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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
10節 親心、子心

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第163話 私の負け

 何でどいつもこいつも自分の考えを押し付けてくるの。



 何で私がしたいことをさせてくれないの。



 ……何で、誰もわかってくれないの。 



 真っ暗闇の自分の部屋のベットに横になっている私の頭の中で、イライラと悔しさがぐるぐると回る。



 だけど私は涙で枕が塗れるのも、制服のままベッドに横になっているのも、そんなことが気にならないぐらい、感情が抑えられなかった。



 両親が堕ち星と戦うのをを反対するのは分かる。


 私が「陸上をやりたい」と言ったときも大喧嘩して、結局私が無理やり入った。

 だからそうなるのはわかってた。


 それより腹が立ったのは、真聡まさと



 確かに私は最初、戦うことから逃げた。



 でも両親に言った言葉は許せなかった。


『戦いに巻き込んだのは自分のせいです。

 そのため、責めるなら俺を責めてください。

 両親が戦うのをやめて欲しいと願い、鈴保すずほさんも了承したのならば、俺は鈴保さんが戦いから身を引いてもらっても構いません』


 ……やっぱり許せない。



 私は、自分で戦うことを決めたのに。



 こんなところで逃げ出したくないのに。



 もう何もかも、誰もかも嫌。



 いっそのことこのまま眠ってしまいたい。




 でもこの怒りの熱は治まらず、まったく眠れる気配もなかった。




 そんなとき。

 誰かが私の部屋の扉を叩いた。



 どうせ母親か藍斗あいとだ。

 口なんて利きたくないし、寝たふりしておこう。


 しかし、聞こえてきた声は全く別人だった。


「すずちゃん……入っていい?」


 由衣ゆいだ。



 「帰って」って追い出したのに何で帰ってないの。



 だけど私が混乱してる間にも、扉の外からは小さな声が聞こえてくる。


「……寝てるのかな。

 ……開けていいかな」

「駄目。私達まで喧嘩になったら意味ないでしょ」

「でも……もし寝てて、私達のせいで起こしちゃったら悪いじゃん。

 だからこっそり開けて確認だけ……」

「駄目だから。起きてたらどうするの」


 どうやら智陽ちはるも帰ってないみたい。

 そしてこのままだと部屋に入ってこられるかもしれない。


 危険を感じた私は、「入ってこないで。帰ってって言ったでしょ」と言葉を投げる。


 すると、声が聞こえなくなった。



 だけど数秒後、由衣の「……良かった、起きてて」という声が聞こえてきた。


「ねぇすずちゃん、お話ししない?」


 ……話聞いてないでしょ。


 私はそんなイライラを抑えながら「……放っておいてって言ったでしょ」と言葉を返す。


 だけど、由衣の声は止まらない。


「私は……すずちゃんの話が聞きたいな。何で苦しんでて、何で怒ってるのか。

 ……すずちゃんの迷いってさ、家族に戦ってることを言ってないことだったの?」


 全然話聞いてないし、めちゃくちゃ踏み込んでくる。


 ……真聡も志郎しろうも由衣も、何でこんなやつばっかりなんだろう。


 だけど放っておいて欲しい私は言葉を返さない。

 でも由衣は、返事がないのを気にせず話しかけてくる。


「私は、もっとすずちゃんのことを知りたいな。今日、遊びにいこうって誘ってくれてすごく嬉しかったし。

 ……そうだ!また今度こそ行こうよ!今日行けなかったし!」


 とても明るく、楽しそうな声で話しかけてくる。


 ……状況分ってるの?


 でも突っ込んだら負けな気がするし、そんな気分でもないから何も言わない。


 だけど、由衣の声は変わらず続く。


「私は、すずちゃんと一緒にこれからも戦いたい。やめて欲しくなんかない。

 だから、すずちゃんの悩みを聞かせて欲しい」


 私はその言葉に、思わず「……私がやめるって、誰から聞いたの」と返す。


「えっと……藍斗君から……」

「藍斗……」


 何で教えたのあいつ……。


 そう思っていると、扉の向こうから「やっと会話してくれた」という声が聞こえた。


 ……しまった。


 この話をしたとき、由衣はリビングにいなかった。

 それなのになんで「私が戦うのをやめるかもしれない」ことを知ってるのか気になって、言葉を返してしまった。


 私は失敗を取り繕うために「帰ってよ。別に関係ないでしょ」と返す。


「……もう諦めたら?

 由衣は鈴保すずほが出てくるまで話しかけ続けるよ。それこそ明日の朝まで」

「そ、そこまでしないって!」


 そのまま何か言い合う智陽と由衣の会話が聞こえてくる、


 でも確かにそう。智陽の言う通り。

 由衣がこういうとき、相手に笑顔が戻るまで絶対に諦めないのは私だって知ってる。



 ……私の負け、かな。



 由衣相手にこのまま拗ね続けても、時間の無駄だろうし。



 そう感じた私は、ドアの外にいる2人に「うちの親って……どう思う?」という質問を投げてみた。

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