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第124話 『所詮は初戦』

魔族との決闘は、魔王城の地下闘技場で行われる事になっていた。石のレンガで造られた薄暗くただ広い空間、そんな印象のところだった。


「何もないね。ブランコとか……」


メルは、つまらなさそうに辺りを見回したのだが、ブランコがあるほうがおかしいだろう。


「しまった……ブランコじゃったか!」


しまったじゃねえよ、魔王っ!


しかし、この何もない空間を準備するのに随分と待たされたのだが、何か理由があったんだろうか?

そんな俺の考えを悟ったかのように声がする。


「恐らく仕込みだな!」


ボーレーンが、何かに気が付いたかのように地面を調べていた。


「仕込みって? 罠でも仕掛けてあるって事か?」


「いや、それは分からん。だが何やら甘い匂いが漂っている」


ボーレーンの言う通り地面からは、記憶にある甘い香りがしている。そして飛び散った黒いシミは、なにやら悪いものを予感させる。


やはりここは、魔族の城なのだと改めて認識させられる。


「お兄さま、この黒いシミは恐らく……」


アリサの答えを待つまでもない。俺は、頷き拳を握りしめた。歴戦の勇者のものか、あるいは同族のものか、いずれにしてもここで行われた事の汚れとして刻み込まれたんだろう。


「チョコレートのシミが消えんかったか……」


そっちかよ! 魔王の言葉にいい感じで盛り上がった俺のテンションだだ下がりだ……


どうやらここでチョコ作りを行なっていたらしい。待たされたのはその片付けの時間かよ!


「さあてと、始めるとするかの」


魔王は、自信ありげな落ち着いた口調で俺に視線を向けた。まるで同盟など結ぶ必要はないといった雰囲気にも思える。


「ええ、でも思惑通りにはいかないと思いますよ」


「ほう、そいつは楽しみじゃな」


お互いに初戦の兵士が、前に出る。


「俺が」

「わたくしが」

「私が」


順番くらい決めておけよ、アンタら!

ボーレーン、ホサマンネンさん、キュレリアは、我先に前に飛び出したのだ。


一方では、魔族側の戦士は腰に剣を携えた人型で中央に凛とした様子で佇んでいる。

もう何もかも負けてる感がハンパない!


魔王城での対戦、当然魔族のギャラリーで埋め尽くされているのだが、そこかしこから失笑が漏れ聞こえてくる。


「初戦は、ボーレーンでいきます!」


俺が揉めている三人組に声を掛けるとホサマンネンさんとキュレリアは、ガックリとした様子で戻ってきた。恐らく魔族側は、最後に強者を持って来る可能性が高い、ならば最初の二戦で勝ちを収めたい。


「ウオォォ、一番が……ウオォォ……ン」


筋肉を震わせ、むせび泣くホサマンネンさん

そういう勝負じゃないっすから……


ようやくボーレーンが、闘技場の中央へと向かい魔族の剣士と対峙した。いよいよ決闘の火蓋が切られるのだ。


「我が名は、ミストナイト。人間風情がどこまでやれるか興味深いが、手加減など出来ぬゆえ命の保証は無いと思え! ナイトだけにな」


「その言葉この魔剣士ボーレーンが、そのまま返してやろう。私に敗北などない。何故ならば魔剣士だからだ」


一体何の勝負なんだよ! ダジャレかよ!


「タケル、今のは、ボーレーンが1ポイント取ったんじゃないのか?」


リンカが、人差し指を立てて身を乗り出す。

ポイント制の戦いじゃないが、最初の不手際を考えると取り返せないくらいマイナスだと思う。


「始めっ!」


魔王の号令に闘技場内にビリビリと緊張が走る。


ミストナイトとボーレーン

名前だけを見ると今にも消えてしまいそうな両者だが、初手から激しい打ち合いが続いた。


キーンという金属音を響かせながら攻撃は早くなる。互いに物理攻撃なのは魔力を打ち出す隙がないからだろうか?


「なかなかやるな、人間ふぜいが!」


「ふっ、お前こそヒラ魔族のくせになかなかのものだ」


両者は、一旦距離を取り間合いを外した。


高まる魔力は、ふたりを中心に渦巻き干渉し合い空間をビリビリと震わせる。


どうやら、次で決着をつけるようだ!








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