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銀髪幼女のスローライフ旅 ~お料理バンバン魔法バンバン~  作者: 滝川 海老郎


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第22話 港町ララベル

 王都の中は広く、色々なお店もあった。


 高給薬草君たちはメレーナ商会経由で売りさばき、金貨の山になった。

 にひひ、私は悪い商人。薬草を売りさばいたぞ。


 もっと見て回りたいけれど、先に港町ララベルに行くというので、ついていく。


「ララベル楽しみ」

「お魚いっぱいですよ」

「ほえぇ」


 お魚といいましたね。

 海の魚介類。ぐふふふ、我、日本の民なりて、お魚、食うものなり。


「お魚楽しみー」

「新鮮だから、いっぱい食べましょう」

「はいっ」


 この国では岩塩が中心で、ララベルでは海水から塩は作っていないらしい。

 岩塩と違って塩田とか必要だもんね。

 王都のすぐ隣町なので、馬車で一日もかからなかった。


「到着!」

「そうだね!」

「潮の香りする!」

「うん!」


 フィオちゃんと二人で、クンクンと匂いを嗅ぐ。

 私はこの潮の香りも嫌いではない。


 なんか宇宙育ちの子は、動物の死んだ臭い、とか言うらしいみたいなSFの記憶がある。

 私の前世は比較的、海にも近かったので、たまに海まで遊びにも行ったし、魚屋さんもあったからね。


「おお、海だ!」

「ねー」

「ずっと続いている!」

「そりゃ、海だもん」


 海だよね。これ水が溜まってるんだよね。

 なんだか不思議だ。

 地球でも同じなんだけど、そういうふうには考えたこともなかった。

 波がザブンときて、また引いていく。

 漁師の子船が、何艘も浮かんでいる。


「あれでお魚獲ってるんだね」

「そうみたい。レナ様、乗りたい?」

「うーん。それはどっちでもいいかな」

「船は好き?」

「まぁまぁ好き。でも酔っちゃうかも」

「そっかあ」


 港町へと馬車が入っていく。

 魚屋さんがずらっと並んでいた。

 いろいろな魚介類が目白押しだ。


 金貨とか貰った私は、無敵なのである。


「魚くれ」

「はいよ」

「これと、これと、これこれ」

「おお、よく買ってくれるね」

「まあね!」


 私の収納は腐らないのだ。のだー。

 これ重要だからね。

 アイテムバッグに入れても、腐っちゃったらおしまいなのである。


「貝。いい出汁も出るし、そのまま食べても美味しい!」

「そうだよ! よく知ってるね」

「へへへ、私も海が近いところが出身でしてね」

「そうかい、そうかい。お嬢ちゃんにおまけしておく!」

「ありがとう、おじさん!」


 この調子である。

 お魚、貝、タコ、イカ。色々買いあさる。

 王都へたくさん出荷しているというから、王都でも買えるものの、鮮度でいえば全然違った。

 私はここで買うに限る。

 なにしろ、安いのである。


「ぐふふふ」

「あ、悪い顔のレナ様」

「お魚を買って、山のほうで売り付けようかなと」

「それは、悪い」


 ふたりでぐふふふという顔をしてニヤリと笑う。

 今度、山のほう行ったら考えよう。


 旅館に行き、お刺身から焼き魚、出汁が出てる麦粥、など色々食べる。


「うまっ、うまうま」

「美味しいです」

「二人とも、熱いから、気を付けて食べるんだよ」


 パパ様も苦笑いだ。

 美味しいんだもん。

 バクバク食べまくる。

 やはり原産地で食べるのが一番良い。


「ふう、おなか、ぽんぽこりん」


 こんなに食べたのは久しぶりだ。

 お肉よりずっと安いんだよ。

 お魚、食べまくっちゃうよね。


 こうして、港町でのひと時は、日が暮れていった。


「そうだ」

「どうしたの?」

「夕陽を見なきゃ」

「夕陽?」

「うん」


 まだ夕方だったので、急いで浜へ向かう。

 ちょうど陽が沈んでいくところだった。


「すごい!」

「でしょ、フィオちゃん。これ。これが見たかったんだよ」


 大陸の西側なのでちょうど陽が海に沈んでいく。

 一面の茜色に染まる、海と空。

 太陽が海へと吸い込まれていった。

 そして、色が群青色へと変わっていく。


 一大パノラマだったね。

 まるでドラマみたい。

 いやぁ、異世界も悪くはないね。こういうことあると。


 さあ、真っ暗になる前に旅館に戻らなきゃ。

 薄暗い道をフィオちゃんととぼとぼ帰る。


「なんだか、楽しかったね」

「うん。いきなりレナ様が飛び出していくから、どうしたのかと思った」

「うひひ。まあ、色々あるんだよ」

「そうですね。今日の夕日、綺麗でしたね」

「うん。また見たいけど、同じ景色は二度と見れないかもしれない」

「そうですね」


 なんだかしんみりと薄暗い道を歩いていく。

 まあ、まだ幼女で黄昏もなにもないけどね。

 がはははは。遊んで暮らすのじゃ。


「きゅぴ!」


 レクスが上を指さした先には、一番星が輝いていた。


「一番星。綺麗!」

「本当だ」


 三人で空を眺める。


「ずっとこんな風に、のんびり過ごしたいですね」

「そうそれ、そうやってスローライフしたいの」

「それがレナ様の夢なんでしたっけ」

「そうだよ!」


 目指せ、スローライフ。

 ゆっくりのんびり、楽しいことして暮らしたい。


 異世界には大変なこと、辛いことなんかもある。

 もちろん日本にもあったけど、異世界の理不尽さは比較にならないくらい唐突だったりする。


 そういうことをうまく避けて、生活していきたい。

 楽しいのんびり異世界生活。

 どこで定住するか、もしくはずっと旅を続けるか、まだ決めてないけど、私はこうやってスローライフを目指している。

 ささ、楽しくいきまっしょい!



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