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銀髪幼女のスローライフ旅 ~お料理バンバン魔法バンバン~  作者: 滝川 海老郎


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第11話 カッパー冒険者

 無事にマクネス町まで戻ってきた。

 ここの門を通るのも久しぶりな気がしてくる。

 でも数日前だよね、うん。


 相変わらず堀で釣りをしている人がいる。

 今度、時間とかあったら私も挑戦してみよう。

 心のメモ帳にそっと追記しておく。


 ゲーム世界みたいなので、実際にインターフェイスとしてメモ書きできれば便利なのにね。

 そうは言いつつ、ゲームでなくてよかったとも思う。

 初見殺しとか怖いよね、ゲームだと。

 隣のフィールドに移動した瞬間、こちらは上級者向けフィールドで瞬殺されたり。

 そういうゲームもあるのだ。

 死んでもいいみたいな設計で、デスゲームされたら、たまったものではない。


「冒険者ギルド一行様、お戻りです」

「ようこそ、マクネス町へ」


 多くはないが、事情を知っている人たちが何人か迎えに来ていて、歓迎してくれた。

 なんというか、これだけでも報われたというか、うれしい。


「えへへ」


 馬車はそのまま大通りを突っ切って冒険者ギルド前に停まる。


「はい、みんなお疲れ様でした」

「「「お疲れしたー」」」

「あっああ、お疲れさまでした!」

「お疲れさまでした!」


 出遅れたのは、私とフィオちゃんである。

 こんな挨拶すると思っていなかった。

 過去に何度かあったのだろう、他の人は平気で参加している。

 ぐぬぬ。


「まずはレナとフィオ、先に報酬、出すから」

「は、はい!」


 ギルド長から直接言われて、後をついていく。

 順番に報酬が出るみたいだけど、私たちはなぜがギルド長自らで、最初である。


 中の二階の会議室みたいなところに通されて、対面で座る。


「まずはお疲れ様。レナとフィオ、それからレクス君だったか」

「ぴぎゅ!」

「いい返事だ」


 フィオと一緒にくすくす笑う。

 レクスも呼ばれてうれしそうにしている。


「二人はこの前、一つランクアップしたばかりなんだが」

「そうですね」

「Eクラス、カッパー級になってもらう」

「進級ですか? いいんです?」


 一応、聞いてみる。


「ドラゴンスレイヤーではないが、ワイバーンスレイヤーがアイアンでは話にならないからな」

「そ、そうですよね。他の人は」

「みんなDランク以上だから」

「あ、そうなんですね」

「そういうこと。ということで二人はカッパー級だ。おめでとう」

「ありがとう、ございます」

「それから野菜、香辛料などの代金。いや、気が付かなくてすまん。料理したら材料費くらい必要だなよな」

「いえ、話を事前にしてなかったのは、こちらも落ち度なので」

「そう言ってもらえると助かる。ということで報酬に経費も加えておく」

「ありがとうございます」


 ちりんちりん、とお金を受け取る。

 金貨だひゃっほい。

 まあ、一万円相当が金貨なので、そこまでレアではないとはいえ、やっぱりうれしい。

 私のぶん、それからフィオちゃんのぶん、それぞれ受領する。


「では、確かに」

「また、よろしく頼む」

「あ、はい」

「この後、予定がなければだが、ワイバーン肉のカレーと言ったか」

「なんでしょ?」

「代官のバーナル男爵に報告に行く際、俺たちが食べたカレーを食べさせてやらないと、へそを曲げられると、業務に影響が出るんでな」

「あ、そういう」

「バーナル男爵は悪い人ではないのだが、好奇心が強い、こういうものは好きだ」

「なるほど」


 おっと、お仕事ですか、お仕事ですね。


「これは別に報酬が?」

「ああ、出そう。というか男爵から直接出ると思うが」

「あー」

「まあ、変なものはよこさないだろう。金貨とかかもしれんが」

「お金なら助かります!」

「そうだな」


 さてお話をちょろっとして一度解散になった。

 ギルド長は冒険者のリーダーなどと打ち合わせをして、夕方にバーナル男爵と会合をする。

 その際、私たちも同行して、カレーを作るという話に決まった。


 それまで先に大通りにある香辛料屋さんへ行って、カレーの材料を買わないと。

 あと、野菜もその辺で調達してこないと。

 お肉はワイバーン肉を出さないとダメだろう。

 ワイバーンの討伐の報告だもんね。

 カレーはあくまで副次的な理由で、ワイバーン肉さえ食べさせれば最低限許されるみたいだけど、男爵相手に最低限なんてナシに決まっていた。


 フィオちゃんと一緒に香辛料それから、近くで野菜を購入してくる。

 すでにこの前来たお店なので、大丈夫だ。


 そうして冒険者ギルドにとんぼ返りしてくる。


「お待たせしました」

「いいかな」

「はいっ」

「よし。じゃあ、行こうか」


 今度は、貴族が使う黒塗りの馬車が用意されていた。


「ひえー」

「これに乗るんですか?」


 フィオちゃんもびっくりしたようで質問をする。


「もちろん。お嬢様がた」

「は、はいっ」

「ぴぎゅ!」


 レクスは調子よく、ひと鳴きして目をパチリと合わせる。

 さすがボーパル・バニー、度胸がある。


「ふふふ」

「かわいいね」

「ごほん、では、どうぞ。足元に注意して」


 正装になっているギルド長に引っ張り上げられて馬車に乗り込む。

 幌馬車は横向きの対面式だけど、この貴族馬車は正面と後ろ向きの向かい合わせになっていた。

 馬車によって種類も違うんだな、と思って座る。


「なんだか緊張しますね」

「レナ様、頑張りましょう」

「あはは、とって食べたりはしないよ」

「もう、ギルド長」


 町外れ、小高い丘の上にある代官、バーナル男爵邸へと向かっていった。



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