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その後エミーリアとすれ違う度に声をかけられるので、ルドヴィークやベルナルトとも会う頻度が増す。
第一印象が悪かったルドヴィークはそれなりに会話をするが、ベルナルトとは改善するつもりは無いので素っ気ない態度を貫く。
我ながら可愛げがないと思うがこれが私だ。
「カラフィアート様、一緒に食事しましょう」
私が先に席についていると、声を掛けられるのと同時に隣に座る。
許可を得てから座るという事を知らない様子。
「カラフィアート様は、ベルナルト様とお知り合いなのですか? 」
今日も、私を見つけてエミーリアは話しかけてくる。
珍しいのは、いつも連れているお供を連れていないこと。
二人は生徒会の為エミーリアは一人で昼食を取るらしい。
「いえ」
「……お二人共、なんだか意識されているように感じて……」
「あの方とは関わりたくありませんし、話も遠慮させていただきます」
「えっ……お二人は幼馴染ではないのですか? 」
遠慮してほしいと言ったのだが、エミーリアはそれでも彼の話を続ける。
幼馴染……彼が私の事をそういったのだろうか?
私達は幼馴染ではない。
幼い頃に一度挨拶しただけで、それ以上の関係はない。
そうしたのは彼。
彼が私を嫌い、私もそんな彼と親しくしようとは思わない。
そんな関係だと態々人に話す必要はなく、私は彼女の質問に無言で応え食事を続ける。
「……それではお先に失礼致します」
「あっ待ってください、私も行きます」
あからさまに拒絶しているのに、どうして彼女はついてくるのだろう?
周囲も私達の関係に興味深々な様子。
「私に何か用ですか? 」
どこまでもついてくるので、要件を終えたら離れてもらうつもりで私から尋ねた。
「私、皆と仲良くなりたいんです。それで、皆も仲良くなってほしくて」
「私はそのような事を求めておりませんので、必要としている方と仲良くしてください」
「そんなっ……あの……本当に必要ありませんか? 」
「必要ありません」
「ベルナルト様と仲直りしたいと思いませんか? 」
「何故彼なのでしょうか? 私と彼は関係ありませんよ」
「そんなの嘘です。二人共意識しているではありませんか」
周囲には私は彼を意識しているように見えるのだろうか?
気が付かなかった。
「意識などしておりません。エミーリア様の勘違いですよ」
「カラフィアート様、素直になってください」
放っておけばいいのに、彼女はどうしてここまで私とベルナルトを意識するのだろうか?
迷惑でしかない。
「私とリンドフスキー令息は親しくありませんし、これからも親しくするつもりはないのでエミーリア様が心配する必要はありません。この話は二度としないでくださいね」
私は話を終わらせ去って行く。
「……そんな……」
彼女が小さな声で呟いた事に、私は一切気付かなかった。




