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戦国ホームセンター  作者: 白苺
VS上杉輝虎編
19/68

海老ヶ島の戦いはじまる

2300ポイント本当にありがとうございます!ここまで来て初大規模会戦です。

 俺たち炎衆は小田家の重臣信太備中守範宗が率いる右翼に属していた。正面に小田氏治本陣と同じく菅谷政貞が率いる主力。左翼は戦場に近い海老ヶ島城の兵である。


そして俺達の前には以前手子生城に攻めてきた結城家の重臣(といっても半独立のようなものだが)多賀谷政経の率いる備が相対していた。多賀谷政経(と思われる)大将自ら備の前面に出てきて俺たち炎衆を認めるとこう言い放った。


「ここであったもなにかの因縁!先の戦のようにはまんまとやらせないぞ!」


 俺たちの格好が他と違っているので目立つのだ。小島団長たちヤンキー軍団は装束こそ手子生城備え付けの貸し出し用鎧兜(実際にある。)だったのだが、手にしているのは手柄(槍)ではなくて鉄パイプやバールのようなもの…じゃなくてもろ巨大なバールである。


 なんでも前回真面目に槍で戦ってみたところやはりこちらのほうが取り回しが良い、と彼らは言うのだ。


 まあ剣聖塚原卜伝様に鍛えてもらったからまだいいか。


他の面々も後から書くが、まぁ戦国時代の普通の装備ではないのもあって見つけられてしまうのはしかたないやも。


「貴様らが優れているのはその爆裂弾だ!しかし爆裂弾は手投げゆえに弓矢よりも射程が短い!ぐはははは!近づけてたまるか!」


 と号令する多賀谷政経。やばい。対策されている。


 多賀谷勢からは射程を稼ぐ曲射(上向きで放物線状に矢を放つ)で矢がこちらに降り注ぐ。


 ポリカーボネート盾は効果絶大だが、あまり早く損耗されても今後が困るので、動かないで済む時用には鉄板の前にベニヤ板を貼り付けて勢いを削ぐようにした盾とこの時代の普通の防護装備である竹束を組み合わせて矢に耐える。


「ぐはははは!身動きも取れまい。しかし安易に近づいてやられる我等ではない!もっとそぎ取ってやる!」


 と勝ち誇る多賀谷政経。


 そこに我らが炎衆爆裂弾(手榴弾)投擲隊たる野球部軍団が全面に出てきた。

鎧兜だと動きにくく投げにくい、とのことで防刃ベストに身を固めて安全ヘルメット姿である。皆一応戦場で目立たないように、ということでヘルメットは濃い緑や黒に塗っていた。


ちなみに俺はホムセンの警備員室に備え付けられていた現金輸送車警護用の装備一式を頂いて、防護ヘルメットにゴーグル、防弾チョッキと特殊警棒、手にはスコップという出で立ちである。


 野球部軍団の中で一人、アンテナのようなものをつけたひときわ目立つ青いヘルメットに、背中に装置を背負ったナイスミドルなヒゲの男がいた。


 彼らを率いる元社会人野球経験者の乱馬さんだ。


「ふん。出てきてもこちらには届かないだろうて。無駄無駄無駄!」


 と更に煽る多賀谷政経だったが、乱馬さんはそれに介せず命を下した。


「赤穂君、小泉君、クラッカーだ!」


 クラッカー、と呼ぶのは単に乱馬さんの趣味だと思うが、彼らは前回の様に直接投げて投擲するのではなく、今度は球形の爆裂弾を…投石機、いわゆるスリング(パチンコのスリングショットではなく紐の途中に引っ掛けるようになっているもの)を使って投げつけたのである。


 日頃からの訓練が実ったのか、スリングで投げられた爆裂弾は多賀谷勢の予測を超えて長く飛び、彼らの備の上空で、中で爆発する!(まぁプロの作った兵器ではないのでそれなりに不発弾もあるのだが。)


「やった!これで奴らは混乱する!」


 と俺達は攻めかかろうと腰が浮いたが…爆音と硝煙が収まってそこに現れたのは隊列を乱していない多賀谷隊であった。


「馬鹿な!」

「何度も同じ手にやられる我等ではない!前回の敗戦で学んだ我々は総財産の5分の3をつぎ込んでこれを手に入れたのだ!」


 と多賀谷政経が掲げたのは火縄銃である。


「え?関東のこの時期に火縄銃があるはずないのに?まさか俺たちなんかやっちゃいました?」


 と焦りだしたのは戦国オタの豊島氏である。なんか俺やっちゃいました?が自分の不利に働いたのを見聞きしたのはこれが初めてだ。


「ぐはははは!この虎の子叩いて入手した火縄銃の訓練ついでに兵を爆音に慣らしたのだ。爆裂弾は直撃さえしなければそれほど効果絶大ではないからな!音と煙に慣れてしまえば当たらなければどうということはない!」


 たーがーやー。敵ながら判断が早いよ。となると爆裂弾の直接的破壊効果はともかく、威嚇効果は今後あまり期待できないって事か。やばい。


「天羽源鉄殿!敵は爆裂弾に怯んでいない様子。となれば数の上で優位な敵に我らは不利!いかがなさる?」


 と我々の備の本営で天羽源鉄(天野先生)の指示を仰ぐのはこの備の大将、信太範宗である。信太様は先の戦を直接は見ていないので我々の能力に懐疑的なのだ。


「あ…あわわわわ。どう、ど?そうですね?どこ…どお?」


 なんか天羽源鉄先生、慌てて混乱状態で言葉になっていない。やばい。


「あわわわ?」


 と首を傾げた信太様だったが、するとオタク軍団の中から一人の男がすっと立ち上がって天羽源鉄先生の脇に立った。彼も俺のように鎧兜をつけず、黒い防刃長手袋に防弾チョッキ姿である。


 その彼がヘルメットを外すと、長身の痩せぎすで、なんともクールな顔つきをしている。若干ウェーブの掛かった栗色の髪は肩ぐらいまで来ている。


織部おべ君!なにを?」


 と止める豊島氏をスッと手で制すると織部氏は信太様の方を向いて話しだした。


「信太卿どの。」

「卿?」

「備中守は官位ゆえ。それはともかく信太卿殿、天羽源鉄様は動じるではない、今こそ好機と申しております。」

「好機?」

「爆裂弾では前備の兵は動揺しないのは明白。」

「であるから我らとしても打つ手が。」

「しかし馬はいかがでしょうか?」

「馬?」

「なけなしの財産を注ぎ込んだ火縄銃と弾薬、兵の訓練は行っても馬を慣らすほどは訓練できているとは思えませぬ、と天羽源鉄様はおっしゃっています。」

「なに?それがあわわわわ、の意味か。」

「左様であります。そして我らにはまだこれがあります。」


 と相変わらず熱意がない冷静な口調で指し示したのは…まだ使っていない迫撃砲群であった。


「この砲は弓の曲射のように高く打ち上げ、距離が伸びるのです。前衛の足軽共は爆炎に慣れているかもしれませぬが、後方の馬共は。と天羽源鉄先生は申しております。」

「はっ。そうか。後方の馬が爆音で興奮して暴れれば。」

「さすがは信太備中守様、敵は大きく乱れましょう。」

「よし天羽源鉄様の作戦に乗るぞ!その迫撃砲を放ってくだされ!」


 とそれから次々に迫撃砲が放たれる。まぁ打ち上げ花火と硝安ベースの火薬などででっち上げたやつだからちゃんと飛んで爆発はするが(そのへんは真田店長の実験の賜物)とても距離とか設定とかできてない。


 まぁざっくり多賀谷勢の裏側に落ちてくれればいいや、という勢いで砲撃する。


 すると備の後方で次々と爆発が起き、背後から爆音に襲われた多賀谷の兵たちは前回ほどのパニックにはならなかったものの隊列を乱し、士分が降りて後方にまとめられていた馬たちが大騒ぎになって前方の備の列の方に突っ込みだした!


「なんだお前達!落ち着け!」


 と多賀谷政経がなだめようとするも、多賀谷勢の乱れは明白である。


「さすがは天羽源鉄!今だ!前に進むぞ!」


 と信太範宗の下知に小田の備が前進する。装備しているのは炎衆の進言で採用された三間槍である。多賀谷勢よりもリーチの長い槍で隊列を揃えて相手の備を叩き潰す。


 右翼の戦局は急激にこちらに有利になりつつあった…と思っていた。この時点では。


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[良い点] はわわ。って、それは孔明ちがいw
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