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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
13節 秘匿されし真実

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第223話 運命の星座

「じゃあ僕が代わりに答えようかな」


 そんな少し優しい男の人の声が、部屋の中に響いた。

 そして全員がほぼ同時に、その声がした方を振り向く。



 すると、プレートやギアを補完している棚の前で、ケースに入っていたはずのペルセウス座が浮いていた。


 予想外の参加者に、俺を含めた高校生全員が固まった。


 その間にもペルセウス座は俺達の輪の中心、2つのソファーの間にあるテーブルの上にやってきた。


 その姿を見て、事情を知らない矢持やもちが「え、これって喋るの!?」と驚いた声を上げている。

 そんな矢持に鈴保すずほが「うん、このプレートだけ喋るんだよね……」と返した。


 説明はそのまま鈴保に任せて、俺は「ペルセウス座は覚えているんですか?」と質問の言葉を口にする。


「僕もうっすらとだけどね。

 でも、鳳凰座よりは軍隊の上層部にいたからね。知ってることは多いんじゃないかな。

 まずは質問に答えよう。星の位置や星座については変わっているよ。

 その根拠としては、僕は昔はペルセウス座ではなかった。前の星座については思い出せないんだけどね。

 ただ、それでも今はペルセウス座に当てはめられている。

 だから僕としては『変化した星座は、近い星座などに当てはめられてる』と考えているよ」


 その回答に、部屋の中には「はぁ……」というわかっているのか、いないのか微妙な反応が飛び交う。


 恐らく、外側が変わっても本質や概念が受け継がれてるんだろう。

 その過程で、ペルセウス座のように後世の神話が混ざってしまったモノはあるだろうが。



 ……いやそれも大事だが、ペルセウス座が超古代文明の話ができるなら。


「ペルセウス座。聞きたいことがある。聞いてもいいだろうか?」


 俺がそう問いかけると、ペルセウス座は「もちろん。答えれないこともあるだろうけどね」と言ってくれた。

 なので俺は「では聞くだけ遠慮なく」と前置きを口にしてから、質問を口にする。


「『なぜ現代社会に星座の力が再び現れたのか』、『堕ち星とは結局何か』、『堕ち星は何が目的なのか』。

 この3つについて、何かわかるかだろうか?」


 俺がそう尋ねると、ペルセウス座のプレートから「う~ん」という声が聞こえてきた。


 ……テーブルの上に浮いているプレートが唸っているのは少しシュールだな。


 そんなことを思ったとき、ペルセウス座のプレートから再び言葉が聞こえてきた。


「残念ながら、3つとも明確な言葉は出せない。すまない。

 まず1つ目は見当もつかない。そもそも僕も『なぜこんな姿なのか』疑問なぐらいなんだ。

 そして同じく3つ目もわからない。力になれなくてすまない。

 でも2つ目なら断定はできないけど、似たような存在が昔にもいたのを覚えている」

「数億年前にも堕ち星が……!?」


 由衣ゆいの驚く声に、ペルセウス座が「完全に一緒かはわからないけどね」と返した。


「その話をするために、簡単になるけど昔話をしよう。


 とある国に王と王妃がいた。そして2人の間には1人の王子がいた。

 その国は軍を持っていて、3人の将がいた。


 王子が成人する頃、ある日突然星座の力を持つ人が現れ始めた。

 星座の力は王や王妃、王子、そして3人の将にも与えられた。

 その事態に王は『星座の力を与えられた者を集めよ』との命を下した。

 そして星座の力を持つ者による軍が結成された。鳳凰座もその一員だったってわけ。

 その中でも、3人の将以外にも特に力を持つものが13人集められた」


 そこで、由衣が「もしかして……」と口を開いた。


「それが黄道十二宮星座の人達ですか?」

「でも今、ペルセウス座は13人って言ったよね?」


 日和ひよりのそんな言葉に、志郎しろうが「……どこかで1つ消えたのか?」と続く。


「蛇遣い座でしょ。一時期、十三宮って言われてたって話があるし」


 そして、俺が口を出す前に智陽ちはるが由衣達3人の疑問に答えてしまった。


 さっきから思っていたが、本当に智陽は色々なことを知っているよな……。


 俺がそんなことを考えている間にも、ペルセウス座の話は進んでいく。


「今の黄道星座に何があるかはわからないが、あの時代の13人の中に蛇を使う医者が居たのは覚えているよ。

 そして、その蛇の医者の裏切りによって内乱が起きた。

 その内乱を起こした蛇の医者の側についた人たちが、現代の堕ち星に似ている気がするんだ。黒い靄を扱っていたしね」


 国を裏切った者。そして、現代の堕ち星と成った者。

 過去にも、現代にも蛇に関係のある星座がいた。


 そこで、由衣が「そ……その国は、どうなったんですか?」という疑問を口にした。

 少し、震えた声で。


「僕はその内乱で死んでしまったからね……。ほむら君、君は?」

「次に俺が復活した時には滅んでいたよ。

 直接的原因とは言い切れないけど、内乱が滅びへと近づかせたのあるかもな」


 ()()()()()の悲劇的な最後に、俺達高校生は言葉を失った。


 星座の力が超古代文明のものとは知っていた。

 だが、その文明の終わりが星座の力のせいだとは思ってもいなかった。


 そこに、今度は矢持が「聞いても……良いですか?」と口を開いた。

 対してペルセウス座は「もちろん、どうぞ」と言葉を返す。


「……蛇の医者は、何で裏切ったんですか?

 内乱を起こした後、どうなったんですか?」

「原因は覚えてないんだよね……。そこら辺の記憶が抜け落ちてしまっているんだ。

 ただ、蛇の医者を封じるという話が出ていた」

「やはり、へびつかい座は……封印されている?」


 俺は反射的にそう呟いていた。

 そして俺の言葉に、ペルセウス座が「それ、どこから聞いたの?」と聞き返してきた。


「以前星雲市の地下水路で、へび座の堕ち星はへびつかい座を復活させようとしていました。

 ……結局、失敗していましたが」

「そうなると……封印自体は成功したってことかな」

「……どうやって封印したんですか」

「確か現代いまの言葉で言うと……()()()()()、になるかな」

「「「運命の星座?」」」


 由衣と志郎と鈴保が声を重ねて復唱した。


 ……仲いいなこいつら。


 だが、そんな反応を取る気持ちもわかる。

 運命の星座ってなんだ?


 考え込んでいると、智陽が「真聡まさと、何かわかる?」と聞いてきた。


「わからない。佑希ゆうき、何か心当たりはないか?」

「悪いけど俺もない。

 というか、真聡と智陽がわからないなら誰もわからないと思うぞ」

「そうなると、運命の星座については今は保留……だな。

 だが、蛇の医者の星座が現代のへびつかい座だとするなら、今後について対応を考えないといけない」

「へびつかい座と一体となっているへび座のプレートを回収できていない……」


 智陽の呟きに俺は「そうだ」と返事をする。

 すると、矢持が「へび座は倒したんでしょ?」と聞いてきた。


「へび座は倒した。だが、プレートは回収できていない。

 ……これはこの前戦った天秤座と同じ状況なんだ。

 だからへび座、あとからす座は生きている可能性がある」

「もしかして、最近考えていたことって……」


 そんな由衣の呟きに、俺は「あぁ。そうだ」と返事をする。


「だから入院中、内心へび座が再び現れないかひやひやしていた」


 そんな俺の言葉で、部屋の空気が一転して暗くなった。


 天秤座ほどではなかったが、強敵だったへび座。

 もしまだ生きていたら、さらに強くなっていたら大変厄介だ。



 恐らく、全員同じことを考えているだろう。



 そのとき。



 誰かのお腹の音が聞こえた。



 普通だったなら聞こえなかっただろう。

 だが静かな部屋では、かすかな音も大きく聞こえた。。



 その次の瞬間には鈴保の「あのさ」という言葉が飛んだ


「志郎は空気読めないわけ?」

「いやもう12時過ぎてるんだよ!流石に俺腹減ったわ……。

 難しい話で頭使ってるしさ……」

「わかる~~!!私もお腹空いた~~!!

 ねぇまー君~~お昼ご飯休憩にしようよ~~」


 由衣の言葉で、俺は部屋に置いてある時計に視線を向ける。

 確かにもう12時半を過ぎている。


 ……確かに、一度休憩を入れた方が良いか。


「じゃあ1度解散にする。1時間半あればいいか?」


 しかし、由衣は俺の提案に「え~~どうせならみんなで食べようよ~~!!」と不満そうに返してきた。


「いいな!どこ行く?」

「この人数じゃお店の迷惑じゃない?」


 そんな志郎と鈴保の言葉に、日和ひよりが「近くにコンビニがあるし、少し遠いけどスーパーもあるよ」と返した。


「そこで各自食べたいもの買って来て、ここに戻ってきたらいいんじゃない?」


 そしてその智陽の提案に、由衣が「賛成~~!!」と嬉しそうに返す。



 ……俺が意見をする間もなく話が進んで、俺の部屋で昼ご飯を食べることになっている。


 もう既に各自、財布を出して上着を着て買い物に行く準備をしている。


 遅くはなったが俺は「おい、一言も部屋主は許可を出していないぞ」と言葉を投げる。


「いいでしょ別に。食べ終わったらすぐに再開できるし」

「それに、駅前まで行かないと入りやすいお店があんまりないし」


 智陽と日和のもっともな言葉に、俺は反論の言葉を失った。


「いいじゃんそんなこと!ほら、まー君も早くお財布用意して!」



 こうして俺は、お昼ご飯を買いに外に出ることになった。



 ……本当に、こいつらは俺の部屋を何だと思ってるんだ?

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