表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/52

決戦は金曜日

 



 3人を尾行し、クラブへの潜入を初めて早1週間。

 佐々木の言っていたリミットまで、すでに1週間をきった。

 そろそろ勝負をしかけないとなーと思いつつ、なかなか決定打がない。


 まぁ、今日金曜だし。

 ……仕掛けてもいいか。


 やかましい音楽の中、人波をかきわけ()()の位置につく。

 そろそろ3人が来る時間。

 この1週間でこのクラブに少なくとも5回は来ている(原田ちゃんは部活があるのか遅くからの参加が多い)。

 今日もどうせ来るかなーって決め打ちで待機中。


 おっ。

 早速。



「来た来た」


 クラブは未成年禁止。

 いつもの3人は店の入り口のトイレで着替えてから中に入ってくる。

 制服で看板をくぐるのは普通に度胸あるなーって思う。


 ……もしかして何も考えていないだけ?


 非行って何気に頭使うから、頭良い人の方が有利だったりする。


「顧問まじでぶっ殺してー、殴れば一発なんだけどな」


「飲んで忘れようよ~。あっ、すいませ~ん。ジントニック二つ」


 3人は()()()()()に来た。

 それは、3人がいつも座るカウンター席。

 今日はすでにウチが待機中。

 つまり、3人はウチのすぐ隣にいる。


「……隣いいっすか?」


「全然いいよぉ」


 一週間ずっと3人を見ているが、初コンタクト。

 原田ちゃん、真壁ちゃんはいつものように酒を飲み始める。

 ……そして。


「私はノンアルで」


 道枝ちゃんはノンアルなんだよねぇ。

 ほんとに可愛い。

 きっとまだ良心が残っていて、後ろめたいんだろうな。

 何でこんなとこにいるんだろう。

 おとなしく図書館とかにいればいいのに。


 原田ちゃんと真壁ちゃんはまだ世間知らずって感じ。

 まだバレないギリギリの非行を楽しんでいる。

 でも、この子達はバレたときのことを考えていないんだろうな。

 そこがまだまだ。


 数十分もすれば、二人は酔いが回ったようで次々に空いたグラスが増えていく。


「まじえ、おいいさん、あーしとやらん????」


「まっちょだから、ぜったいいいもちいいいよ」


 うーわ、バーテンのお兄さんに絡んでいる。

 これはキツイ。


 しかし、これは僥倖。

 僥倖っ!!

 最近ウチ、カイジ読んでるから。


 とりあえずまたまたカメラでぐでんぐでんになっている様子を撮影。


「(おっ………)」


 カウンターの上にスマホが置きっぱなしになっている。

 これをどうにかして中を覗ければいいんだけど。

 でも。

 チラリと隣を見る。


「お兄さん困ってんじゃん、やめなって~~~」


 道枝ちゃんがまだシラフなんだよなぁ~。

 これは少し誘ってみるか……。


「おねぇさーん、一緒にどう?」



 手元のカクテル(ノンアル)を片手に、道枝ちゃんめがけてパチコーンとウインクなんてしてみる。

 すると。


「えぇ…………?」


 明らかに困惑している。

 気分は男子中学生をたぶらかす大人の女性。


「弱いお酒なら大丈夫なんじゃない? 頼んであげるね」


「はぁ……。ありがとうございます……」


 とりあえず、ペースを考えてカシオレあたりから……。



 またまた数十分後――――――。


「もっと、今度はビールびーうがいい!!!」


 すでに顔は真っ赤。

 呂律も壊滅的。

 なるほどなぁ。

 この子めちゃくちゃお酒に弱いんだ。



 だから飲まなかったのかな?と思ったけど、まぁ、いいや。



 とりあえず道枝ちゃんの様子は撮影しておいて………。


 他の二人かな。




 ***




 金曜のノリってこわーい。

 3人とも見事に酔いつぶれている。

 この爆音の中、ものの見事に爆睡をかましている。

 クラブじゃなかなか見ない光景。


「この人たち、おねぇさんのツレ?」


 バーテンのお兄さんが話しかけてくる。

 友達と思われた方が都合がいいな。


「うん、そう。ごめんねぇ、この子達弱くってさ」


「いや、大丈夫なんだけど、面倒は………」


「ちゃんと見るってぇ。任せて任せて」


 それを聞くなりお兄さんは安心したように胸をなでおろした。

 よし、これで……。


 原田ちゃんと真壁ちゃんのスマホ。

 うわ、iPhone8じゃん、原田ちゃん。

 もう化石だよ化石。

 でも。



「指紋認証はありがたいね……」


 ツレということで堂々と見させてもらいますよー。

 まずは……SNS。

 インスタ………、普通。

 Twitter……。

 お、裏垢?

 スクロールスクロール――――――。





「よし…………ビンゴ」





 DMも確認。

 ……完全にクロだ。


 パパ活か、援交か……。

 やることやってんなぁ。

 とりあえず、エアドロで写真や動画をウチのスマホへ……。



「……ありがとうございました」


 こんこんと眠っている原田ちゃんに手を合わせ、今度は真壁ちゃん。


 最新のiPhone……、フェイスIDか。



 これって目閉じてて反応するっけ?

 よく分からない。


 真壁ちゃんの顔の前にずいっとスマホを出し、開くかどうか確かめる。

 真壁ちゃんも爆弾抱えてそうなんだよなぁ。

 是が非でもゲットしなきゃ。


「おっ、OK」


 開いた。


 原田ちゃんと同じくSNSから見ていく。


 インスタ、Twitter、LINE。

 でも、めぼしい情報はない。



 写真か……?

 アルバムをスクロールスクロール。


 すると、()()は突然現れた。






「……ありゃー、真壁ちゃん。これはダメね」






 なかなかにエキサイトしている動画。

 30分も撮っていやがるし。

 淫乱だなぁ。



 これもエアドロ。



「最後は……」


 道枝ちゃんなんだけど。

 この子はちょっと期待できないかなぁ。

 何て言うか感性が一般より?というか。


 ほじくっても何も出てこなそうなんだもん。



 とりあえず見てみるかぁ――――――。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ