表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
14節 3兄妹

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

232/285

第229話 双子の兄

「連絡事項はこれだけだ。日直」


 担任であるタムセンのその言葉で、今日の日直の子が「きり~つ」と号令をかける。


 私達はその号令で立ち上がる。

 そして次の「れ~い」の号令で頭を軽く下げる。


「じゃあ全員、また明日」


 タムセンの言葉に何人かのクラスの子が返事をする。

 また別の何人かの子は教室からさっさと出ていく。



 そして私は、自分の席から動かずに1人の席を見ていた。



 それは、ゆー君の席。



 ゆー君は、最後に会った年末のときに「年末年始はお父さんと一緒に、離れて暮らしている双子の妹のさっちゃんとお母さんに会いに行く」「3学期が始まるまでには帰ってくる」と言ってた。


 それなのに、3学期が始まって2日目の今日も学校にゆー君の姿はなかった。

 メッセージの返信も、お正月から来てなかった。


 だから昨日、そのことをメッセージグループで話して「流石に何とかしよう」ってことになった。



 ……でも、何とかしようってどうすればいいんだろう。



 私は今のゆー君の家も、ゆー君のお父さんとお母さんの連絡先も知らない。



 ……今の私に、何ができるのかな。



 そんなことを考えていると、「由衣ゆい」と私の名前を呼ぶ声が聞こえた。


 振り返ると、ひーちゃんがすぐ後ろに居た。

 その近くにはまー君とちーちゃんも居る。


「全然返事してくれないけど、どうしたの?」

佑希ゆうきのことを考えてるんだろ」

「結局、今日も来なかったもんね」


 3人のその言葉に私は「……うん。何かあったのかなって」と言葉を返す。


「どうするかは今日いるメンバーで相談しよう」

「今日は私、部活休みだから参加する」


 ちーちゃんの言葉に、ひーちゃんがそう返した。

 するとまー君が「とりあえず、学校を出るぞ」と言って、教室の出口に向かっていく。


 私は急いで鞄を持って、ひーちゃんとちーちゃんと一緒にまー君を追いかける。


 まー君には階段の上で追いつけた。

 そしてどうしたらいいか、何も思いつかない私は「でさ、どうするの?」のと聞いてみる。


「タムセンに軽く事情を説明して、佑希の今の家の住所か保護者連絡先を教えてもらえないか頼んでみた」

「どうだったの?」

「駄目だった。個人情報だからだろうな。

 まぁ、元から期待してはいなかったが」


 その言葉の後、まー君は「一応、家の事情で欠席するという連絡は来てるらしいが」と付け足すように呟いた。


「何かあったのかな……」

「さぁな。だが()()()()()()、俺達にも何か連絡をするだろ」


 まー君はそう言った後、ロッカーの方へと向かって行った。。


 私達はこの会話をしている間に階段を下りて、渡り廊下を抜けて、下駄箱へ辿り着いていた。

 私も自分のロッカーの扉を開けて、外靴に履き替える。


 履き替えてから、私達は外で集まりなおす。

 そして、みんなで歩き始める。


 すると、ちーちゃんが「それで」と口を開いた。


「手掛かりがないならどうするの?」 

「いや、ないわけではない。当てにはならないが」


 まー君の言葉に私は「あるの?」と聞き返す。


ほむらさんだ。

 佑希は俺と同じように、焔さんから色々教えてもらっていたらしいからな」

「「あぁ~……」」


 私とちーちゃんの何とも言えない声が重なった。


 焔さんは年末にまた「することがあるから」って、どこかに行ってしまったらしい。

 スマホを持ってなくて連絡が取れない人は手掛かりにカウントしていいとは……言えないよね。


 そんな会話をしていると、学校の門まで来ていた。

 私達は普段と同じように通り抜けて、学校の外に出る。


 すると、学校を出てすぐの歩道に眼鏡をかけた男の人が立っていた。

 手すりにもたれているように立っている。


 星芒高校の制服じゃないし……誰か待っているのかな?



 でも、その人は()()()知ってる人な気がした。



 ……何でそんな気がするんだろ?



 そう考えていると、その人から「えっと……」と話しかけられてしまった。


「俺に、何か用かな?」

「え……えっと…………」


 私そんなにじろじろ見ちゃってたかな……!?


 焦りながらも言葉を考えていると、ブレザーの襟が掴まれた感じがした。


「俺の友人がすみません。

 ですが急いでるんで、失礼します。」


 聞こえたのは、まー君の声。

 やっぱり襟を掴んでるのはまー君みたい。


 確かに私が悪いかもだけど、襟を掴まなくてもいいじゃん!



 私がそう反論するよりも先に、男の人が「もしかして……」と口を開いた。


真聡まさと君と由衣ちゃん?」


☆☆☆


「じゃあゆー君は和希かずきさんにもどこに行ったかわからないんですね……」

「そうなんだ……。

 みんなも知らないとなると……困ったなぁ……」


 私の言葉に男の人がそう呟いた。



 私達は今、まー君の家に向かいながら男の人の話を聞いていた。


 そしてなんと。

 男の人はゆー君とさっちゃんのお兄さんの児島こじま 和希かずきさんだった。


 和希さんにはゆー君とさっちゃんが引っ越す前、小学生の頃に家に遊びに行ったときとかに何回も会ったことがあった。

 というか……学年が上だっただけで小学校も同じだったはず。


 だから知ってる人な気がしたんだ。


 そして、和希さんの話によるとゆー君は両親と言い合いをして、家出してしまって行方不明になってるらしい。

 だから和希さんもゆー君を探すために星雲市《この街》まで来たらしい。



 それで、和希さんを入れた5人で「ゆー君をどう探すか」って話をするって話になったんだけど……。

 どうしても気になって、頭から離れない。


 なので私は「ねぇ、まー君?」と声を投げる。


 すると、前を歩いてるまー君は「何だ」と言いながら足を止めた。


「今、どこに向かってるの?

 まー君の家……こっちじゃないよね?」


 実はさっきから普段通らない道を歩いている。


 そもそも、学校は星雲市の南の方にある。

 それでまー君と私とひーちゃんの家は星雲市の北東の方。


 なのでいつも、地図で見ると斜めにまっすぐって感じで通学している。


 だけど、今日はずっと学校から横に行ってる感じがする。


 だから私は、どうしても疑問が抑えれなかった。



 そして。



「普段通らない道を通れば、何か手掛かりがあるかと思ってな」


 私の質問に、まー君は振り向きながらそう答えてくれた。



 でも、その目は凄く怖かった。



 何と言うか……「余計なことは言うな。黙ってついてこい」って言われてる気がした。



 だから私は、「……そっか」としか言えなかった。


☆☆☆


 その後も私達はまー君の不思議な道の選択に着いて行った。

 歩きながら和希さんとゆー君やさっちゃんについて話しながら。


 ゆー君の言う通り、さっちゃんはやっぱり学校が忙しいみたい。

 

 そして気が付くと、大きな公園に辿り着いていた。

 入り口は道の両側が木に挟まれている、私は来たことのない公園。


 でも、まー君は何も言わずに公園の中に入っていく。


 ……ここが目的地なのかな?


 そう思いながら、私も公園に入ろうとする。



 そのとき。

 和希さんがいきなりしゃがんだのが見えた。


 私は振り返りながら「どうしたんですか?」と声をかける。


「靴ひもがちょっとね。

 すぐに追いつくから先に行ってて」

「それぐらい待ちますよ」

「大丈夫。ほら、真聡君行っちゃうし」


 ひーちゃんに対する和希さんの返事で、私はまー君の方を見る。


 するとまー君は既に公園の中にいて、私達とはかなり距離が開いていた。


「大丈夫だから。3人とも、先に行ってて」


 私はその言葉に背中を押されて、まー君を追いかける。


 というか、なんかまー君さっきから冷たくない?

 和希さんとの話にもあんまり入ってこなかったし。


 いつも通りと言われればそうかもしれないけど……私はなんか変な感じがしていた。


 ……今のうちに聞いてみよう。


 そう思った私は「じゃあ、先に行ってますね」と和希さんに言いながら、まー君の方に向かって歩き出す。

 もちろん、ひーちゃんとちーちゃんと一緒に。


 そして、私は小走りでまー君を追いかける。


 するとまー君はいつの間にか足を止めて、こっちを向いていた。


 私は正面から「ねぇ」と声をかける。


「さっきから……というか、和希さんに対して冷たくない?」


 でも、まー君から帰って来たのはため息。


 そして私達に背中を向けて「行くぞ」とだけ呟いた。

 その態度に、ちーちゃんが「何か言ったらどうなの」と言葉を返す。


 その言葉を受けたまー君は右手で頭の後ろを触り始めた。


 ……何か答えにくいことがあるのかな。




 そう思った次の瞬間。




「そこから逃げろ!」



 まー君がそう叫んだ。

 でも、私達はその言葉の意味が理解できなくて固まる。



 すると、まー君は私達の方へ飛び込んできた。



 私は状況が理解できないまま、突き飛ばされるような形で地面を転がる。



 その直後、辺りを土煙と振動が襲った。




 私はせき込みながらも、状況を確認する。



 まー君は私を覆うように上にいる。


 ……庇われちゃったみたい。


 そしてひーちゃんとちーちゃんは私達よりも少し後ろの入り口側にいる。

 2人も転んだような状態だけど大丈夫そう。



 そして、私達がさっきいた場所には。


「あ~あ。避けられたか」



 人間と同じように2本の足で立つ、黒い犬のような怪物がいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ