表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私達の星春群像奮闘記  作者: Remi
第2章 2年生  18節 新年度、怒涛奔動

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

316/339

第313話 話せないぐらい

 2年生になって2回目の月曜日。

 私は、寝坊をしてしまった。


 でもぎりぎり間に合う時間だったから、急いで学校に向かう。


 その途中、私は電柱の傍でしゃがみ込んでる人を見つけてしまった。

 放っておけなくて、とりあえずその人を近くの公園まで連れてきた。


 その人は、なんと。



 転校生なんだけど、学校に来れてなかった星鎖ほしくさり 彩千果さちかさんだった。



 そんな星鎖さんに、何を話したらいいか悩んでいるとき。


「……聞かないんですか?」


 突然、そんな声が飛んできた。

 どういう意味か分からなかった私は、「……何を?」と聞き返す。


「私が、学校に行かない理由」

「それは……気にはなってます。

 でも、無理に聞くのは……酷いかなって。話しくないことだって、あるし」


 すると星鎖さんの視線は、また下がってしまった。


 ……何か私、間違ったかな。


 そんな不安が少しずつ湧いてきたとき。


「……話されても、迷惑ですかね」


 星鎖さんの、そんな呟きが聞こえた。

 でも、星鎖さんは地面を見たまま。


 だけど、これはチャンスだよね。


 そう感じた私は、すぐに「全然!」と言葉を返す。


「星鎖さんが、話したいな、聞いて欲しいなって思うなら聞きます。聞かせて欲しいです。

 もしかしたら、力になれるかもしれないし。なりたいし!」


 私は両手でガッツポーズを作って、そう言葉を返す。

 でも、やっぱり星鎖さんは下を向いている。


 ……大丈夫かな?


 心配していると、星鎖さんの「私」という声が聞こえた。


「人が……怖いんです。とくに、同年代の男の人が。

 優しくされたり、親切にされると。どうしても、怖くなっちゃうんです。


 もちろん、そんなことないってわかってるんです。

 でも、どうしても、怖いんです。身体が、思い通りに動かなくなるんです。

 ……学校には、行きたいのに」


 星鎖さんが絞り出すように話してくれた話。

 それを聞いて、私まで苦しくなった。


 なんでそうなったかって話は、聞いてないのに。



 でもきっと、簡単には話せないぐらいの辛いことがあったんだと思う。



 私には、何もわからない。

 でも、星鎖さんの顔がまた青白くなってることには気が付いた。



 そこで、私は今までの自分がしたことを思い返した。



 もしかしなくても私、かなり酷いことをした……よね。



 それに気が付いた瞬間、私は「ごめんなさい!」と言いながら頭を下げた。


「星鎖さんの気持ちを知らないのに、無理やり触ったり、ここまで連れてきたり。

 怖かったですよね。本当にごめんなさい!」


 私は言い終わった後、さらに頭を下げる。


 するとすぐに「そんな」という声が聞こえた。


「頭上げてください。最初は……確かに怖かったですけど。

 でも、触れてもらって、手を引いてもらって。段々と、落ち着いてきたんです。

 理由は、分からないですけど。


 それに、しゃがんでるのも辛いですし。だからここまで連れてきてもらって、助かりました。

 白上しらかみさんが通りかかってくれて、本当に良かったです。ありがとうございました」


 その言葉を聞いて、私は「よかった~!」と言いながら頭を上げる。

 そして自分の両手を握る。


 私、「そんなことしなくていいのに……」って言われることがあるから、本当に良かった。


 そこに、星鎖さんは続いて「でも……」と口を開いた。


「どうして、白上さんはここまでしてくれるんですか?」


 急に難しい質問が飛んできた。

 予想外の質問に、私は思わず「それは……」と口籠ってしまう。


 ……でも、私が思ってることを素直に話すだけだよね。


 決意した私は「私は」と口を開く。


「困ってる人を放っておけないんです。

 それに、やっぱり笑顔で居れる方が良いと思って。だから私にできることがあれば、力になりたいなって。

 まぁだから……私がしたいから……かな。

 友達には、『なんでもかんでも首を突っ込みすぎるな』って言われるけど」

「そう……なんですね」


 ……あれ。私、変なこと言った?


 少し首を傾げながら、星鎖さんの次の言葉を待つ。

 すると。


「……でも。助けてもらった私が言うことじゃないですけど。

 学校は……大丈夫なんですか?」

「あ」


 そうじゃん!学校!

 今日寝坊して遅刻ギリギリだったんだった!


 私は焦りながらも、ブレザーのポケットからスマホを取り出す。


 そしてスマホのロック画面に表示されているアナログ時計は、既に9時を過ぎていた。


 ……どう頑張っても遅刻だ。

 あと、ひーちゃんやまー君からの通知も凄いことになってる。


 ……やっちゃったぁ。

 自分のミスなんだけど、少し泣きそう。


 そこに、星鎖さんの「あの……」という声が聞こえた。


「行ってください。

 まだ1限に間に合います……よね」

「でも……星鎖さんはどうするんですか?」


 星鎖さん言葉に、私は反射的にそう言い返していた。


 だって、この公園に星鎖さんを連れてきたのは私。

 それなのに、星鎖さんを置いて学校に行くなんて……酷くない?


 そして、肝心の星鎖さんは。


「流石に……帰ります。

 半分も歩いてないのに、身体が言うことを聞かなくなっちゃったんで」

「それなら。私、家まで送ります」

「でも、学校が……」

「いいんです。どうせ遅刻ギリギリだったたし。もう1つも2つも変わらないです。

 それに、この公園に連れてきたのは私だから。責任を持って、家まで送ります」


 私の言葉に、星鎖さんは「すみません」と軽く頭を下げた。

 私はそんな星鎖さんに咄嗟に「気にしないでください!」と言葉を返す。


「というか……私が星鎖さんともう少し話したいってのもあるんで……」

「そう……なんですね」

「はい!

 あ、でも。友達に『もう少し遅れる』って連絡だけ先入れます!」


 私はそう言って後、握ってるスマホのロックを解く。


 そしてメッセージアプリの幼馴染グループに『人助けしてて、もう少し遅れる!2限が終わるまでには行くつもり!』という文を送る。

 あと、良く使う可愛い女の子の「ごめん!」ってスタンプも。


 ……あ、そうだ。


「もしよかったら……友達登録しませんか?

 せっかく会えたんですし。それに色々学校の話もできますし!」


 でも私のその言葉を受けて、星鎖さんは固まってしまった。


 ……いきなりすぎたかな。


 そんな反省をしていると、星鎖さんは自分のブレザーのポケットを探りだした。

 そして。


「じゃあ……お願いします」


 そんな言葉と同時に、外のポケットからスマホが出てきた。


 私は「やった!」と言いながら、友達登録のQRコードを表示する。

 それを、星鎖さんが読み取る。


 すると、友達一覧に「星鎖 彩千果」が追加された。


「じゃあ……交換できたし、行きましょっか」

「はい」


 スマホをブレザーのポケットに入れた後。

 ベンチから立ち上がった星鎖さんと一緒に、私は公園を出る。


 そこから、お互いが好きなものについて話しながら住宅街を歩く。

 そして私は星鎖神社の横にある家まで、星鎖さんを送った。


 無事星鎖さんが家に入ったのを確認した後。

 私は全速力で学校に向かって走った。


 その結果、何とか2限が終わる前に教室に入れた。



 でも私の頭からは、星鎖さんのことが離れることはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ