか……リーン、お前も参加してみるか?」

「……うん」

 リーンと呼ばれた、シンセサイザーの前にいる悪魔はこっちを向いた。

 髪の色は黒い。特徴的なのは周りにまとっているダークオーラか。

「……ハービィ、この子たちは?」

「お姉さんのバンドの依頼者よ。あ、私たちは協力させてもらうわ。そう伝えておいて」

 俺と愛理姉は顔を見合わせた。

 なんか、ぽんと話が付いたな。もっと難しくなるかと思っていたけど。



 その日の夜、俺たち白金家は魔界のホテルに泊まることになった。

「わぁ、魔界だけど人間界のホテルと変わらないねぇ」

「人間界の監視役だけど、いいところは真似するってリリィさんが言ってたな」

 もふもふのベッドに、お風呂とかも完備。日本人だけかと思っていたが。

 愛理姉はベッドでぴょんぴょん飛び跳ねていて、美香姉はその隣のベッドで横になる。理子姉はベランダへ行き、百合姉は椅子に座って薄い本を読み始めた。

「……理子姉」

 ベランダへ行き、理子姉に明日のライブについて聞こう。

「明日のライブ、本当に急だけど出来るの?」

「曲のレパートリーは決まったし、楽譜も全部向こうに渡したわ。あとは本番だけ」

 理子姉の目は少し真剣だった。

 ベランダからは、ライブの開催予定地がぽつんと見える。小さな点のような会場の周りをたくさんの悪魔が埋め尽くすのだ。理子姉ってやっぱりすごいな。

「楽器の担当者って、レベルはどれくらいか分かるのか?」

「……リリィさんが胸を張って言ってくれたんだ。任せてって」

「じゃあ従うしかないか」

 理子姉はくすっと笑うと、部屋の中に入ってベッドに倒れた。愛理姉もどうやら寝付き始めたらしい。みんな明日のライブに備えているのだろう。

 ただ、百合姉は未だに寝ていないが。

「……ねぇ、将」

「どうしたんだ? 百合姉」

 百合姉が本を置いて、俺のいるベランダへやって来た。

 なんだか、様子がおかしい。

「百合姉、どうした……おわぁ!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ