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私達の星春群像奮闘記  作者: Remi
10節 親心、子心

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第159話 うちの可愛い娘

「さて、ホームルーム始めるぞ~全員座ってくれ~」


 タムセンのその言葉で、自分の席から離れていた生徒達がダラダラと戻っていく。

 そして全員が座ったのを確認してから、タムセンは「え~……」と口を開いた。


「まず初めに一応言うが、明日から3連休だが羽目を外しすぎるなよ~」


 そんな言葉を俺は「俺達は小学生か」という感想を抱いた。


 恐らく御堂みどう教頭が言わせてるんだろう。

 生徒指導が厳しいあの教頭だ。間違いない。


 季節は流れ11月上旬。明日から3連休の週末。


 まぁ連休と言えども、特に学生らしい予定はない。

 強いて言うなら……暇なメンバーがまた流星群の特訓に来るかもしれない。



 結局、ペルセウス座は流星群が使えた。

 本人……本プレート?が知らなかっただけで。



 ただ、そこで意見が割れた。

 どこまでの星座が使えるかという内容で。


 流星群の中でも、知名度の差がある。

 俺は知名度の高い星座だけが使えると考えている。


 しかし、智陽ちはるは流星群が存在するすべての星座が使えると考えているらしい。


 それで、軽く喧嘩した。


 結果としては由衣や志郎が智陽側に付き、俺が折れた。


 そのため、全員でペルセウス座が人型に成れるときに流星群の指導を受けることになった。


 それと、並行して「星鎧を纏いながら星力を上乗せしての近接攻撃」、「生身の近接攻撃に星力を纏わせる」、「生身でも武器を生成する」の3種類の特訓も行っている。


 特訓としては、流星群を除けば順調だ。



 しかし、あれから堕ち星は現れず、澱みもさらに減ってきている。



 それなのにお前達が特訓をしてどうするんだよ。



 そんなことを思いながらも、俺は特訓に付き合う日々を過ごしていた。



「連絡事項は全部だ。日直~」


 どうやらホームルームが終わるらしい。

 俺は考えるのをやめて日直の号令に合わせて立ち、礼をする。


 そしてタムセンの「気を付けて帰れよ~」という言葉を聞きながら生徒が教室から出ていく。


 さて、俺は……とりあえず一度帰るか。


 そう考えているとき、いつものあいつが「まー君!今日はどうする?」と言いながら近づいてきた。


「……どうせ由衣ゆいは自分がしたいことをするだろ」

「あれ……機嫌悪い?」

「そんなことはない」


 事実を言っただけだが、由衣に機嫌が悪いように受け取られたようだ。


 ……何故だ。


 そこに智陽が「何漫才してるの」と言いながらやってきた。

 それに対して、俺と由衣の「してない」という否定の声が重なる。

 

「それより!ちーちゃんはこの後どうするの?」

「2人がどうするかで決めようかなって」

「だったら、今いるメンバーでどこか遊びに行こうよ」


 新たに増えた声が、そんな言葉を投げてきた。


 俺達3人はその声がする方を向く。

 俺が声の主を確認するよりも先に、由衣が「すずちゃん!!」と叫んだ。


「……あれ、部活は?」

「今日は連休中に記録会に行く人だけ。私は出ないから休み」


 違うクラスの砂山さやま 鈴保すずほが既に教室の中まで入って来ていて、後ろにいた。


 鈴保は夏休みに陸上部に復帰して以降、部活に行ってはいる。

 だが大会や記録会については「そこまで出ないことにしている」と前に言っていた。


 それで怒られないのかと疑問には思う。


 だが俺が口を出すことでもないので何も言わないことにしている。


 そして鈴保の提案に由衣は「やった~~!!」と凄く喜んでいる。


「でも、すずちゃんから誘ってくるなんて珍しいね?」

「……別に。そんなことないでしょ。とりあえず行こ」


 そう言って鈴保は教室の出口まで戻っていった。


 その背中を「行こ行こ~!」と由衣が追いかけていく。

 それに智陽も続く。


 俺もとりあえず3人を追いかける。


 そして追いついたので、4人で下駄箱へ向かって校内を歩く。


 すると前を歩いている鈴保が「佑希ゆうきはなんか用事があるんだっけ」と聞いてきた。


「そうなの。ゆー君、3連休はこの街にいないって言ってた。多分お母さんと双子の妹のさっちゃんとは別で暮らしてるから、連休の3日間に会いに行ったんだと思う」

「ホームルーム終わったらすぐ帰ってたもんね」


 由衣と智陽の言葉に鈴保は「そう」と返した。

 そしてそのまま「日和ひよりは?」と聞き返した。


「今日は部活なんだって~。

 ……しろ君は?」

「あいつ、今日は空手らしい」

「そっか~。じゃあここにいる4人だけなんだね。

 じゃあ……どこ行く?」


 そこから始まる女子3人の「どこに行くか」という会話を聞きながら渡り廊下を渡り、階段を下りる。


 そして下駄箱に着いた俺達は靴に履き替えて、校舎の外に出る。


 すると俺に続いて下駄箱から由衣が「じゃあとりあえず、駅前まで行こっか!」と言いながら出てきた。


 それに続いて鈴保と智陽が「賛成」「わかった」と言いながら出てきた。


 ……面倒だ。帰りたい。


 帰って1人静かに蟹座の力を使う特訓をしたい。


 しかし、ここで俺だけ帰ると確実に文句を言われる。

 主に由衣から。


 その方が面倒だ。

 なので俺は仕方なく付き合うことにした。


 とりあえず学校の敷地から出るために、俺達校門を目指す。


 いや、それより気になるのがある。


 それを聞くために、一度足を止めて振り返って口を開く。


「何で鈴保と由衣は俺の後ろ歩いてるんだ」

「……別に何でもいいでしょ。早く行って」

「そうそう。そんな細かいこと気にしてると嫌われるよ」

「ね!別にいいじゃんそんなこと!ほら、まー君前進!」


 ただ質問を投げただけなのに、総攻撃を喰らった。


 下駄箱に着く前は鈴保と由衣が前を歩いていたのに、出ると俺以外の3人が後ろにいる。

 それに気になって聞いただけなのに。


 ……こいつら、時々俺にあたりが強くないか?


 だが反論するとまた3対1なのはわかってる。


 俺は諦めて校門に向けて再び歩き出す。

 そして後ろの3人の楽しそうな会話を少しだけ聞きながら、校門を通り抜ける。


 学校から直接駅前に行くにはどの道が一番早いだろうか。


 そう考えながら歩いていると、辺りに大声が響いた。

 何と言ったかは聞き取れなかったが。


 だが何事かと思い、辺りを見回す。


 流石に3人も驚いたらしい。

 由衣が「えっ、何!?」と言いながら辺りを見回している。


「……今鈴保の名前呼ばれなかった?」

「いいから。早く行こう」


 智陽はどうやら聞き取れたらしい。

 だがやけに焦っている鈴保が質問を流して、俺と由衣の前に出て腕を引っ張ている。


 ……何で鈴保は焦ってるんだ。


 そんなやり取りをしていると「鈴保!なんで逃げるんだ!」という声と共に、男性がやってきた。


 見た感じの年齢は40前後。私服のため仕事中という印象ではない。

 そして外見にこれといった特徴もなく、魔力や澱みは感じられない。


 ただ、表情は怒ってるように見える。


 そしてその男性を見た瞬間、鈴保は俺の後ろに隠れた。


 ……どういう関係だ?


 俺がそう考えている間に、その男性は俺を頭から足の先まで露骨に見ていた。

 そして「なるほど……」と再び口を開いた。


「君がうちの可愛い娘を殴ってる男か……!

 うちの可愛い娘を、お前なんかにやらないぞ!」


 どんな言いがかりだよ。

 何で俺が鈴保を殴る……


「「「娘!?」」」


 俺、由衣、智陽の驚きの声が重なり、学校前の道路に響いた。



 一方鈴保はため息をついた後、俺に隠れたまま「だから!」と叫んだ。


「あんたのそういうところがうざいって言ってんの!」



 察するにどうやら俺達は、砂山家の親子喧嘩に巻き込まれたようだ。

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