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第15話 その後

 「いよいよですね、総理」

 「総理と呼ぶのは少し気が早いんじゃないかな?」

 「いやいや、もう数十分後には総理じゃないですか」


 秘書が男に笑顔で言った。

 内閣総理大臣指名選挙の結果がもう少しで発表される。

 だが、既に若干デキレースになっていて誰が指名されるかは明らかになっていた。


 男はお金もコネもないただの引きこもりから数十年の時を経て国会議員となっていた。

 引きこもりから総理大臣。

 世間やマスコミではその件で大きく盛り上がっていた。

 何故、ただの引きこもりが国会議員になれたのか?

 何故、たたの引きこもりが総理大臣になろうとすることができるのか?

 様々な噂や憶測が流れていた。


 「ただ・・・やっぱり最近の世界情勢的には総理になるのは若干罰ゲームみたいな感じがしますね」

 

 秘書は男に対して苦笑いをしながら言った。

 

 「ははは、大丈夫だって!何があっても君の退職金の積み立てはしっかり残してあるから!」

 「全く・・・総理になるんですからそういう怖い冗談やめてくださいよ!」


 100年前、世界の常識を大きく変える出来事が発生した。 

 ある日、長らく緊張状態だった大国同士の戦争が始まろうとしていた。

 もし本当に戦争になったら核戦争にまでなってしまうかもしれない。

 世界経済は戦争を前に大不況に陥り数多くの国が破綻する異常事態が発生した。

 そして、追い討ちをかけるように人々が混乱の渦にまきこまれる中、そこに突如現れたのがモンスターや悪魔と言った魔族の登場だった。

 今ままで見たことがない人間以外の知的生物の登場により世界は阿鼻叫喚になる。

 これにより、皮肉にも人類同士の戦いは避けられる結果とはなった。

 だが、人類に平和は訪れはしなかった・・・

 人類と魔族はどちらかが生き残る為に戦う戦争になったのだ。

 既に人類の半分が戦争で死に絶え、猛攻する魔族の侵略をとめられずに人類は滅びの時を迎えようとしていた。

 人々はこの戦争から救ってくれる救世主を望む・・・

 そして、人類の最終防衛ラインが突破されるまさにその時、天から白い翼をもった人達がモンスターを殲滅した。

 白い翼を持つ人達は自身を天使だと名乗り、神の使いで舞い降りたと人類に宣言し、平和を約束する。

 神の勢力の参戦により人類は平和を保つことができたのだ。

 

 ・・・しばらくの平和を人類が享受していたが10年前、魔族が人類の領土に対し再び侵略を開始した。

 そのあまりのも凄まじい力に神々は人類の領土を放棄するとして撤退した。

 神に見捨てられた人類は自力で魔族に対抗するしか生き残る手段がなかった。

 だが、昔の戦争とは違い人類は技術を大きく発展させて機械などを使って均衡状態をなんとか保つことができた。


 つまり、男は人類が生き残るための戦争の真っ最中に総理大臣になると言うことになる。

 誰も総理大臣にやりたがらなかった中、男は自ら立候補したのだ。

 誰もが注目するその男の記者会見で男はこう言った。


 「私には昔とある友がいました。友と言っても彼と接した時間はわずか数十分足らず・・・ロクな会話もできずに友は私の腕の中で笑いながら死にました。そして友が死ぬ前に私にこう言いました・・・「平和とエロ!」私は彼の言葉に強く共感しました!私はこの世界を平和とエロで満たしたい!全ての人類に平和とエロを!エロ(幸)あれ!」


 総理になろうと立候補した人間のあまりにも幼稚な言葉に世間は唖然とした。

 こんな奴に総理を任せても大丈夫なのだろうかと世論は大騒ぎ。

 だが、他に誰も総理に立候補するものは現れなかった。


 ぱちぱちぱち!


 「投票の結果がでました!おめでとうございます!これで総理ですね!」

 「ああ・・・ありがとう!」


 そして、その男はついに総理大臣となった。

 この国から人類の真のペットと名乗る機械女神が誕生する20年前の出来事だった。

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