キ:楽しいフリマデート
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今日は日曜日、フリーマーケット2日目。
「今日はお買い物の日!」
「そうだよ」
買い物はね、同盟の皆で行くわけじゃないから。
今日はのんびり相棒とデート! 楽しみだなぁ。
衣装の準備をして、フリマ会場へ転移。
……うん、何度見ても面白いね。会場を埋め尽くす、一面のショッ◯ー。
「何人くらいいるんだろうね?」
「さぁ?」
転移広場でボーっとしてると邪魔になるからさっさと移動する。
ふっふっふ、今回はゲーム内の朝食もこっちで食べようと思って食べずに来たのだ。
今回のフリマの屋台は、前よりも料理のラインナップが増えている。第一回は豆ニワトリの影響なのか鶏料理が多かったから、今回はその反動みたいに豚肉・牛肉・魚介類がグッと増えていた。
「何食べるー?」
「んー……アレかな」
相棒が指したのは、屋台で売っている細長いパンにたっぷりの溶かしたチーズと焼いたソーセージを挟んだ物。
店先でチーズを火にかざして炙っていて、とろけたチーズのいい匂いが漂ってくる。
「いいねぇ、美味しそう!」
「相棒も同じのでいい?」
「もちろん」
2人分お買い上げ。
ベンチは無いから、適当に壁際に寄って食べる。
「美味しいねぇ」
「うん。……チーズ自家製らしいよ、屋台に書いてあった」
「へぇー、じゃあ牧場やってる所なのかな?」
「うん。『もっふる動物園』クランのだってさ」
「アッ」
聞き覚えがありますねぇ!
* * *
完食して、色んな物のバター焼きが山積みになってるお皿を持った人と入れ違いに、僕らは露店巡りへと繰り出した。
はぐれないように、手はしっかり繋いでおこうね。
「……うう~ん、前回よりもカオスになった?」
「……かもしれない」
初心者向けの物品の他は、なんだかわからない物を売ってる露店が増えてる気がする!
籠にゴロゴロ入ってる謎の球体とか……箱に立てて入れられてる長い牙っぽいのとか……ダチョウの卵みたいなサイズのオパールっぽいのなんかはお値段もすごかった。
「……これはニンジンですか?」
「それは『キャロック』です」
「キャロック」
「激昂ラビットのレアアイテムなんですよ。齧ると直後のキック一発だけ威力が上がります」
「へぇ~」
「これは……『渦巻きヒトデの干物』」
「干物だなぁ」
「渦巻きみたいにぐるんとしてるねぇ」
「してるなぁ」
「……これ何に使うんですか?」
「いやぁ、それがわからないんですよね!」
「用途不明なのか……」
「わ、綺麗な瓶。金属で飾り模様がついてる。中の液体も不思議な色……」
「……その模様、【刻印】じゃないか?」
「あ、確かに」
「中身スライムなんで、【刻印】入れてないと逃げられるんですよねー」
「「スライム」」
こういうの、ひとつひとつ見て回るだけでも面白い。
のんびり見て回っていると、頭蓋骨ばっかり山のように積み上げている露店があった。
「わぁ、頭蓋骨がいっぱい」
「大鎌の特殊効果で、首を刎ねる時にクリティカルすると、時々頭蓋骨がドロップすんだわ」
「へぇ~」
「首級かよ」
あ、確かに店主さん背中に大鎌背負ってる。
「扱いはインテリア。寝室に飾ると睡眠バフが僅かにUP。どお?」
「ちょっと趣味じゃないかなぁ」
「だよなぁ、当の俺も趣味じゃないからこうやって売ってるんだわ」
「なるほど」
ふむ……飾る気はないけど気になる事はある。
「……ひとつ買おうかな」
「「マジで?」」
「一番変な頭蓋骨ってどれですか?」
「しかも変なのをお求め?」
(え、何に使うの?)
(猫ちゃんの取り替えっこに持って行ってみたい。変なのなら変な物が出てくるかも)
(あぁ……いや、頭蓋骨出したら頭蓋骨と交換になるだけでは?)
(かもしれない)
それならそれで交換した頭蓋骨をそっと誰かに売るよ。
店主さんはちょっと悩んで……
「……これ……とか?」
と、言って、大きな丸パンみたいなサイズと形をした、ほぼ透明のプニプニした物を出してきた。
【泡沫クラゲの頭蓋骨】…品質★★★
泡沫クラゲの頭蓋骨。
寝室に飾ると睡眠バフにボーナスがかかる。
「……泡沫クラゲって骨あるんです?」
「ねぇよ」
「えっ」
「無いのに出たんだよ」
「……クラゲの首ってどこですか?」
「わからん。これ以降は出せなかった」
ええー……でも確かに変な頭蓋骨だ。
「……これ買っていいんです?」
「いーよ、いらんから。高くもないし」
「じゃあこれください」
「まいど」
お買い上げー。
「クラゲの骨、か……古文とかにあったような気がする」
「へー、クラゲが骨を抜かれた昔話は知ってる」
さてさて、あの猫店主が取り替えっこを楽しめそうな物は他に無いかな?
ちょっと短めですがここまで。
夕方の投稿は体調不良につきお休みです。




