表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
5節 逃げるか、逃げないか

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/285

第067話 情報共有

 梨奈りなちゃんと颯馬そうま君と話した次の日の放課後。

 私達4人はすぐに帰らず、屋上に出られるドアの前に集まっていた。


 本当は屋上の予定だったんだけど、流石に日差しが痛かったので扉の前に変更になった。主に智陽ちゃんの要望で。


 でもやっぱり、刺すような日差しは痛いよ。


 でも、誰も来ない屋上の扉の前での作戦会議。

 これはこれでなんか楽しくて、私のテンションは高かった。


 別のクラスの志郎君が来て、全員揃ったところで私は「じゃあ」と口を開く。


「情報共有といきましょう!」

「おう!」


 そんなテンションが高い私達に「何でそんなにテンションが高い」というまー君のツッコミが突き刺さる。


 私は、まー君へ「だって」と反論を口にする。


「ひとけのないところに集まって情報共有ってそれっぽくない!?」

「な!テンション上がるよな!」


 まー君は「遊びじゃないんだぞ」と言ってきた。


 ……ちょっと怒ってる声じゃない?


 だけど、そこに予想外の言葉が飛んできた。


「……気持ちはわかるかな」

「だよね!?」


 智陽ちはるちゃんが、まさかの同意を示してくれた。

 一方、まー君はため息をついた。


 ……多分呆れられてる。


 でも智陽ちゃん。最初は何考えてるかわからなかったけど、最近少しずつ心を開いてくれてる気がして嬉しい。


「で、何か話すことがあったから集まったんだろ」

「そうそう!」


 そう。集まってもらったのは昨日、梨奈ちゃんから聞いた鈴保すずほちゃんの話を3人に伝えたかったから。


 でも、先に連絡をくれたのは志郎しろう君。

 昨日21時過ぎに「鈴保ちゃんを見つけれて、話ができた」というメッセージがグループに来た。

 だから私もその時、私も何があったかをグループで改めて報告した。


 そのときに、今日集まることも決めた。


「それで、どっちからだ」

「じゃあ、私からで!」


☆☆☆


「つまり……砂山さやまさんは怪我によって、中学3年間頑張ってた陸上の最後の大会に出れなくなった。そこから陸上をはじめとした、何もかもが嫌になってしまった。それが原因で昔からの部活仲間と喧嘩してたと。

 そして好井よしいさんは砂山さんを待ってるけど、小坂こさか君はそうでもなさそう、と」

「のようだな」


 私と志郎君がそれぞれ聞いた話を話した後、智陽ちゃんが短く纏めてくれた。

 まー君は黙って何か考えているみたい。


 ……私は、梨奈ちゃんの話を聞いたときから、鈴保ちゃんの力になりたいと思ってた。

 そして今、志郎君が聞いた話を聞いて私は、さらに力になりたいって強く思った。


 だって、せっかくの高校生活。笑えないのって苦しいと思う。


 でも……どうしてあげたらいいんだろ……。


 私だけでも考えても答えは出ない気がしたので、私は思い切って口にしてみる。


「ねぇ……私達、鈴保ちゃんのために何か出来ないかな?」

「俺も同じこと考えてた。何かしてやりてぇんだよな……。

 まぁ調子に乗るなって言われたんだけどさ……」


 どうやら志郎君も同じことを考えてたらしい。

 そして志郎君と「う〜ん……」という声がハモる。


 しかし、まー君は厳しかった。


「別に何もしなくて良いだろ。それは砂山が自分で解決する問題だ」

「まー君、澱みや堕ち星が関わらないと冷たくない!?」

「……不必要に他人の問題に首を突っ込む必要はないだろ。他のことに首を突っ込んで、本来するべきことが疎かになったら本末転倒だ。

 俺達は俺達がやるべきことをやれば良い」


 言ってることは間違いではないと思うんだけど……何というかこう……冷たい。


 反論したいんだけど……言葉が出てこない。


 そう悩んでいると、先にまー君が口を開いた。


「だがまぁ。蠍座の目的がわからない以上、昨日の2人には護衛をつけるべきだろう。志郎、砂山を頼めるか」

「おう!任せてくれ!」

「じゃあ、私は梨奈ちゃんだね?」

「あぁ。任せるぞ」


 そう言い切ったまー君は、そのまま階段を降りて行く。


 ……え、待って?

 あの巨大蠍が何なのか教えてくれてないよね?


 私は慌てて「あの巨大蠍って結局何なの!?」と少し大きな声で、降りていくまー君を呼び止める。

 まー君は1つ下の踊り場で足を止めて、私達を見上げてる。


「言ってなかったか」

「いや、聞いてないんだけど!」


 すると、まー君はまた階段を上って戻ってきた。


「あの蠍は、星座概念体せいざがいねんたいだ」


 さっきと同じ場所に戻って来たまー君がそう言った。


「星座……」

「概念体?」

「……つまり堕ち星とは違う……ってこと?」


 志郎君、智陽ちゃん、私の順番で言葉を口にする。

 私達のわかってなさそうな反応を見て、まー君は言葉を続けてくれた。


「堕ち星は人間が星座の力で怪物になるが、星座概念体は星座の力単体でああいう姿になる。理由はわからないが」

「じゃあ……人が成ってるわけじゃないってこと!?」

「あぁ。だから普通に攻撃して、エネルギー切れ起こさせれば良い。

 あれは星力の塊みたいなものだからな」

「つまり……由衣以外でも倒せるってことか?」

「あぁ。俺も概念体は倒したことはあるからそこは保証できる」


 まー君がそう言ったとき。

 どこからか小さくだけど、悲鳴が聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ