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銀髪幼女のスローライフ旅 ~お料理バンバン魔法バンバン~  作者: 滝川 海老郎


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第4話 冒険者登録

 さて、薬草の買取をしてもらった。

 レクスも上機嫌で、私もうれしい。


「冒険者登録ってしたほうがいいのかな」

『さて、人間の世界は分からない』

「だよね、レクス、ウサギだもんね」

『うむ』


 通りの真ん中、一番活気があるところに冒険者ギルドはあった。


「ここだね」


 入り口のスイングドアを開いて、中に入る。

 列はそれほど混んでいないようで、すぐに順番が来た。


「冒険者登録というのを、お願いします」

「お嬢さんが? 何かのお使いじゃないくてですか?」

「はい」

「お連れの方はいませんか?」

「母も父も亡くなって」

「そ、そうですか。ではこちらに、名前、書けますか?」

「名前くらいなら」


 記入用紙を貰い、名前を書く。

 台が少し高くて書きにくい。

 台の上にはレクスもちゃっかり座って様子を見ている。


「レナ、六歳、ラーミ村っと」

「はい、確かに」


 内容はこれだけだ。

 現代と違って、何かあるわけでもないのだろう。


「ではGランクからですね」

「Gランク、はいっ」


 Gランクは木のプレートだった。


 F アイアン

 E カッパー

 D ブロンズ

 C シルバー

 B ゴールド

 A ブラック

 S プラチナ


 つまり、こういうこと。


「プレートというのは、ドッグタグのことなんだけど」

「ドッグタグ」

「兵士が身分証として身に着けるものね」

「へぇ」

「冒険者ギルドでも採用しているのね。その意味は、もちろん、死んじゃうことがあるってことだから」

「はい」

「よく考えて、行動してね」

「ええ」


 チェーンからぶら下がる自分の名前が書かれたタグを握りしめる。

 そうやすやすと死ぬつもりはない、けれど、いつ何が起こるかは分からないよね。


 さて、私にできる雑用は少ない。

 やはり、薬草採取だろうか。


 周りを見ると、そっと視線を外される。

 なんだろう「痛いものを見る」視線だ。

 どうせ貧乏な商店のお嬢様が冒険者ごっこをしているとでも思っているのだろう。

 当たりともハズレとも言い難いが、いいんだ。


 いきなり難癖つけてくる定番の怖い顔のおじさんとかもいる。

 しかし、そういうおじさんを見てみたら、みんなデレデレして視線を外されてしまう。

 ううむ、青年ならともかく、幼女相手にオラオラしても、みっともないもんね。

 それくらいの分別はあるか。


 とぼとぼ通りを歩いて門に到着する。

 視線はあるものの、特には何も言われず、門を通過する。


 門のすぐ外は木は切り倒されて切り株がいくつか見える。

 草原になっているので、道をそれて草原の中を見て歩いた。


「スライム君だ」

『ネバネバ〜』


 襲ってくるわけもなく、避けて歩く。

 このスライム君も核を取り出せば魔石が取れるので、取ってもいいけど、ベチャベチャにはなりたくない。

 水で洗えばいいか。

 考え直して、スライム君を短剣で切り刻んで魔石を取り出す。

 少し粘液がついてしまったので、水を取り出して手を洗う。

 そして手の中に残った石をじっと見つめる。


「魔石だねー」

『うむ』


 薄い小さな紫色で、光を通すのでキラキラして綺麗だ。

 ガラスでさえそこそこのお値段のする世界では、魔石はガラス玉よりも装飾品としての価値が高い。

 また魔道具の燃料にもよく使われるので、実益としての値段もついた。


 ただベタベタになるうえ、一応でも消化液なので、服が傷みやすい。

 だから慣れている薬草採取のお姉さんとかは、避けて歩く。


 薬草とスライムの魔石の値段は、トントンくらいだろうか。

 少年とかは好き好んでスライム狩りをする子とかもいるらしい。


「う、リクウミウシだぁ」

『ウミウシか』


 三十センチくらいのウミウシである。

 こいつは陸性で、けっこうでかい。

 地球にはいないタイプだが、この世界では常識である。

 貝の仲間なので食べるとかなり美味しい。

 乱獲されるほどではないが、持って帰る人も多いらしい。

 私も村の近くの森で見つけるとよく持って帰って、ばあばと分けて食べた。

 ただし、大きいので、一匹掴まえたら帰らないといけない。

 私には収納があるので、そのへんは融通が利く。

 へへん。


 草食性だと思うが、雑食性かもしれない。

 スライムみたいに地面を這って歩き、何でも食べる。


 そうして薬草を探しながら平原を探索する。


「おおお、ジャンボマイマイだ」

『カタツムリだよ』


 またしても三十センチくらいのカタツムリでこれも貝の仲間なので、食べると美味しい。

 持って帰るに限る。

 収納!

 薬草採取が専門の人は、持って帰ると邪魔なのでそのままスルーする人もいる。

 そうやって生き延びているのだろう。

 ジャンボマイマイも大変だ。


 いいサイズの薬草を取りながら、たまにいるスライムをしばいて歩く。

 魔石も収納してまた手を洗う。


 お昼は今日もサンドイッチでいいにした。

 毎日続けると、ストックがなくなってしまうけど、また作ろう。


 朝利用した薬屋さんへ行き、また薬草を買い取ってもらう。

 今日は高い薬草が生えてなかったので、あまりお金にはならなかった。


 冒険者ギルドへよって、リクウミウシとジャンボマイマイを買い取ってもらう。

 薬草よりは高い値段で買い取ってもらえたので、ほくほく顔だ。


 これでまた数日は過ごせる。

 もう夕日も沈みそうだ。

 今のところ資金はプラスなので、もう少しこの生活を続けようかなと、宿屋へと戻った。



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