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私達の星春群像奮闘記  作者: Remi
第2章 2年生  18節 新年度、怒涛奔動

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第312話 寝坊

 2年生になって2週間目が始まった月曜日の朝。

 私はなんと、寝坊してしまった。


 前の日に夜更かししてたわけじゃないのに。


 ……確かに、日曜日は久しぶりにひーちゃんとまー君とゆー君の幼馴染4人で遊びに行った。


 でもちゃんと夜はいつも通りの時間に寝た。

 それなのに、起きたら家を出る時間10分前だった。


 だから私は急いで準備をして、お味噌汁だけ飲んで家を出た。


 でもいつも一緒に行ってるまー君とひーちゃんは先に行ってもらった。

 私のせいで遅刻したら悪いし。


 だけど遅刻はしたくないので全力で走る。



 そして家を出て数分。

 私は、電柱の傍でしゃがみ込んでいる女の子を見つけてしまった。



 寄り道してたら、遅刻する時間。

 急がないといけないのは分かってる。



 でも私は、その子を無視できなかった。



 だって、道端でしゃがみ込んでたら危ないし服が汚れちゃうじゃん?

 それにその子、私と同じ星芒高校の制服だったし。


 しかも、しわとか見えないピカピカのブレザー。

 それなのに汚れちゃったら悲しい。


 だから私は声をかけて、なんとか近くの公園まで一緒に移動してベンチに案内した。


 そして座った女の子に「お疲れ様です」と声をかける。

 でも返事はないし、顔は下を向いている。


 我慢が出来なくなった私は「あの……大丈夫ですか?」とさらに声をかける。



 すると、女の子は顔を上げた。



 視線が、一瞬だけあった気がした。



 ……表情は不安そう。

 でも、肩まである長い髪が似合ってて可愛い。



 なんでかわからないけど、そんなことを思った。

 そこに。


「なんとか、大丈夫です」


 女の子がそう返事してくれた。


 私は反射的につい、いつものように「よかった~~!!!」と叫んでしまった。

 そして女の子に視線を戻すと、少し驚いたような顔をしていた。


 ……やっちゃった。


 私は焦りながらも、話題を変えるとために「あ。とりあえず」と口を開く。


「何か飲んだ方が良いんじゃないですか?

 その方が落ち着けると思いますし」


 私も緊張してどうしようもないときは、何か飲むし。


 ……女の子が、私と同じ状態かはわからないけど。


 でも、女の子は「そう……ですね。失礼します」と言った後に背負っていた鞄を下ろした。

 そしてその鞄から水筒を取り出し始めた。


 ところで……この子、新入生かな。

 ブレザー綺麗だし。


 でも4月になってからも、家の周りで私とひーちゃんとまー君以外の星芒高校の制服の人を見たことがない。

 新入生なら、1回ぐらい見たことありそうなのに。


 ……もしかして、星鎖ほしくさりさん?


 確かに星鎖さんは私の家から近い星鎖神社に家があるってまー君とタムセンが言ってた。

 まだ学校に来たことないから、見たことなくても不思議じゃない。私もどんな人か知らないし。


 でもまー君は一昨日「あれでは当分来られないだろうな」って言ってた。



 ……きっと、別の人だよね。



 それでも……名前、聞きたいな。



 そんなことを考えていると突然。

 女の子の「えっと……何ですか?」と言う声が聞こえた。


 私、そんなにそわそわしてたかな!?

 というかいきなり聞いていいのかな……?


 焦る私の口から「あ。えっと。その……」と言葉が漏れる。


 ……いや、順番が違うよね。

 まず私が名乗らないと。


 それにこういうのは、やっぱり言わないと伝わらないし。


 気持ちと考えを整理した私は「違う違う」と呟く。

 そして、真っすぐに女の子の目を見る。


「私、白上しらかみ 由衣ゆいっていいます。

 よかったら、名前を教えてください!」


 そう言いながら、私は顔の前で手を合わせる。



 だけど、女の子からの返事はない。

 というか……固まってる?



 私、失敗しちゃった!?


 そんな私の口から「あ、えっと」と言葉が漏れる。


「私と同じ制服着てるから、同じ学校なんだろうな~って思って。

 こうして会ったので、名前ぐらい聞きたいな~……って思ったんですけど……駄目ですか?」


 でも、女の子からは返事はない。



 これで駄目って言われたらどうしよう。



 でもそのときは……そのときだよね。



 ……なんだか緊張してきた。



 そのとき。 


星鎖ほしくさり 彩千果さちかっていいます」

「やっぱり!」


 まさか過ぎる!

 驚きすぎてつい、星鎖さんの言葉に被せちゃった……。


 少し反省していると、そのとき。


「……やっぱり?

 そ、それ……どういう意味ですか」


 星鎖さんが、そう聞き返してきた。



 私の口からは、咄嗟に「それは……」という言葉が零れた。



 でも……そうだよね。

 星鎖さんは、まだ1回も学校に来ていない。


 それなのに、初めてあった人に名前を聞かれて「やっぱり!」何て言われたら、怖いよね。


 私はまー君から土曜日のことも聞いてる。

 でも、星鎖さんはまー君と私が幼馴染だってことすら知らない。


 しかも、星鎖さんにとってまー君は嫌な相手のはず。


 ……まー君が詳しく言ってくれないから、何があったのかちゃんとは知らないけど。


 でもとにかく、このことは言わない方が良いのは間違いないよね。


 ……も~~!

 何で私、「やっぱり!」なんて言っちゃったんだろ!


 しかも今、私しかいないから誰も頼れない。



 なんて言えばいいんだろ。

 なんて言えば、変な印象を与えないかな……。



 そこで私は、1つの事実を思い出した。



 それは、あまりにも簡単で当たり前のこと。



 ……むしろ、なんで一番最初に思いつかなかったんだろ。


 そう思うぐらいの。


 そして私は、改めて「それは」と口を開く。


「実は私、星鎖さんと同じクラスで」

「そ……そうなんですか?」

「そうなの。だから担任の先生から名前を聞いてて。

 それで、お茶を飲んでる星鎖さんを見て『もしかして……』って思ってたんだよね」


 うん。嘘はついてない。

 ……言ってないことはあるけど。


 あとは信じてもらえるかなんだけど……。


「……そうだったんですね」


 下を向きながらだけど、星鎖さんはそう言ってくれた。


 とりあえず、変な印象は持たれてない……よね?



 ……というか、これからどうしよう?



 星鎖さんをこのままここに置いていくのは酷いよね。

 だから、動けるようになるまでは一緒に居るべきだよね。



 でも……無言は辛い。


 せっかくだし、お喋りしたいけど……。

 していいのかな。


 というか、何を話そう?


 いつもなら私が好きなことを話す。

 でも……星鎖さんにしてもいいのかな?



 逆に星鎖さんについて聞くべき?



 だけど、勝手に聞くのも……酷いよね。

 あと、しんどいときに話しかけられても困るだろうし。


 どうしたらいいんだろ。

 ひーちゃんがいたら相談できたのに……!



 そんな感じで、ぐるぐる考えていると。


「……聞かないんですか?」


 そんな星鎖さんの声が、飛んできた。

 どういう意味か分からなかった私は、「……何を?」と聞き返す。


「私が、学校に行かない理由」

「それは……気にはなってます。

 でも、無理に聞くのは……酷いかなって。話しくないことだって、あるし」


 すると星鎖さんの視線は、また下がってしまった。


 ……何か私、間違ったかな。


 そんな不安が少しずつ湧いてきたとき。


「……話されても、迷惑ですかね」


 星鎖さんの、そんな呟きが聞こえた。

 でも、星鎖さんは地面を見たまま。


 だけど、これはチャンスだよね。


 そう感じた私は、すぐに「全然!」と言葉を返す。


「星鎖さんが、話したいな、聞いて欲しいなって思うなら聞きます。聞かせて欲しいです。

 もしかしたら、力になれるかもしれないし。なりたいし!」


 私は両手でガッツポーズを作って、そう言葉を返す。

 でも、やっぱり星鎖さんは下を向いている。


 ……大丈夫かな?


 心配していると、星鎖さんの「私」という声が聞こえた。

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