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銀髪幼女のスローライフ旅 ~お料理バンバン魔法バンバン~  作者: 滝川 海老郎


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第6話 闇魔法

 フィオちゃんと無事、なんとか西門前で合流した。


「改めて、フィオです、よろしくお願いします」

「ご丁寧に。レナです」


 ニッコニコでご機嫌なフィオちゃんを連れて、外の草原に向かう。

 やることは同じ、ということにしよう。


「ほら、スライム君」

「スライム」


 ブスっとナイフでえぐって魔石を取り出す。

 取り出すとスライムは死んでしまう。

 粘液を水を出して洗う。


「あ、水が出せるんだ」

「うん、これは収納」

「水魔法じゃなくて、収納なのかぁ」

「まあ、どちらでもいいと思う」

「確かに」


 ふふっと二人で笑う。

 こういうのも悪くはない。


「それで、こっちのウサギはレクス」

『声が、聞こえるだろうか』

「え、なに? 聞こえるけど」

「これが念話」


 レクスが笑う。

 ウサギでも笑うとなんとなくわかる。不思議だ。

 フィオちゃんも驚いた後、うれしそうにしていた。


 悪い子ではないのだろう。


 昨日の夜に雨が降ったみたいで、スライムがたくさんいる。

 雨が降ると増えるらしい。

 スライムを二人でちぎっては投げ、ちぎっては投げ、また手を洗う。

 フィオちゃんのぶんの水も私が出す。


 水はたくさん入っているからこれくらいは平気だ。


「沢がある、ラッキー」

「あ、お水汲むの?」

「そうそう」


 水魔法で出すより魔力を節約できる。

 沢の水を不思議な感じに回収していく。

 フィオちゃんはそれを不思議そうに眺めていた。


「それ、アイテムバッグなの?」

「えへへ、実はアイテムボックス。収納」

「そうなんだ」


 魔道具ではない。魔法なのだ。

 私の髪色を見て、なんだか納得顔をするフィオちゃん。


「そうだよね、珍しい銀色だし。『能無し』には見えないもんね」

「えへへ」


 いくらか会話もして、人となりは見たつもりだ。

 おうちのことも話してくれた。

 そこそこいいところの商会のお嬢様、らしい。

 ただあまり有名ではないので、と謙遜していたけど、どれくらいかは分からない。


「ホーン・ラビットだ」

「見てて闇魔法、シャドウ・バインド」

「おおお」


 ホーン・ラビットの影から足に黒い謎のモヤがかかって縛り付けていた。


「えい!」


 そこを私がナイフで一突き、南無三。

 逆さに吊るして、すぐに血抜きをしたら、収納してしまう。


「レナ様、手慣れてる!」

「まあね」

「すごい、すごい」


 まあ、あまりこういう解体作業に慣れている六歳児もあまりいないかもしれない。

 私は、ちょいちょいやる必要があったんだよね。

 薬草採取をしていると向こうから攻撃してきたりするので。

 ばあばは処理にうるさいのだ。


 こうして闇魔法と私の連携とかを試したり、逆にフィオちゃんにナイフを使わせて、私が水魔法を使って牽制したり、色々やってみた。


 なかなか相性はいいんじゃないでしょうか。


 そうしてレクスの話になった。


「そういえば、最初に出会ったとき、ケガしていたよね」

『ちょっとレッサー・ワイバーンに襲われてな』

「え、レッサー・ワイバーン?」


 さすがにフィオちゃんもドン引きである。

 私もそれにはびっくりした。

 普段、この辺にはいないモンスターだ。


 シーラル森林の途中にあるのがマクネス町とラーミ村。

 それでさらに先にはケーラス村があって、マクライア山の麓にある。

 このケーラス村は岩塩の産地で、行商の人はここから塩を買い付けて、町まで売りに来る人が多いのだ。

 それでワイバーンはこのマクライア山の上のほうに多くいる。

 ラーミ村周辺までは、普段来ないはず。


「もしかしたら、平和なスローライフから遠のくかも……」

「スローライフ?」

「ああ、あのね、のんびり生活したいのが目標なんだけど」

「なるほど」

「ワイバーンかぁ」

「ワイバーンですねぇ」


 私たちはどこか遠くを見るように、生まれ育ったラーミ村のほうを見たのだった。


 さて、私たちには関係がないのは重々承知しているものの、レッサー・ワイバーンの行動には気になる部分もある。


 夕方、いつもより多く狩りをした私たちはほくほく顔だけれど、どこか緊張していた。

 二人と一匹で冒険者ギルドへと向かう。


「それで、実は……」


 ギルドの受付で、レッサー・ワイバーンを少し前にラーミ村の近くで目撃した話をする。


「ラーミ村にレッサー・ワイバーンですか。うむむ」


 受付嬢は頭に手を当てて考え込んでしまった。


「嘘を言っている、ようには見えませんね」

「そんなわけないでしょう」

「そうですよね。ちょっとギルド長と話してきますね……」


 こうして私たちもギルド長とご対面となってしまった。

 フィオちゃんはとばっちりだけど、責任感でもあるのか、一緒にいてくれた。


「私がギルド長のカマインです」


 だいぶ渋いおじさんだった。

 町のギルド長というくらいだから、けっこうな重役なのだろう。

 それが幼女に対しても普通に接してくれるのが助かるくらいだ。

 あ、ちょっとデレとした顔したぞ。

 再び顔を手で撫でて、復活した。ちょっと腹話術みたいで面白い。


 レクスが話せる件は秘密にしてある。

 ボーパル・バニーなのも秘密だ。

 この子を保護したとき、近くをレッサー・ワイバーンが飛んでいったのを見た、という話にしてあった。

 フィオちゃんも話を合わせてくれる。というか彼女はその場にいなかったので、自分は知らなかったという態度で別に問題はない。


 こうしてレッサー・ワイバーンはひと騒動に発展してしまうことが決定した。


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