表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
7節 新たな出会い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/285

第109話 親子の時間

 自販機にお金を入れて、ボタンを押す。

 するとガコンって音と一緒に飲み物が落ちてくる。


 そしてまだお金が入ってるので、そのまま次の飲み物を選ぶ。


 私達は森住もりずみ あきら君のお母さんを見送った後。

 私達3人はそのままその休憩スペースで休憩することにした。発案者はゆー君。


 追いかけてもだし……ね。


 ……それにしても。

 「私が買ってくる」って言ったけど、何かを抱えた状態で取り出し口から取り出すのは大変。

 やっぱりゆー君にも手伝ってもらったほうが良かったかな。


 そんな事を思いながら頑張ってペットボトルを3本取り出す。


 でもゆー君がそう言ってくれたとき、まー君が「話があるから残ってくれ」って止められてたんだよね……。


 ペットボトルも取り出せたので、立ち上がる。

 そして2人を見ると、まだ何か話していた。


 私は2人の会話に耳を傾けながら、2人が座ってるとこまで戻る。


「そう思ってもらえたなら連れてきた甲斐があった」

「……そもそも俺の目的以外は真聡の指示に従うって言っただろ」


 テーブルに着いた私は「何の話?」と聞いてみる。

 でもまー君は「こっちの話だ」としか答えてくれなかった。


 私は分かる。これ聞いても答えてくれないやつだって。


 ……再会してから、たまにまー君とゆー君の空気が重い気がする。

 何て言えばいいかわからないけど……2人共、なんか変な気がする。


 でも考えても仕方ないので、私は買って来た飲み物を渡す。


 ゆー君には頼まれたコーヒーを。まー君には「何でも良い」って言われたのでいつものようにミルクティーを。

 ちなみに私も今日はミルクティーの気分。


 渡したら2人ともお礼を言ってくれた後、すぐに開けて飲み始めた。


 ……ゆー君、ブラックのコーヒー飲めるんだね。大人だ。


 そして渡し終えたので私も座って、ミルクティーを口にする。

 何か疲れちゃったし。


 まぁ……私は何もしてないけど……。


 でも、今のまー君が星座に選ばれたメンバー以外の事情に踏み込むのにちょっと驚いた。


 昔は良くクラスの子の悩み事とか良く聞いてたのを見てたけど。

 でも再会してから他の人の事情に踏み込むのは初めて見た。


 そんな事を考えていると、何か忘れている気がしてきた。


 何を忘れているかは悩む間もなく、すぐに思い出した。

 私が反射的に「あ」と口にすると、2人が「なんだ」「どうした?」と私の方を見た。


「何で堕ち星になったか聞くの忘れてない!?」

「あ……真聡まさと、どうする?」


 私とゆー君の言葉を受けて、まー君が固まった。


 その数秒後、「……もう一度病室に行くか」と口を開いた。

 私達は荷物を纏めて、椅子を戻して。休憩場所をあとにする。



 そして病室の前に着くと、まー君がそっとドアを開けた。

 でも、ドアが少しだけ開いたところでまー君は手を止めた。


 ……それだと後ろにいる私達は中が見えないだけど。

 というか入らないの?


 そう思ってると、まー君はそっと扉を閉めた。

 そして振り返って「帰るぞ」と言った。


「え、帰るの!?」

「いやじゃあ何しに来たんだよ俺達」


 私達の言葉に、まー君は「……親子の時間を邪魔したくない」と返してきた。

 そしてまー君は扉の前から移動した。


 気になったので、私もゆー君と一緒にそーっとドアを開けてみる。


 中ではまー君の言った通り、森住君とお母さんが話している。


 森住君はお母さんと反対方向を向いてる。

 でも、部屋の空気は私達が来たときより確実に優しい空気だった。


 これは……邪魔したくないよね。


 私達もドアをそっと閉める。

 すると、まー君がもう一度「帰るぞ」と呟いた。


 私達は静かに病室の前から立ち去る。

 エレベーターに乗って1階に降りて、受付に「帰ります」と言って病院から出る。



 そして帰るために、駅に向かって歩く。


 まー君が少し前を歩いて、私とゆー君が並んで歩く。

 私とゆー君は雑談をしながら、3人で市街地の歩道を進む。


 その途中で、ゆー君が「でも真聡」とまー君に言葉を投げた。


「本当にいいのか?本来の目的を果たさずに帰って」

「良い。それに、どうせ覚えていないって言われるのがオチだ」

「今までがそうだったもんね……」


 私は今までの3回のことを思い出しながらそう呟く。

 でも毎回同じだったから、そう思っても仕方ないよね。


 ……ちょうどいいし、気になってることを聞いてみよう。


 そう思って、私は「ねぇまー君?」と言葉を投げる。


「何であんなに2人に踏み込んだの?いつもは嫌がるのに……」


 その言葉で、まー君の足が止まった。


 追いついた私はまー君の顔を覗き込んでみる。


 すると、まー君は顔を背けてから口を開いた。


「……何でも首を突っ込むのをやめただけだ。

 それに今回は堕ち星に成った子供と親の問題だ。澱みは負の感情が原因かもしれない。万が一変に拗れて、また堕ち星に成られたら困るからな」


 でもそう言ったまー君の横顔は、やっぱり少し寂しそうな気がした。

 顔を背けてるから、ちょっとしか見えないけど。


 ……本当に理由はそれだけなのかな。


 そこはわからないけど、私はずっと考えてたことを口にする。


「まー君には私が……私達がいるからね」

「……どういう意味だ」

「そのままの意味。辛かったり、寂しかったりしたら……いつでも言ってね?」


 まー君からの言葉が返ってこない。


 ……私、変なこと言ったかな?


 そう悩んでいると、ようやくまー君が口を開いた。


「…………俺は、大丈夫だ。」


 そう言って、まー君は再び歩き出した。


「まぁ本人もそう言ってるし、由衣はいつも通りで良いと思うよ」


 ゆー君がそう言った後、私の肩を軽く叩いてまー君を追いかけていく。

 置いていれたくないので、私は2人を追いかける。


 いつまでも重い空気は嫌だから、「ねぇ〜!」と声をかけながら


「せっかく3人でここまで来たんだしどっか寄って帰ろうよぉ〜!」

「前に寄り道しただろ。今日は真っすぐ帰る」

「まぁまぁ。そう言ってやるなよ」


 こうして、私の2度目の警察病院へのお見舞いは終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ