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恥ずかしがる姉 1

「頼む、将。今度昼食代おごってやるから頼む!」

「んなこと言われても……ねぇ」

 休み時間、俺は健一に頼み込まれていた。

 普通「友達ならそれくらいいいじゃないか」とか言うが、これは特殊である。

 いや、これが普通なはずがない。普通であってたまるか。

「頼むから、愛理さんのパンツを一つでもいいから持ってきてくれ!」

「……」

 健一はそう言うと土下座をし、地面に頭を何度もこすりつけた。

 いやそんなの出来るわけないでしょ。愛理姉に見つかったらどうするのと。

 そんな事を考えている俺を察したのか、健一が自分のバッグを漁った。

「あーあ、せっかくやってくれたらこれをやろうとしたのに……」

 健一が取り出したのは、水着姿の理子姉のポスターだった。

 しかし俺には分かる。あれは理子姉の写真の中でも特級のレア物。

 ハワイで撮ったとかの写真で、む、胸の谷間が、ががが。

「健一、やっとくわ」

「おう、頼んだぞ」


 男という物は女に弱いものである。なんでこんなことを引き受けてしまったのか。

 だが理子姉のあのポスターがもらえるから頑張らねば。なにやってんの俺。

「愛理姉、どれくらいかかりそう?」

「一時間くらいかなぁ」

「わかった」

 台所で愛理姉が来ないことを確認し、俺はこっそりと愛理姉の部屋に向かった。

 ドアを静かに開け、中に侵入する。なんだろうこの気分。

「……あった」

 タンスの底の方に、愛理姉の物らしきパンツがある。

 真っ白。純白だ。やべぇ鼻血出るぞこれ。こんなの愛理姉はいてたのかよ。

 持っていこうか。いや俺の部屋に置いておこうか。でも理子姉のポスターが。

 というより俺何考えてんのさっきから。さっさと健一にもっていかないと。

 いやでも愛理姉のパンツだ。健一に渡すわけにはなぁ……うーん。

「何……やってるの?」

 声に気が付いた俺が振り向くと、少し開いていたドアの向こうには愛理姉がいた。

 つんだ。どうしよう。


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