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第54話 『メルの母親』

「う〜〜〜〜ん、どうするかな」


「タケル、トイレだったら廊下の突き当たりだからっ」

魔王城から戻った俺達は、そのままメルの家に向かい、今は、リビングのテーブルでアレスの塔に関する文献を前に頭を悩ませていた。


「おいっ、メル、デリカシーの無い発言は、やめてくれないか。トイレでう〜んしたい訳じゃないんだから」


「あたしは、タケルを全力でサポート中だよ、さあ、このみどり汁を飲んで元気をだしてっ! ダンっ!」

コップに注がれた緑色の液体は、ブクブクと怪しく泡立っていた。俺は、恐る恐るその液体の入ったコップを手に取った。



「に、苦げえーーーーーーーっ!」

俺は、そのまま、みどり汁をメルの口にブチ込んだのだ。


「やっぱり毒だったのか……あぶねえっ」


メルは、ピクピクしたまま、おとなしくなった。


俺は、もう一度文献の中身を確認する事にした。文献を書いたレイラの文章は、複雑で比喩表現がよく使われている為、まるで暗号文を解読しているかのような難解な代物だった。


『王家の谷に、逆巻く風が平穏を迎えし時、彼の四肢たる従僕が、使者の是非を問わん、なんじ黒き扉をひらきて勇者の証をかかげん、さすれば転回せし運命の御魂が

新しき主との契りを交わすであろう』


なんとなく意味は、わかるのだが、どうにもモヤモヤしていてスッキリしない。

やっぱり『う〜〜〜〜ん』なのだ。


四肢たる従僕は、別の部分から4つの属性を持つモンスターか何かだと検討は、つくのだがこれもハッキリしない。


「タケルっ、攻略本なんて勇者らしくないよ」

蘇ったばかりのメルの言葉が、悩んでばかりいた俺の心に響いた。


「そうだよなメルっ! さすがお前は、俺の一番最初の仲間だけの事はあるよ」


「仲間だなんて、み、みず臭いわよ、あなたっ」

変なスイッチが、入ったのかメルは、勝手にモジモジやり出した。


俺は、ふと、前々から確認しようと思っていた事をこのタイミングでメルに聞いてみた。


「なあ、メルっ、実は俺、魔王軍と戦おうと思ってるんだ、でもお前やリンカ、アリサには、正直言ってそんな危険な目に遭わせたくないんだよ」


メルは、珍しく真面目な顔で俺を見て迷ったような顔をしたが、やがて静かに語り始めた。


「あたしのお母さんアメリアは、魔王軍の攻撃の巻き添えになって死んだんだ……」


「な、何だって! お前のお母さんは、ミレシアの娘だろ、魔王軍の攻撃を受けるはずがないじゃないか」

確か魔王とミレシアは、不可侵条約を結んでいたはずだ、それはメルの母親にも適用されるはずだ。


「お母さんは、ある王家を守るために犠牲になったんだよ」

メルの母親は、なぜその王国を守ろうとしたのだろう。


「あたしは、お母さんが大好きだったんだよ、だから魔王軍は、あたしの敵でもあるんだよ! そんな寂しい事いわないでよ」

メルは、コブシを握ったまま震えていた。


魔王にいくら戦意が無くなったと言っても過去に犯したあやまちが帳消しになる訳では無い。


俺は、メルの頭にそっと手を置いて言った。

「じゃあ、俺に力を貸してくれ、メル!」


「うん、わかった、タケル」

メルは、ぐしぐしと顔をぬぐった跡、嬉しそうに俺を見た。


「ありがとうなメル、本当は、お前がいてくれて心強いんだよ」


「当たり前だよ、あたしは、タケルのパーティーの一番初めのメンバーなんだから」


「ああ、そうだったよな」


この日から俺は、魔王軍討伐に向けて本格的に行動を開始する事になったのだった。


俺とメルがアレスの塔へ向かう日程について話をしていると誰かが家のドアをノックした。


「は〜〜〜い」

返事をしてメルは、勢い良くドアを開けた。


「こんにちは、メル、いい子にしてたかしら」

そこには、黒いローブを身にまとった大魔法使いミレシアの姿があった。

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